ソーシャルゲーム『英雄*戦姫WW』、3月29日にサービス終了へ。「多数の業務がスタッフひとりに集中」する過酷ワンオペが原因


国内ゲームメーカー天狐は2月28日、同社が開発する『英雄*戦姫WW』『英雄*戦姫WWX(成人版)』のサービスを終了すると発表した。終了日時は3月29日12時。サービス終了の背景には、スタッフの業務過多の問題があったという。 

『英雄*戦姫WW』は、2019年7月よりサービスが開始されたアプリ/ブラウザゲームだ。2013年に発売されたアダルトゲーム『英雄*戦姫』の続編で、世界中の英雄たちが覇権を争う、地域制圧型シミュレーションRPGである。戦闘は3×6マスの盤上で展開し、オートバトルで進行可能。9属性の相性やブレイブ(必殺技)を考え、戦略的に戦うことが求められる。複数の部隊を操ってマップを突き進み、戦局を有利に展開するのだ。豊富なキャラクター育成要素など、やりこみ要素も用意されている。2月末にも「[復刻]霧中洋館の家事代行」イベントを開催するなど、精力的な運営が続けられていた。 
 

https://www.youtube.com/watch?v=sIwDJ_pyYTI

 
本作のサービス終了に至った経緯については、天狐公式サイトに詳細が記載されている。本作は、売上状況は問題ない水準に達していたものの、多数の業務がスタッフひとりに集中する不健全な開発状況が続いていたという。具体的には、各種ディレクション、ゲームデザイン(キャラクターの性能設定)、シナリオおよびスクリプト制作、ビジュアル関連素材の制作進行、バランスチェック(デバッグ)といったゲームの根幹を支える作業を一名のスタッフが担っていたそうだ。 

クオリティとスタッフの健康状態のどちらかを犠牲にしながら運営を続ける案もあったものの、スタッフの健康と『英雄*戦姫』シリーズの継続を優先すべきだと判断し、天狐側から運営を担うDMM GAMESとシンク・アンド・フィールにサービス終了を提言したという。天狐の運営状況については過去にもTwitterにて明かされていたことがあり、ディレクターの2020年における帰宅回数が9回に留まるといった報告もなされていた。 
 

 
サービス終了までのスケジュールとしては、すでに有償通貨「英雄結晶」の購入は停止。3月29日12時にサービス終了を迎える。英雄結晶については、iOSアプリ版については未使用残高の返金を実施。3月29日16時から6月28日16時まで払戻しの申し出を受け付ける。一方、AndroidアプリおよびDMM GAMES版では英雄結晶の払戻しは受け付けないとのこと。 

ユーザーからはサービス終了を惜しむ声とともに、「人員増加で問題は解決できなかったのか」と訝しむ声がある。一方で推論として、多くのタスクが属人化しており、作業の分担が難しかったのではという意見もある。いずれにせよ、現状を維持したまま運営を続けることに限界があると判断され、今回のサービス終了に至ったのだろう。 

英雄*戦姫WW』は3月29日12時サービス終了予定だ。 





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