セガは9月29日、『ソニックフロンティア』の無料大型アップデート第3弾「超・完全決戦」を配信開始した。本アップデートは、当初の発表によると2023年最後の大型アップデートとなっており、新たなシナリオに新プレイアブルキャラクターの追加など、これまでとは色の違ったアップデートとなっている。このたび、本アップデートの先行プレイの機会をいただいた。そこで第3弾「超・完全決戦」を含めた幾度もの大型アップデートによって、『ソニックフロンティア』がどうなったのか、スターフォール諸島を再訪した筆者の目線から紹介したい。

ソニックフロンティア』は、ソニックが超音速アクションを繰り広げるアクションアドベンチャーゲームだ。対応プラットフォームは、PC(Steam)/Nintendo Switch/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S。本作の舞台となるスターフォール諸島は、遊べるワールドマップ「オープンゾーン」を採用。古代文明の謎に満ちた島々には、不気味な敵とのバトルや謎解き、電脳空間への挑戦など、さまざまな遊びの要素が詰め込まれている。


全3回の無料大型アップデートで『ソニックフロンティア』はどう変化したのか


本作に向けては、全3回の無料大型アップデートをおこなうことがかねてから発表されており、いよいよ最後の無料大型アップデートが配信されたことになる。第2弾までのアップデートは、『ソニックフロンティア』の遊び方を拡張するものがおもな内容となっている。

無料大型アップデート第1弾「春の旅立ち」においては、電脳空間チャレンジとバトルラッシュというタイムアタック要素のあるコンテンツが追加された。さらに、新難易度のエクストリームや、ジュークボックス機能も新たに追加。本作はBGMも好評で、筆者も好きなBGMが多い。フィールドで流れる音楽を自由に変えることができるジュークボックスは、フィールド探索に時間をかける割合が多い本作において、また好きな曲だけを聞き続けたいという人にありがたい機能だ。ただし、ジュークボックスで流すことができる音楽は、スターフォール諸島に隠されたサウンドメモリーを集める必要がある。


そして、無料大型アップデート第2弾「夏のフェスティバル」では、「強いままニューゲーム」が追加。この機能によって、クリアデータを引き継いで最初からプレイできるようになった。サウンドメモリーや「夏のフェスティバル」から追加された新種ココなど、フィールドの収集要素やチャレンジ要素をクリア前のデータで戻って集めたりクリアしたりすることに、ただ消化しているだけと感じるプレイヤーも少なからずいるだろう。それが、強いままニューゲームであれば、改めて『ソニックフロンティア』の物語をおさらいしつつ、新要素も味わうことができる。強いままニューゲームは、アップデートでさまざまな遊び方が追加されている本作を再プレイする動機づけになる機能だ。

また、強いままニューゲーム以外にも、細かい部分のオプション設定の追加など、ゲームをより遊びやすくする調整が無料大型アップデートのタイミングで施されている。2周目のプレイヤーは、1周目と比べてストレスなく、スピード感のある爽快なゲームを楽しめるはずだ。数々のアップデートによって、リトライしやすくなって、遊びやすくなったといえるだろう。

そして、最後の無料大型アップデートとなる第3弾「超・完全決戦」においては、新たなシナリオとプレイアブルキャラクターを追加。ウラノス島には、新プレイアブルキャラクターだけが攻略できる、新しいギミックやミッションが用意されている。新しい遊び方ややりこみ要素を用意した前2回の無料大型アップデートとは違い、新しい結末を用意したアップデートだ。よりスターフォール諸島をもう一度訪れてみようという気持ちにさせてくれるのではないだろうか。


新しい島が追加されたかのような「アナザーストーリー」


無料大型アップデート第3弾「超・完全決戦」の軸となるのは追加シナリオだろう。なぜならば、新たに追加されたプレイアブルキャラクターは、追加シナリオを進める過程で使用できるようになるからだ。追加シナリオは、ゲーム終盤で訪れることになるウラノス島に到着したところから展開する物語となっている。この追加シナリオは、ゲーム中ではアナザーストーリーと称されている。その呼称のとおり、アナザーストーリーは『ソニックフロンティア』の“新たな結末”を描くものだ。

本作の物語は、ソニックたちは、力を秘めた宝石カオスエメラルドの反応をスターフォール諸島にて発見し、現地へ向かうところから始まる。その道中、ソニックは仲間たちとはぐれ、電脳空間へ飲み込まれてしまう。なんとか電脳空間を抜け出したソニックは、仲間たちも同様に電脳空間に閉じ込められてしまったことを知り、彼らを救い出すためにスターフォール諸島の島々を巡ることになる。


ゲーム本編では、ソニックは仲間たちを助けていく中で、スターフォール諸島にかつて存在した古代文明について知り、彼らが何らかの理由で滅亡したことを知る。そして、世界に再び滅亡の危機が迫っている事実を知り、仲間を助けることと共に世界を救うために戦う。

アナザーストーリーにおいては、世界を救うために本編とは別の手段をとることになる。具体的には、ウラノス島にソニックが到着してからのストーリーが一新。本編ではソニック1人でクライマックスに向けてウラノス島を奔走していた。一方、アナザーストーリーでは、ソニックの仲間たちであるエミー、ナックルズ、テイルスたちもプレイアブルキャラクターとして操作して、それぞれが世界を救うために戦うことになるのだ。

正直なところ、筆者は追加シナリオと聞いて、メモリーアイテムを集めて見ることができる、仲間たちとの会話が増える程度のものだと思っていた。ところが、先述したとおりウラノス島以降の物語が一新。アナザーストーリーは、本編に登場したウラノス島を舞台にしてはいるものの、新しい島がひとつ追加されたような印象を受けるものになっていた。


お馴染みのキャラクターたちの独自アクションで道を切り開く


新しい島がひとつ追加されたと感じた理由は、プレイアブルキャラクター追加によるものが大きいだろう。エミー、ナックルズ、テイルスは、それぞれに独自のアクションを備えている。そして、アナザーストーリーのウラノス島には、彼らの独自アクションで攻略できる新しい仕掛けが至るところに用意されている。アナザーストーリーのウラノス島は本編で見たウラノス島と地形こそ同じではあるが、本編と比べて仕掛けが違うことでかなり変貌しているように感じられる。

追加プレイアブルキャラクターの特徴を、1人ずつ紹介していこう。エミーは、ソニックを一途に追いかける、元気いっぱいで心優しい女の子だ。お馴染みの巨大なピコピコハンマーに加えて、彼女の特技である占いで使うフォーチュンカードを駆使したアクションで、ウラノス島を縦横無尽に駆け巡る。エミーは壁登りができない代わりに、ソニックができなかった3段ジャンプが使用可能。さらに、3段目のジャンプからフォーチュンカードを自身の周囲に展開し、ゆっくりと落下することができる。これによって、ソニックよりも高いジャンプと、高所から飛んで遠くへ滑空することが可能だ。


ナックルズは、ソニックのライバル的存在だ。得意の壁登りと滑空が特徴的なキャラクターとなっている。壁登りは、ソニックよりもスピーディに移動できるようになっている。滑空は、エミーのフォーチュンカードよりも高性能で、高度をなるべく維持することができるため、さらに遠くへと飛んでいくことができる。どうしても越えられない地形などを、ほかの高所から滑空してショートカットする、といった使い方もできる面白い性能だ。ちなみに、ナックルズの特技である穴掘り要素はバトル面に盛り込まれているかたちに。スキルを覚えることで、ドリルを使った攻撃ができるようになる。


テイルスは、ソニックの相棒としてお馴染みのキャラクター。特徴的なのは、特技でもある尻尾を使った飛行能力だろう。テイルスは、2段ジャンプ中にもう一度ジャンプをすることで、尻尾を回してホバリング移動ができるようになっている。足場の狭い場所でも、ホバリングによって楽に進めるキャラクターだ。ただし、壁登りとホーミングアタックができないキャラクターとなっており、ホバリングを駆使して進む場面が用意されている。また、機械いじりとメカの操縦という彼の趣味は、スキルとして表現されており、スキルを取得すればブーストの代わりにサイクロン号というメカに乗って飛び回ることさえ可能。ナックルズでもできなかった、下から上への上昇ができるので、ソニックたちを使ったときとは一味違った新鮮な感覚でウラノス島が探索できるだろう。さらにテイルスの攻撃手段は、ほかの仲間たちとは一味違って、スパナを投げる遠距離攻撃となっている。このスパナ投げは敵への攻撃以外にも、遠くの障害物を破壊することにも使える攻撃方法で、攻略に使う場面も。ホバリングとスパナを使用してミッションを進めていこう。


アナザーストーリーのウラノス島には、それぞれのキャラクター専用のマップを開放できるギミックが用意されている。どのキャラクターがどのギミックを開放できるのかは、ギミック自体が色分けされていてわかりやすい。ピンクがエミー、赤がナックルズ、黄色がテイルスといったかたちだ。開放できないキャラクターで挑戦し、結局開放できずにモヤモヤしながらゲームを進めるということにはならないのは嬉しいところだ。

彼らは、ソニックに代わってカオスエメラルドを集めるためにウラノス島を駆け回ったり、飛び回ったりすることになる。一方で、「ソニックはどうなるの?」という疑問が浮かぶと思われるが、ソニックもアナザーストーリー中で操作可能だ。ソニックはカオスエメラルド集めを仲間に任せ、自身の身を蝕むサイバー浸食を新たな力に変えるため、島に天高くそびえる塔に登って、試練に挑む。仲間たち全員で力を合わせてそれぞれの役目を果たし、世界の危機に立ち向かうことになる、熱い物語が展開されていくのだ。


ちなみにアナザーストーリーの難易度だが、筆者の主観としてはなかなか高い印象である。特に、ソニックが登る塔が難し過ぎて長時間進行できず、本編の最初から「チャレンジ」で進めていた難易度を、アナザーストーリーの途中からは「エンジョイ」に変更して進めている(本稿をアップデート配信に合わせるための苦肉の策である)。本作では難易度をチャレンジからエンジョイに変更すると、バトルが簡単になるほか、足場と足場の間にスプリングなどが設置され、ジャンプアクション周りの進行も簡単になる。筆者もアナザーストーリーに入って初めて知ったポイントだが、アクションが難し過ぎて塔から落ちまくるという人は、ぜひ難易度変更を試してみてほしい。筆者も簡単な難易度に下げることには抵抗があったが、本作でエンジョイに変更してスムーズに進行できたことで考えを改めることとなった。


「超・完全決戦」は、スターフォール諸島を再訪する理由になる大ボリュームアップデート


本アップデートにて、『ソニックフロンティア』は文字どおり「超・完全決戦」を迎えることになる。本編ではソニックに助けられるばかりだった仲間たちが集結し、しかもそれを操作できるのは、これまで『ソニックフロンティア』を楽しんできたプレイヤーたちへのご褒美のようなもの。本アップデートのストーリートレイラーにおいて、「もうひとつの未来」と称されたアナザーストーリーの結末は、本作のプレイヤーに体験してほしいものになっている。今もタイムアタックなどに勤しんでいる人はもちろん、一度本編をクリアしたきりというプレイヤーも、『ソニックフロンティア』の締めくくりとして、「超・完全決戦」のためにスターフォール諸島を再訪してみてほしい。

ソニックフロンティア』はPC(Steam)およびPS4/ PS5/ Xbox One/Xbox Series X|S/Nintendo Switch向けに発売中。