Twitchが「Twitchサービス外での重大な不適切行為への対応計画」を発表。他社サービス上でのヘイト・嫌がらせ行為もペナルティ対象になり得る

 

動画配信プラットフォームTwitchは4月8日、「Twitchサービス外での重大な不適切行為への対応計画」を公式ブログに投稿した。Twitchでは今年1月、「ヘイト関連行為および嫌がらせ行為に関するポリシー」の改訂版の施行を開始。こちらはコミュニティの保護強化を目的として、“Twitch上”での表現の一部制限を定めたものだった。今回の対応計画では“Twitchサービス外”での重大な不適切行為が、コミュニティに影響を与える可能性がある場合の対応を示している。

Twitchは同動画配信プラットフォームにおいて、ヘイト・嫌がらせ行為自体だけでなく、そうした行為を助長・扇動する行為も容認しない姿勢を示しており、コミュニティからの報告に基づいて該当ユーザーのコンテンツやアクティビティを検証。コミュニティガイドライン違反行為の有無について判断している。これはTwitch上での行為はもちろんであるが、SNSなどTwitchサービス外での行為であっても、そのヘイト・嫌がらせ行為がTwitchコミュニティのメンバーに向けられた場合には、検証可能な証拠が利用できれば、該当ユーザーに対し措置を講じることができるとしている。


今回発表された行動計画では、「Twitch外での行動に関するポリシー」を改訂し、Twitchサービス外の行為に対するペナルティ措置のアプローチを拡大。2種類のカテゴリーに分類している。まずカテゴリー1は、ある人がTwitchサービス内とサービス外の両方で嫌がらせ行為を受けた場合。これについては、たとえばTwitterでも関連する嫌がらせ行為がおこなわれていれば、Twitch内の出来事の検証のためにTwitterでの行為も考慮されるという。なお、これは従来のポリシーでも多くの場合に適用されてきたそうだ。

そしてカテゴリー2は、完全にTwitchサービス外での行為について。本来Twitchの管轄外ではあるが、Twitchコミュニティの安全性への重大なリスクとなると考えられる深刻な不適切行為であると判断された場合には、ペナルティ措置の対象になるとのこと。対象となる言動の例として、以下が挙げられている。

・致命的な暴力および暴力的過激主義への関与
・テロ活動またはテロ活動への勧誘
・集団暴力行為の明示的・信憑性のある脅迫(特定の集団・イベント・人々が集まる場所に対する脅迫など)
・既知のヘイトグループのリーダーまたはメンバーであること
・合意のない性的行為や性的暴行の実行またはその共犯者として振る舞うこと
・チャイルドグルーミング(性的な目的で児童の警戒心を解こうとする行為)や未成年の性的コンテンツへの勧誘・その配布などを含む、児童への性的搾取
・Twitchのイベントで暴力を振るうと脅迫するなど、Twitchコミュニティの物理的な安全性を直接的かつ明白に損なうような行為
・Twitch(Twitchスタッフを含む)に対する明示的・信憑性のある脅迫


Twitchにおいては今年1月、エモートの「PogChamp」が削除され話題となった。格闘ゲーマー・キャスターのGootecksことRyan Gutierrez氏がある配信中に見せた、ユニークな表情を切り取った人気エモートだ。同氏は1月、合衆国議会議事堂襲撃事件についてTwitterにてコメント。事件の最中に亡くなった女性について、“処刑”や“無駄死に”といった表現を用いて一部で批判を浴びた。Twitchは同氏のコメントについて、襲撃事件に関してさらなる暴力を助長するものであるとし、同氏のイメージを用いたPogChampの削除を決定(関連記事)。措置の対象はエモートではあるが、完全にTwitchサービス外での行為について対処した一例といえるだろう。

Twitchは、自社サービス外での不適切行為に対する措置は、Twitchにとっても業界全体としても、新たな取り組みであるとコメント。一方で、今回示したポリシーには限界があるとも述べている。完全にTwitchサービス外での行為について、先に示したいずれにも当てはまらない場合には、調査の対象外になるという。たとえば「Twitchコミュニティの安全性への重大なリスク」にはならないと判断されれば、Twitchの関与するところではないということだろう。ただそれでも、Twitchをすべての人々にとって安全な場所にするという最終目標に照らして、継続的な改善を進めていくとしている。