“政治思想強め”のFPS『Revenge』開発中。『Call of Duty』のライバル目指し、イラン・ロシア連合の立場から対米・イスラエルの戦いを描く


イランの3DアニメーションスタジオKosar3Dは、『Revenge』を開発中だ。PC向けに2024年に発売予定。同作開発者の発言には『Call of Duty』への意識が強く見られる一方で、ロシアなどのいわゆる“東側陣営”の視点から物語が描かれるFPSになるという。PC Gamerが報じている。


『Revenge』はミリタリーFPSだ。ロシアとイランの架空の連合軍の一員となり西側勢力であるNATOと戦うといった内容になるという。トレイラーでは近未来的な基地や荒廃した建物と共に、現代風の戦車や戦闘機が登場することが確認できる。『Revenge』は全7ステージで構成され、白兵戦や空爆をするステージなどがあるようだ。


『Revenge』の開発を手がけるのは、イランのアニメーションスタジオのKosar3D。同スタジオにとってゲーム開発は初の試みとなるそうだ。同スタジオ創設者で本作のディレクターであるFarhad Azima氏はロシアのニュース番組に出演。同氏によると、『Revenge』はイランとロシアが連合を組み、米国とイスラエルと戦う内容になるとのこと。いわゆる東側陣営が主役となる戦いが描かれるわけだ。

なお本作には、政治的意図の強そうな描写も盛り込まれる様子だ。たとえばスタジオ公式サイトでは「イランの超音速ミサイルがシオニストの空軍基地を破壊した」として、3DCGで制作された本作のイメージを伝えるシネマティックムービーが公開されている。シオニストとはユダヤ教徒、そのなかで特にイスラエルを支持する人々の総称であり、上記動画における空軍基地はイスラエル軍の基地と見られる(なおYouTube上での同動画タイトルには「シオニスト」と明記されていない)。さらにAzima氏によれば、本作の最初のステージはウクライナが舞台だという。このステージでプレイヤーは、人々をゾンビのような存在に変えるウイルスを製造する、米国が運営する研究所に潜入するそうだ。これはロシア国営メディアなどの報道に基づく設定と見られる。一連のプロモーションや開発者発言を見るに、本作には開発元の反米、反イスラエルの政治的な主張が含まれていそうな点には留意したい。


なおAzima氏は『Revenge』の開発において『Call of Duty』(以下、CoD)シリーズを強く意識している様子で、同シリーズと肩を並べられるように開発していると述べているそうだ。『Revenge』を正式発表する公式サイト内の記載においては、ジャンルを同じくする作品として『CoD』との“直接対決”が本作開発の目的であると示唆されている。

Azima氏が対抗意識を燃やす『CoD』シリーズにおいては、中東文化の描写が一面的で不適切であると批判されてきた側面がある。近年では2021年発売の『Call of Duty: Vanguard』にてイスラム教の聖典であるコーランのものと見られるページがちぎれて床に散らばっている描写があり、のちに謝罪と共にそうした描写が削除されたこともあった(CNN)。また『Call of Duty 4: Modern Warfare』での悪役カレド・アル=アサドを含め、シリーズの悪役の設定として中東系の人物が採用されることが多い点も、描写の偏りであるとして指摘されている(Engadget)。『Revenge』には、政治的な表現という側面でも、『CoD』シリーズに対抗する意図があるのかもしれない。

『Revenge』は2024年にPC向けに発売予定。