基本プレイ無料MOBA『Fangs』早期アクセス配信開始。著名開発者の期待作も、ユーザー評価が割れる

 

デベロッパーのHidden Leaf Gamesは12月1日、基本プレイ無料のMOBA『Fangs』をPC(Steam/Epic Gamesストア)向けに早期アクセス配信開始した。同作は著名クリエイターが携わり一定の注目が寄せられる一方、Steamユーザーレビューの賛否が割れている状況だ。

『Fangs』は、マルチプレイオンラインバトルアリーナ(通称MOBA)ジャンルのゲームだ。MOBAといえば、『Dota 2』『League of Legends』など、5対5による戦略的アリーナバトルが代表的だろう。本作『Fangs』では、4対4を採用。ハイペースな戦闘と試合展開を売りとして、スキルひとつが勝敗に繋がるようなゲームプレイをアピールしている。また、オーグメントによる、各ヒーローごとのカスタマイズ性の高さも特徴となるそうだ。


本作は、早期アクセス配信開始となった本日12月1日、Steamにてさっそく最大同時接続プレイヤー数約2700人を記録(SteamDB)。ユーザーから一定の注目が寄せられている様子がわかる。一方で、本作は記事執筆現在、274件のSteamユーザーレビューが寄せられ、うち46%が好評の「賛否両論」ステータス。やや不評寄りながら、評価がほぼ真っ二つに分かれているわけだ。

こうした反応が寄せられた背景には、本作がMOBAジャンルファンから期待されていた点も影響しているだろう。本作の開発を牽引するのは、Steve “Guinsoo” Feak氏だ。同氏は、MOBAジャンルの裾野を押し広げた作品である、『Warcraft III』向けカスタムマップ「DotA: Allstars」の主要開発者だ。また、かつてRiot Gamesにて『League of Legends』の開発にも携わっていた。MOBAジャンルの立役者のひとりとして知られる開発者であり、Feak氏の名前は本作のストアページなどでも大々的に謳われている。


また、本作開発元のHidden Leaf Gamesは、昨年には320万ドル(現在のレートで約4億3700万円)の資金を調達(VentureBeat)。著名クリエイターが潤沢な資金のもとで手がける本作に、期待するプレイヤーも多かったことだろう。リリース前の期待度の高さゆえか、『Fangs』のSteamユーザーレビューでは、現状のゲームプレイに落胆の色を示すユーザーも散見される。たとえば、各ヒーローの調整不足のほか、「ゲーム全体の挙動がぎこちない」といった指摘が寄せられている。

また、Steamユーザーレビューでは、スタジオStunlock Studiosが展開していたMOBA系作品『Battlerite』と本作を比較する意見が目立つ。『Battlerite』も、2対2や3対3といった比較的少ないプレイヤー数にて、アクションに重きを置いたスピーディーな戦いを特徴としていた。Steamユーザーレビューでは「非常に好評」ステータスを獲得するなど高評価も受けている。しかし、『Battlerite』は2019年に、惜しまれつつも最終シーズンを実施し開発規模を縮小している。そのかわりになる作品として、似たコンセプトをもつ『Fangs』に期待を寄せていたユーザーも多かったのだろう。その期待とゲームプレイの落差が、一部ファンの落胆を呼んだ側面もあるかもしれない。


ただし、『Fangs』はあくまでも別開発元による、独立したMOBA作品である。また、早期アクセス配信が始まったばかりであり、今後のゲームプレイの変化も見込めるだろう。本作は早期アクセス期間の長さは定めていないとしつつ、2023年Q3の正式リリースを目標としているという。正式リリースに向けては、本作の基礎をしっかりと固めていくとのこと。コミュニティのフィードバックにもしっかりと目を配りつつ、調整を実施していく方針だそうだ。また、本作は正式リリースにあたっても、基本プレイ無料のままとなる予定。本作の評価がどのように推移するかは、今後次第だろう。

『Fangs』はPC(Steam/Epic Gamesストア)向けに、基本プレイ無料で早期アクセス配信中。