PSVR2版『バイオハザード ヴィレッジ』は、体が固まるほど怖かった。“そこにいる”ドミトレスク、進化による恐怖の高解像度化


カプコンは6月3日、現在発売中の『バイオハザード ヴィレッジ(以下、『ヴィレッジ』)』について、PlayStation 5向けVR機器「PlayStation VR2」でのプレイに対応することを発表した。PS5版『ヴィレッジ』をベースに、ストーリーモードの全編がPS VR2でのプレイに対応するという。今月9月15日〜18日に開催された東京ゲームショウ2022のカプコンブースでは、試遊タイトルのひとつとしてこのPS VR2版『ヴィレッジ』が登場。筆者も試遊会に参加し、ドミトレスク城の一部をプレイさせていただいた。ただのVR移植と侮れない、ゲーム体験を演出するための工夫がそこかしこに感じられる体験だった。PS5版と比較しながら、プレイレポートをお届けする。


PS5版と比較して、大きく変更されているのが戦闘中の操作体系だ。試遊会では、ハンドガンとナイフの操作をそれぞれ試すことができた。ハンドガンは右手で構え、トリガーで発砲。PS VR2専用コントローラーである「Senseコントローラー」で直接敵を狙うかたちだ。さらに特徴的なのはリロード操作だ。ボタンで空のマガジンをリリースし、左手で新しいマガジンを腰から取り出して装填、そのまま左手で銃のスライドを戻す、の3段階になっている。従来の「ワンボタンでリロード」と比べると煩雑な印象を受けるかもしれないが、実際に試すとそこまで難しくはない。慣れればスムーズに操作できそうだと感じた。

ナイフは左腕の外側に装備しており、右手で取り出して攻撃する。こちらも目の前の敵に向かって直接ナイフを振り下ろすかたちになり、敵を攻撃しているという重みが増した印象だ。いずれの武器もVR向けの操作に変更されたことで、自分が武器で相手を攻撃しているという手ごたえがより一層感じられたように思う。特によりタクティカルになったリロード操作は、銃を構えているという臨場感が各段に強く感じられた。体験型のゲームとして、固定されていたリロードの待ち時間にゲーム性が付与されたという点も好印象だ。『ヴィレッジ』本編には上記のハンドガンとナイフのほかにも、多彩な武器が登場する。VR向けにどのような操作方法にアレンジされているのか、気になるところだ。

なお、上記の操作はプレイヤーの利き手を右手に設定した状態での操作方法になる。試遊開始時のゲーム内設定では、利き手を左に設定することも可能だった。利き手を左に設定した場合は上記の操作が左右反対になり、左手で銃やナイフを構えるかたちになる。左利き、もしくは右手でのエイム操作に不安のあるプレイヤーも安心だ。


では映像のほうはどうだろう。全体の印象として、「自分が今ゲーム内の空間にいる」という没入感を十分に得ることができた。PS5版で美しく猟奇的に感じられた古城の、まさにその中を歩いているという感覚だ。没入感を得られた理由として、遠くの風景から手元のアイテムに至るまで、見ているオブジェクトが違和感なくくっきり見えたという点が挙げられる。現実の物の見え方に例えるなら、「ピントが合う」と言うべきか。PlayStation.Blogに掲載されたインタビューによれば、本作ではPS VR2の視線トラッキング機能を活かした処理をおこなっているとのこと。プレイヤーが見ているところにフォーカスを当て、その部分の解像度を上げる「フレキシブル・スケール・ラスタライゼーション(FSR)」なる新機能が使われている。この機能によって、遠近いずれも自然に、かつ立体的に見えるVR映像が作られているわけだ。ただの移植に留まらない、VR体験への没入を促すための工夫が感じられた。


振動や音響といった要素も、さまざまな場面で効果を発揮していた。たとえば、三姉妹に引きずられて廊下を移動するシーンでは、連動してプレイヤーのヘッドセットが振動する。映像に合わせて振動の位置や強さも変化し、まさに自分の後頭部がじゅうたんをこすっているように感じられるわけだ。3Dオーディオの定位感も良好。ゲーム内で「物音がした方向を振り向いて確かめる」という、VRホラーゲームらしい体験もした。視覚・音響・振動が演出として機能しており、一度遊んだゲームでありながら新鮮なプレイ体験になっている。

もちろん、ドミトレスク夫人も圧倒的な存在感を放っていた。VRで体感する「身長290cm」は伊達ではない。夫人に手を取って舐められる場面では、恐怖で体が固まってしまった。VRで対峙するドミトレスク夫人は、それほどまでに大きく、おぞましいのだ。主人公のイーサンはドミトレスク夫人を筆頭に、数多くの個性的な人物たちと対峙することになる。彼らの存在が、VRでさらに色濃く印象付けられることは間違いないだろう。


30分に満たないゲームプレイではあったが、さまざまなアプローチでゲーム体験が強化されているという印象を受けた。戦闘・映像・演出のそれぞれに工夫があり、没入感や面白さにつながっている。製品版で体験するイーサンの決死行がどのようなものになるのか、リリースを楽しみに待ちたい。また『ヴィレッジ』の展開としては、10月28日より追加DLC「ウィンターズ エクスパンション」がリリース予定だ。このDLCには、『ヴィレッジ』本編を三人称視点でプレイできる「サードパーソンモード」、プレイアブルキャラやステージを追加した「ザ・マーセナリーズ アディショナルオーダーズ」、イーサンの娘ローズの成長後を描いた新シナリオ「シャドウズ オブ ローズ」の3つが収録される。あわせて、同DLCと『ヴィレッジ』本編がセットになった『バイオハザード ヴィレッジ ゴールドエディション』も同日リリース予定だ。PS VR2版『ヴィレッジ』が遊べるようになるまでは、こちらをプレイするのもよいだろう。