Nintendo Switch用ピンボールコントローラー「Digital Pinball Cabinet for NS」発売。ピンボール台スタイルで「台揺らし」も実現

Image Credit / noguo_
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エレメカゲーム開発者noguo_氏が運営する個人メーカーFAR EAST PINBALLは、4月8日よりNintendo Switch(以下、Switch)向けのピンボール専用筐体型コントローラー「Digital Pinball Cabinet for NS」を販売している。本製品は、Switchに取り付けることで縦型のピンボール筐体風にゲームを遊ぶことのできるガジェットだ。今年2月から開発がアナウンスされていたが(関連記事)、約2か月を経てこのたび正式にリリースされたかたちだ。現在はBOOTHより7800円で購入可能で、5月9日ごろ発送分の予約を受け付けている。

コントローラーを画面から取り外せる仕様から、画面の縦置きが容易なSwitch。したがって、その構造を活かしたピンボールタイトルは主に海外で(後述)数多くリリースされている。とはいえコントローラーを分離させる場合は水平な場所を用意し、うまい角度で画面を立てかけなくてはならない。Switchの売りを活かすならやはり携帯モードでプレイしたいものだ。そこで、Joy-ConをSwitch本体に取り付けたまま縦画面プレイを実現するためのガジェットはこれまでにも登場してきた。もっとも有名なものは現在Fangamerから2000円で販売されている「Flip Grip(フリップグリップ)」だろう(関連記事)。また同様のアイデアとしては米国の個人ガジェットクリエイターChad Hodge氏が販売する「3D Printed Adjustable Nintendo Switch Vertical Controller Mount」もある。こちらはProコントローラーに対して画面を縦向きに取り付ける器具で、Etsyにて2021円で購入できる。

Flip Grip。 Image Credit / Fangamer
3D Printed Adjustable Nintendo Switch Vertical Controller Mount。 Image Credit / Chad Hodge

「Digital Pinball Cabinet for NS」も歴々たる「Switch縦向きガジェット」に属するデバイスといっていいだろう。同製品は、側面にボタンのついた箱型の筐体にSwitch本体をはめ込むことで使用する。接続はUSBケーブルを使うため簡単に取り付けることが可能だ。そしてこれまでの縦向きガジェットにない特徴として、モーションセンサーが搭載されている点が上げられる。つまり筐体を左右・奥に動かす(叩く)ことで、ゲーム内のピンボール台を揺らすことが可能なのだ。台揺らし(モーションナッジ)は3段階の感度調節が可能とのことで、筐体実機さながらのプレイが可能となっている。エレメカ・ピンボールを愛するnoguo_氏ならではのこだわりの仕様といえるだろう。

ちなみに多くのアーケードゲームにおける「台揺らし」はマナー違反とされるが、ピンボールはむしろ台を揺らすことが「前提」のテクニックとされている。かつてピンボールはアメリカにおいて、ギャンブルマシンとして扱われ賭博禁止法に縛られていた。しかし1976年にピンボール評論家のRoger Sharpe氏が「台揺らしやフリッパーを操るテクニックによってスコアが上下する=運任せのギャンブルマシンではない」とニューヨークの連邦裁判所で実演して証明し、解禁へと導いた経緯がある。「Digital Pinball Cabinet for NS」を揺らす際も、歴史ある所作として丁寧にナッジしよう(台パンはご法度)。

ちなみに現在、Switchの日本版ニンテンドーeショップにて「ピンボール」と検索した場合にヒットするソフト数は31件。バンドル商品や追加BGMなどのDLCを除けばもう少し数が減る。対して、US版ニンテンドーeショップで“Pinball”と検索した際のヒット数は152件にもおよぶ。こちらはそもそものソフトウェアが多いのに加え、DLCとして追加可能なテーブル数が膨大なことにもよるだろう。実際、「Digital Pinball Cabinet for NS」が対応を明記するソフトも米国産ソフトの名が多い。そのなかにはアメリカの大手ピンボール実機メーカー「Stern」の作品を収録した『Stern Pinball Arcade』や、追加コンテンツでBethesda Softworksの『Fallout』『DOOM』シリーズなどをモチーフに遊べる『Pinball FX3』も含まれている。国内ニンテンドーeショップで購入できるソフトとしてはデジタル演出や敵の弾幕攻撃が特徴の『DEMON’S TILT』が挙げられるだろう。

Valveの『Portal』もピンボール化している。

「Digital Pinball Cabinet for NS」で実機に近いピンボールを体験したら、今度は実際のアーケード筐体に触れたくなるプレイヤーもいるかもしれない。日本では、大阪の「THE SILVER BALL PLANET」(関連記事)が国内最大級のピンボール・スポットとなっているほか(現在は新型コロナウイルス感染拡大防止のため臨時休業中)、PINBALL MAPを使えば自宅から最寄りのピンボール稼働店舗を探すことも可能だ。Switchでのピンボールさばきに慣れてきたらアーケードにも挑戦してみるといいだろう。

さかのぼれば西暦500年にまでその先祖があるとされるピンボール。その文化を残そうとする人はアナログ・デジタル業界双方に多く存在する。noguo_氏の作品も脈々たるピンボール文化の流れの一端として刻まれることになるだろう。もしピンボールの歴史に興味が湧いたなら、弊誌にて2017年に連載していた「PinballDays」シリーズも併せて楽しんでいただければ幸いである。ラスベガスに行かずとも本場の殿堂気分が味わえるはずだ。「Digital Pinball Cabinet for NS」はBOOTHから7800円にて購入可能で、現在は5月9日ごろ発送分の予約を受け付けている。

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