「先見の明があったが広まらなかった」ゲームデザイン・メカニクス談義が盛り上がる。『メタルギアソリッド』シリーズのホールドアップや『ブシドーブレード』の一撃必殺など

 

長いゲームの歴史のなかにおいては、どの時代にもユニークなアイデアを取り入れた作品は登場するものである。しかし、そのアイデアが広く普及することなく消えていった例も少なくない。ただ今になって振り返ると、素晴らしいアイデアであったと思えるものもあるのではないだろうか。Redditでは、ゲームデザイン・メカニクスにおいて先見の明があったと考える作品について、多くのゲーマーが意見を交わしている。


議論のきっかけとなったのは、Redditユーザーbluemarvel99氏の4月28日の投稿だ。同氏は1997年発売の和風格闘ゲーム『ブシドーブレード』を例に挙げ、その一撃必殺システムを高く評価。もし当時この作品が大ヒットしていたら、体力ゲージや超必殺技のような伝統的な要素に替わって、短時間で決着する緊張感のあるシステムを採用する作品が増えていたかもしれないと述べた。

また同氏は、2001年発売のFPS『Red Faction』に取り入れられた本格的な環境破壊要素にも言及。初めてプレイした当時には、将来的にFPS/TPSにおける標準的な要素になると感じたという。ただ、現在において環境破壊要素はまだ珍しく、実装されていても限定的。同氏は、20年以上経った今でも“次世代感”を演出することができる要素だろうとしている。


この投稿に対しては600件近いコメントが投じられ、それぞれが思う先見の明があったものの流行らなかったアイデアなどについて意見が交わされた。たとえばあるRedditユーザーは、2001年発売の『METAL GEAR SOLID 2: SONS OF LIBERTY』における、ホールドアップシステムに驚かされたとコメント。油断している敵に銃を突きつけると、ホールドアップさせ無力化できるシステムだ。同シリーズ内ではその後も継承されたが、他作品では今も珍しい表現だといえる。

2014年発売のアクションRPG『シャドウ・オブ・モルドール』のネメシスシステムを挙げる意見もある。ゲーム内でのプレイヤーの行動や経験によって、敵の個性や記憶が形成されていくシステムであり、プレイするたびに、あるいはプレイヤーごとに異なる特徴をもつ敵が登場することになる。

ほかにも、2010年発売のホラーゲーム『Amnesia: The Dark Descent』における、モンスターや恐ろしい出来事を目撃したり、暗い場所に居続けると正気度が低下していくシステムや、フロム・ソフトウェアから2002年に発売されたアクションRPG『RUNE』の、リアルタイムにカードを切っていくバトルシステムなど、さまざまな作品の特徴的なシステムが挙げられてる。


今回Redditに投稿されたのは、あくまで個々人が先見の明があったと考えるゲームデザイン・メカニクス。結果的に業界内で普及しなかった背景には、それなりの理由があるのだろう。たとえば『ブシドーブレード』の一撃必殺システムについては、当時格闘ゲームの主戦場だったアーケードでの運用と相性が悪かったのではとのコメントが寄せられている。またネメシスシステムに関しては、開発元の親会社が特許を取得済み。このほか、挙げられた要素に似たシステムをもつ他作品を紹介するコメントも多くみられる。実際に広く受け入れられるシステムだったかどうかはともかく、今回の投稿は思い出の作品を振り返るきっかけとなり、議論が盛り上がることとなった様子である。