『あつまれ どうぶつの森』で、本職薬剤師が超リアルな「薬局」コーデを披露。インタビューを通じて見えた、奥深すぎる再現度

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あつまれ どうぶつの森』においては、2022年もクリエイト文化が盛んだ。とくに昨年実装された追加DLC「ハッピーホームパラダイス」では、無人島から離れたリゾート地にて、さまざまな別荘を作り出すことが可能。住民の希望にあわせて、理想の物件をコーディネートしてあげることができる。そのため、島民の島づくりの幅はさらに広がっているのだ。 

リクエストの内容は「ステキな庭のある別荘」や「オシャレな室内プール」など、別荘らしい空間を要望されることが多い。一方、変わり種として「ファストフード店」や「花いっぱいのお花屋さん」など、部屋というよりは施設づくりをお願いされることも。プレイヤーは自身のセンスと想像力を駆使して、お店らしい内装づくりに取り組むわけだ。 

しかし、もしここで「プロ」が内装づくりに挑戦したら? そんな疑問に答えてみせたのが、Twitterユーザーのゆかり氏だ。ゆかり氏は趣味で平安文化の研究をおこなうかたわら、本職としては薬剤師を務めている。そんなゆかり氏は今回、コグマのメイから発注されたオーダーに応えた。テーマはずばり、「薬剤師を夢見て」。ここでゆかり氏の職業魂に火が点いた。本職の薬剤師により、超リアルな薬局コーディネートが完成したのだ。 
 

 
とにかく、ディティールが一味違う。まずは受付に置かれたバインダーだ。こちらは、初めて薬局に来局したお客に書いてもらうための問診表のようなもの。いわれてみれば、薬局で書いた覚えのある人もいるだろう。さらに注目したいのが、でかでかと鎮座するコンピューターだ。こんなもの薬局にあったか? といえば、ある。こちらはレセコンと呼ばれるもので、「レセプト(診療報酬明細書)」を作成するために使用される機器だ。 

今回のコーディネイトについて詳しくお話をうかがうべく、弊誌はゆかり氏にインタビューをおこなった。同氏によれば、薬局を作ろうと考えたのはメイのリクエストがきっかけ。 薬剤師を題材にしてくれたのが嬉しく、気合を入れて制作したそうだ。薬剤師といってもさまざまな職場があるなかで、一般に目にする機会の多い調剤薬局をモチーフにしたとのこと。ちなみに内科の門前薬局(病院のすぐ前にある薬局)という設定だそうだ。 

「これはうまくハマった!」という家具を尋ねてみると、いくつか注目ポイントを教えてくれた。まずは、患者から見える位置に掲示された薬局開設許可証。こちらは、アイテムの「ひょうしょうじょう」を見立てることで再現したそうだ。また、さりげなく置かれている「ウォーターサーバー」もこだわりポイント。薬局では出した薬をすぐ服用してもらう場合もあるため、水を提供できる設備は必須なのだそうだ。 
 

 
さらに、室内の天井にも注目。よく見ると、かなり多くの「けいこうとう」が設置されている。実は薬局等構造設備規則には、調剤室の明るさについて定められている。規則によれば、医薬品を陳列する場所や、調剤された薬剤・医薬品を交付する場所の明るさは60ルクス以上。調剤台の上は120ルクスが求められる。室内の明かりをたくさん設置することで、しっかり規則に合う明るさをキープしているそうだ。このほか、メイの机に置かれている本は書籍「今日の治療薬」を表現。医学系出版社の南江堂から出版されている、医薬品の辞典のようなものだそうだ。見やすくコンパクトなサイズのため愛用者が多いという。
 

 
ゆかり氏には、薬局をさらにブラッシュアップするために欲しい家具なども聞いてみた。すると、昨今の時世を考えると、パーテーションと空気清浄機は欲しいとの回答。とはいえ『あつまれ どうぶつの森』は新型コロナウイルスがない世界線ということで納得しているそうだ。もう一つ目ぼしい家具としては、「分包機」が挙げられる。これは、錠剤や粉薬などを薬袋に袋詰めしてくれる装置。大体の調剤薬局にあるため、『あつまれ どうぶつの森』でも再現できたら素敵だろうと伝えてくれた。 
 

 
ちなみに一般ユーザーとして気になるところは、2階の休憩室に積まれた大量の段ボールの中身。こちらについてもゆかり氏に直撃してみたところ、さまざまな書類が入っている設定だと教えてくれた。具体的には、処方せんなど、薬剤師法で保管期間が決まっている書類。処方せんは、「調剤済み」となった日から、3年間の保存が義務付けられているのだという。とはいえ3年分もの処方せんを保管すればかなりの量になるため、調剤室に入りきらない分は休憩室に置いている薬局が多いそうだ。まさに現場のプロだからこそ再現できるディティールである。 

プロであれば、今回のコーディネイトはひと手間で完成してしまったのでは? とも思えるが、答えはNO。今回の制作にあたっては、薬局等構造設備規則を参考にしながら作ったため、時間がかかったという。実に5時間にもおよぶ試行錯誤を重ねて完成を迎えたそうだ。 

これから「ハッピーホームデザイナー」で薬局を作りたい人に対するアドバイスも聞いてみた。ゆかり氏によれば調剤薬局の開設にあたっては、厳しい基準をクリアしなければならないという。先述の「薬局等構造設備規則」には必要な物品が載っているので、参考にするとよいとの助言をくれた。このほか、「個人情報は見えない位置に置く」ことや「安全に調剤ができるかどうか」などをイメージすると良いそうだ。今後本作で薬局づくりにチャレンジする人は、ぜひ本格コーディネイトに挑戦してみるといいだろう。
 

 
なお、ゆかり氏は本職薬剤師としての業務のかたわら、平安文化の研究や実践も盛んにおこなっている。日本の平安装束をまとった美麗な写真も多数公開されているため、興味があればゆかり氏のツイートをチェックしてみてほしい。 
 






※ The English version of this article is available here

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