『バイオハザード ヴィレッジ』の巨大婦人ドミトレスクの設定がやたらと細かく公開されていく。気になる婦人の足のサイズや、「100人の裸の魔女」のアイデアまで

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『バイオハザード ヴィレッジ』より、一部ユーザーが気になる(?)あの人のデザイン背景が詳しく明らかにされている。今年5月8日に発売を控える本作は、今年頭より多くの話題を集めてきた。中でも熱い視線を集めてきたのが、『バイオハザード ヴィレッジ』におけるメインヴィランのひとり、ドミトレスクだ。1月に初のお披露目となって以来、妖艶さでファンを魅了してきたレディである。 

特筆すべきは、人間離れしたその巨軀だ。2メートルはあろうかという城の扉をさも狭そうにくぐり抜け、天蓋付きのベッドをやすやすと超える姿が一躍ネットミームに。わずかな出番であっという間に視聴者の心をつかみ、発売前から『バイオハザード ヴィレッジ』の看板キャラクターとしてのポジションを確立した。その反響はカプコンにも届いており、2月には彼女に関するビッグな情報が発表。その身長、ゲーム内実測にして290cmほどであることが明らかにされた(関連記事)。 

そして発売まで1か月が迫ろうという中、夫人について新たに詳細なプロフィールが明かされているようだ。アートディレクターの高野友憲氏からの情報を、海外メディアIGNが報じている。たとえば、先述の290cmという身長はヒールなども含めた背の高さとのこと。では、彼女が履いている靴の大きさはどれくらいなのか? 高野氏によれば、彼女の足のサイズは44cmだという。平均的な女性の足の2倍、ついでにいえばギネス世界記録タイトル「存命中で最も大きな足(男性)」を4cm上回るサイズである。ドミトレスクのハイヒールをデザインするにあたっては、実際の靴をスキャンし、デジタル上で巨体を支えられるように設計し直したという。 
 

 
本作ディレクターの佐藤盛正氏によれば、『バイオハザード ヴィレッジ』においては開発当初から「印象に残るキャラクターづくり」が目指されており、実際にネット上でドミトレスクへの反応を見た際には「正しい選択をした」と直観したという。もともと開発の初期に「村落」という舞台設定が決まったあと、風土感を表現するために、村で暮らす住民たちの設計が重要視されることとなった。そうした考えのもと、開発チームはエリアごとの敵キャラクターと、彼ら・彼女らとの出会いがもたらす体験を創りだすことにしたという。キャラクターありきで考えていく手法は、ヨーロッパの村落を舞台とする『バイオハザード4』で用いられたものに近いかもしれないという。 

ドミトレスクは、キャラクターを中心とした開発構想でも、初期の段階で誕生した存在。プロジェクトが始まったばかりのころ、ゲームのプロトタイプで用いられていたモデルは『バイオハザード7 レジデント イービル』のミアだった。彼女に帽子とドレスを着用させてテストをおこなっていたところ、まるで幽霊のような風貌が高野氏の目にとまったという。しかしそれだけでは恐怖感に欠けるため、試しにチームはミアのモデルを巨大化させて動かしていた。これこそが、圧倒的高身長の貴婦人が誕生した始まりだったそうだ。たまたま生まれたモチーフではあったものの、高野氏が「ドアをかがんで通る夫人」のイメージアートを描いた際、コンセプトに対する手応えをつかんだという。 
 

 
「巨大な貴婦人」というテーマが決定してからは、彼女にふさわしい舞台や体験が設定され、「ゴシックな吸血鬼の城」であるドミトレスク城が生み出された。オリジナルのコンセプトは「女性しか暮らしていない城」であり、そこからドミトレスクをボスらしく恐ろしい存在へするために試行錯誤がなされた。一時はよりクリーチャーらしいデザインも試されたが、最終的にはシンプルに「ものすごく背の高い女性」というアイデアがパワフルだと判断されたという。 

ゴシックな吸血鬼の城と女城主、というとかなりクラシックな舞台設定にも思われるが、ドミトレスクにはそれだけではない工夫が凝らされている。というのも婦人の出で立ちは直球で18世紀をモチーフにしているのではなく、1960年代の近代的なファッションを取り入れているのだ。ただ重厚ではなく、どこかモダンさも取り入れたドミトレスクのスタイル。オードリー・ヘップバーンが活躍し、「アダムス・ファミリー」が描かれた時代の軽やかな匂いも感じさせるところに、ただのゴシックホラーにとどまらない魅力が隠されているのかもしれない。 

またドミトレスクといえば、3人の娘をともなっていることも特徴のひとつ。物静かで頭の冴える長女ベイラ、殺人を楽しむサディストの次女カサンドラ、もっとも狂気的で妄想に取り憑かれた三女のダニエラという三姉妹も、主人公イーサンを追う脅威として登場する。ドミトレスクの娘たちを登場させた意図としては、「守るべき家族」をもつイーサンと対比したいねらいがあったそうだ。
  

 
なお初期のドミトレスク城の構想としては「100人のほぼ裸体の魔女(娘たち)が棲まう城」という案があったそうだ。佐藤氏によれば、同氏はチームに可能な限り普通でないアイデアを試すように勧めているという。ニッチなアイデアを膨らませていくのではなく、最初から極端なアイデアを追究していくわけだ。ただしプロジェクトが進むにつれ、制作しているものは徐々にホラーから逸脱してしまう。そこで、徐々に純粋なホラーへと寄り戻していくことも必要になるそうだ。 

娘たちのアイデアについても、最終的にはビデオゲームのかたちに落としこむことが難しいことや、「純粋なホラーへ寄り戻す」必要があったため、現在の3人の娘たちというかたちに落ち着いたという。とはいえドミトレスク城に登場する敵はすべて女性型であることから、最終形でも初期コンセプトの片鱗を味わうことができるようだ。女性優位の階級社会、というテーマは城の外にも見られ、血を吸われて朽ち果てた男性たちの骸を垣間見ることができる。 

『バイオハザード ヴィレッジ』はPlayStation 4/PlayStation 5/Xbox One/Xbox Series X|S/PC(Steam)向けに、5月8日発売予定。PlayStation 5向けには現在、本作のグラフィックとサウンドを味わえるビジュアルデモ『MAIDEN』も配信中だ。一足先にドミトレスク城を訪ね、貴婦人の匂いに思いを馳せてはいかがだろうか。 

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