『スマブラ』、世界最大規模の格闘ゲーム大会「EVO」に今年提供されず。任天堂が判断


格闘ゲーム大会The Evolution Championship Series(EVO)は2月27日、今年8月に開催予定の「EVO 2022」について、『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズ作品が競技種目に含まれないことを明らかにした。任天堂が同シリーズを提供しない判断をしたためとのこと。

EVOは、1990年代から続く世界最大規模の格闘ゲーム大会だ。例年、アメリカ・ラスベガスにて大会が開催され、対戦格闘ゲームを中心にその時々の最新作や人気作が競技種目として採用。世界中から選手が集まる。昨年は、新型コロナウイルスの影響によりオンラインイベントとして開催されたが、今年はふたたびオフライン開催となることが発表されている。

今回EVOは、EVO 2022に向けた発表を日本時間3月9日10時からおこなうと告知。このなかで、『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズ作品がEVO 2022に登場しないことが明かされた。3月の発表では、競技種目となる作品ラインナップが披露されるものとみられており、そこに『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズは含まれないことをあらかじめ周知したものと考えられる。


『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズは、EVOにおいて特に注目度が高い種目のひとつ。これまで『大乱闘スマッシュブラザーズDX』や『大乱闘スマッシュブラザーズX』『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』などが採用されてきた。EVO 2020は開催中止となり、オンライン開催となったEVO 2021には種目に含まれなかったため、今年久しぶりに種目に復活するのではと期待する向きもあったようだが、見送られることとなった。

見送りの判断は任天堂側がおこなったという。理由については明らかにされていない。ファンのあいだでは、ソニー・インタラクティブエンタテインメントが昨年EVOを共同買収したことが影響したのでは、とささやかれている(関連記事)。当時EVOは、引き続きすべてのプラットフォームのタイトルを受け入れると表明していた。ただ、コンソール市場におけるいわばライバルである企業が保有するイベントに協力するというのは、確かにややいびつな状況にも映る。

一方で任天堂は、eスポーツ関連企業のPandaと提携し、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』と『大乱闘スマッシュブラザーズDX』の北米での公式大会を今年開催する予定だ。今回のEVOの発表に関しては、この公式大会の存在を指摘するファンも多くみられる。もしかすると任天堂は、EVOに復帰しないことを前提に、この新たな公式大会の準備を進めていたのかもしれない。

今回の発表については、選手からもコメントが寄せられている。たとえば『スマブラ』トッププレイヤーのMkLeo選手は、今回の発表について残念がりながらも、任天堂とPandaの提携が上手くいくことを期待。さらに同氏は、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』が唯一採用されたEVO 2019で優勝したため、同作の最初で最後のチャンピオンとなるかもしれないとも述べている。

また、同じく『スマブラ』トッププレイヤーのKoDoRiN選手は、先述したPandaによる公式大会では賞金が用意されるため、心配はいらないとコメント。選手たちの活躍の場がなくなってしまったわけではないため、あまり悲観的にはなっていない様子である。

なおEVOの発表では、任天堂が参加を見送るのはあくまで今年のイベントであるとされている。来年以降については未定のようだ。EVOは、将来的な『スマブラ』の復帰を期待するコメントを残している。今年8月に開催されるEVO 2022に関する発表は、日本時間3月9日10時から公式Twitchチャンネルにて放送予定だ。