『Call of Duty』シリーズを通じたゲーマーの寄付が、5万人以上の退役軍人に新たな職を与える力に。Activisionが支援活動の実績を報告


Activisionは4月3日、退役軍人を支援するために設立した非営利団体「Call of Duty Endowment」の2018年までの活動実績を公開し、この10年間で5万4000人以上の退役軍人に新たな職に就かせることができたと報告した。

Call of Duty Endowmentは、Activision BlizzardのCEOであるBobby Kotick氏の主導で2009年に設立。退役軍人に対する取り組みとして記念碑の建立などシンボル的な事業が多いなか、Kotick氏は本当に必要とされているものは退役後の職であるとして同団体を設立。当初はアメリカ国内に限って活動していたが、2017年からはイギリスの退役軍人への支援も開始している。Activisionの看板タイトルである『Call of Duty』の名を冠していることは、活動の認知度を高める狙いがあるが、アメリカ軍やイギリス軍の兵士の活躍を多く描いてきた同シリーズに関連する支援活動としても自然だろう。

同団体は、退役軍人に給料の良い職を斡旋することを目的としており、2018年までの実績では、93パーセントがフルタイムの仕事に就いている。そして、アメリカの全国平均の1.9倍にあたる、平均5万8250ドル以上の給料の仕事に就かせることができたという。ひとりを仕事に就かせるにあたってかかるコストは平均522ドルで、これはアメリカ政府がおこなっている支援策よりも6倍ほど効率が良いとのこと。こうしたコストについては、同団体は支援者からの寄付や基金の設立によって賄っており、またActivision Blizzardからもこれまでに2500万ドル以上の寄付がおこなわれている。

Call of Duty Endowmentに対しては、ゲーマーも気軽に寄付できることが特徴だ。PS3/Xbox 360時代には特別なテーマが各ストアで販売され、『Call of Duty: Black Ops III』以降の各シリーズ作では、ゲーム内で使用できる武器スキンやキャラクターの軍服、コーリングカード、ジェスチャーなどのセットが販売。その収益は同団体に全額寄付されてきた。アメリカとイギリスでしか販売されていないが、そのゲームのファンに特別なアイテムを提供することは巧みな試みだといえるだろう。ゲーム業界ではこれまでにも、たとえば乳がん研究基金へのチャリティ活動として『オーバーウォッチ』のマーシーのスキンを販売したり、試合で大怪我を負ったプロレスラー高山善廣選手を支援する『FIRE PROWRESTLING WORLD』向けのDLCが販売されるなど、数多くの例がある。

Call of Duty Endowmentは、2019年までに5万人の退役軍人に良い職を提供することを目指して活動してきたが、その目標は見事達成された。今後は、2024年までに計10万人を目指すとし、活動は継続されるようだ。