初代プレステやセガサターンなど、“6つのレトロハード対応”を謳う新作ゲームが話題に。開発者によると「一番作りやすいのはドリームキャスト」
初代PlayStationにくわえて、セガサターン、NINTENDO 64、ドリームキャスト、さらには3DOにN-Gageと、6つのハードへの対応に向けて制作が進められている。

複数のレトロゲーム機に向けて、新作ゲームの開発を行っている個人デベロッパーが注目を集めている。フリーランス開発者のWalfrido Abejón氏は現在、3Dプラットフォームアクションゲーム『Noah and the Poohloudies』を開発中だが、同作の対応ハードは初代PlayStationにくわえて、セガサターン、NINTENDO 64、ドリームキャスト、さらには3DOにN-Gageと、これら6つのハードへの対応に向けて制作が進められている。
個人開発者によるマルチコンソール開発という高いハードルにくわえて、その独特な対応機種のラインナップがReddit上で話題に。海外メディアGamesRadar+が報じ、あらためて話題になっている。

Abejón氏はこれまで10年以上にわたり、Unityでのゲーム制作の経験を積んできたという個人のゲーム開発者だ。PlayStation 4や PlayStation5、XboxやNintendo Switch、Wii Uなど多様なプラットフォーム向けの作品に携わった経験があるという。。同氏はRainy Night Creationsという名義の個人スタジオを運営しており、過去には『スーパーマリオ64』にインスパイアされたという『FreezeME』や、『バイオハザード』へのオマージュ作品だという『Vaccine Rebirth』などを制作している。
同氏はレトロゲームにインスピレーションを受けていることを明かしつつ、それになにか新しい要素を取り入れるゲーム作りを重視していると語っている。また日本のゲーム開発者からは大きな影響を受けているといい、そのなかでも任天堂は特別な存在だそうだ。
そんなAbejón氏が現在手がけている最新タイトルが『Noah and the Poohloudies』だ。同作は他のロボットと融合することで能力を得られるレスキューロボット・ノアを操作する3Dプラットフォームアクションゲーム。隕石の接近によって危機にひんしているロボットたち「Poohloudies」を救出することが目的となる。
しかしロボットたちは隕石の影響で誤作動を起こしており、プレイヤーに対して敵対的に振る舞う。そのため、単に倒すのではなく、捕獲してバックパックへと収納して救出、さらにそのロボットと融合することで新しい能力を得ていく。また、バックパックには最大で3体までのロボットを収納できるため、ステージ選択前にのどのPoohloudies(能力)を連れていくかという事前の戦略性も重要になるそうだ。

本作の最大の特徴はPoohloudiesとの融合によって得られる新しい能力にあるという。融合によってノアは次々と新しい能力を開花していき、それによってステージの攻略の幅も広がっていくそうだ。たとえば青いトゲ状の髪と赤い靴を持つPoohloudiesと融合すれば、高速移動が可能となり、これまで到達できなかった場所へ進めるようになるという。このPoohloudiesはソニックをイメージしているそうで、日本のレトロゲームを愛好する同氏ならではのオマージュも本作の魅力となりそうだ。
本作は2016年にはすでにプロトタイプが作成されていたものの、サバイバルホラー『Vaccine Rebirth』の制作を優先するため、一度破棄されたプロジェクトだったそうだ。ところがある日、Redditにてスプライトを表示して動かすPlayStation向けのチュートリアルを見かけ、同作に導入してみたという。すると、ノアを3Dマップで走らせると楽しいことに気づいたそうだ。プロトタイプは現在とはまったく別のゲーム性の作品だったが、これをキッカケにレトロハードに向けた開発がスタートしたという(SEGA SATURN, SHIRO!)。
Abejón氏はまずPlayStation版の開発を進めたのち、ドリームキャスト版の開発にも着手。ところが第6世代にあたるドリームキャストは性能が比較的高く、移植作業は同氏にとっては歯ごたえがなかったようで、よりやりごたえのある旧世代のセガサターンへの開発に進んだのだという。こうして次々と対応ハードが膨らみ、現在はNINTENDO 64、3DO、N-Gageに向けても開発を行っている。これらの複数ハードでの開発は、オープンソースの開発キットを活用しながら、エンジンを含めてすべてゼロから作っているそうだ(Reddit)。なおPC版も同時に制作中で、完成すればリリース予定とのこと。

ところで「3DO」と「N-Gage」はやや聞き馴染みのないハードかも知れない。「3DO」はかつて存在した米国の企業The 3DO Companyが開発したメディア規格。1994年に松下電器(Panasonic)から同規格に対応したゲームハード「3DO REAL」が発売されており、単に3DOと言った場合は同ハードを指すことが多い。「3DO REAL」は据置型ゲーム機で、世代としてはPlayStationやセガサターンに並ぶ第5世代ハードに位置づけられる。高性能なマルチメディア端末として売り出されたものの、高額な価格やソフト不足の影響で普及せず、不遇のハードとして知られている。
一方の「N-Gage」は携帯端末の開発会社として知られるノキアが2003年に発売した、ゲーム機能を持つ携帯電話端末だ。日本では未発売となっている。セガやエレクトロニック・アーツなどさまざまなデベロッパーがゲームを供給したものの、テンキーの使用を強いる操作性の悪さなどが指摘され、こちらも商業的な失敗に終わっている。ちなみにAbejón氏がN-Gageを開発候補に選んだ理由は、たまたま家にあったからだそうだ。
なお、開発中の6ハードの中でもっとも開発に手こずっているのは3DOだという。描画力を損なうことなく少しでもフレームレートを引き上げるためさまざまな手段を試している最中だそうだ。ちなみにN-Gageについては、メモリは存分にある上にCPU性能も十分だが、GPUラスタライズ機能がないため、ポリゴンを自身で描画しなければならない点が問題点だと同氏は語っている。ただし全体的には悪くないハードだそうだ。

一方で、移植しやすいプラットフォームにはドリームキャストを挙げている。OpenGLラッパーなどPCからの移植に有用なライブラリが充実しているうえ、開発コミュニティも活発な点を理由に挙げている。ちなみにAbejón氏は、こういったレトロハードに向けた開発について、「自分は特別な人間ではなく、誰にでも出来ること」だと語っている。ただし、こうした多数のレトロプラットフォームに向けた開発は非常に時間がかかるもので、忍耐は必要だと伝えている。
今回は、個人開発者によりレトロハード向けにマルチ展開するという前例の少ない挑戦に対し、ネット上で関心が集まったかたちだ。ただし本作は開発の再スタートから数えても5年以上経過しており、増え続ける対応ハードに最適化するのに長い年月が必要となっている状況もうかがえる。ちなみにReddit上では「ニンテンドーDS版もあったら最高なのに」というコメントに対して、同氏が「TODOリストに入っている」と応じており、今後さらに対応機種が拡大していく可能性もある。Abejón氏の今後の動向が注目されるところだ。
『Noah and the Poohloudies』はPC/PlayStation/NINTENDO 64/セガサターン/ドリームキャスト/3DO/N-Gage向けに開発中だ。
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