国内に拠点を置くパソコンメーカー・マウスコンピューター。CMで知名度がさらに広がりつつあるが、ゲーミングPCブランドG-Tuneを保有しており、ゲームイベントやeスポーツチームのスポンサーなど、ゲームに関連したイベントや団体に支援をおこなっていることでも知られている。弊社アクティブゲーミングメディアのパブリッシングブランドPLAYISMも、支援をいただいている団体のひとつ。6月1日より実施される日本最大のインディーゲームフェスBitSummitの出展においても、PCの機材をマウスコンピューターから貸し受けている。

なぜゲームイベントで機材を無料で貸すのか。もちろんプロモーションの一環であることは理解できるが、メリットとデメリットの天秤はどのようなバランスになっているのか。5月某日、編集部はマウスコンピューターの本社へと足を運び、製品部の安田祐三郎氏と、マーケットコミュニケーション部の中井康太氏にお話をうかがった。

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なぜ無料で機材を貸し出すのか

───今回弊社アクティブゲーミングメディアのPLAYISMのBitSummit出展において、機材を貸していただくということで、今回のようなご縁がありました。まず、ありがとうございます。

安田祐三郎氏(以下、安田氏):
いえいえ、とんでもないです(笑)。正直イベントに関して言うと、どういったところで認知に繋がるのか見えない部分がありますので、我々としても協力をさせていただいて、メリットが生み出せるような関係を生み出していきたいという思いがあります。

安田祐三郎氏

───ゲームイベントでの年間貸出総台数は、どのぐらいなのでしょうか。

安田氏:
総台数をぱっと答えるのは難しいです。イベント数で言うと、年間大体70から80ぐらいでしょうか。BitSummitや東京ゲームショウで各ブースに貸し出していたり、UnityさまのカンファレンスイベントUnite Tokyoでは、一昨年と昨年はUnityさまへ直接機材を貸し出して、各ブースで使っていただいたほか、Uniteへ出展するパブリッシャーの方にも貸し出しました。貸し出し可能なのは計60台ですね。

───ゲーマー向けだけでなく、業界系のイベントにも貸し出しているということですね。

安田氏:
機材が欲しいと言われるのは、弊社を知っていただいている方々になります。そういった意味での認知度から、ゲーミングPCならG-Tuneだろうということで、お話をいただいているのではないかと思っています。弊社ではイベント貸し出し専用の機材として、デスクトップPC60台とモニター60台を用意しており、少ない時は1台単位なんですけど、多い時には最大の両方を60台貸し出しています。

貸し出し用機材には2種類のスペックがあり、台数が多いのはIntel Core i7-6700をCPUに採用したPCです。2-3年前に作った機材なのでCPUは古めなのですが、グラフィックカードは当時一番の性能ということでGTX 1080 Tiを搭載しています。こちらを50台用意しておりまして、加えてGTX 980を搭載したものを10台用意しています。

───イベントのバッティングなどで、(貸し出し機材のキャパシティが)オーバーしたことはありますか。

安田氏:
バッティングはありますね。GWや9月のゲームショウの時期にはイベントが多く、バッティングすることもあるので、何とかイベント用機材の方も調整をつけて対応しています。PCの真価を発揮するためには、ゲームに使っていただくことが重要だと思っておりまして、そういうところで露出をはかっています。

───つまり、無料で貸し出しをされていると。

安田氏:
はい。貸し出しによって業界関係者の目に入るので、関係者の認知に繋がり、更に次のイベントへ発展します。イベントで盛り上がればメーカー様と弊社の両方の認知度が上がり、互いにとってメリットのある活動が増やせると考え、貸し出しを行っています。

───貸し出しについては、ビジネスにはしないのですか。

安田氏:
貸し出し自体をビジネスにしてもメリットが少ないんです。料金体系を作ったとしても、うちの露出に繋がる内容にはなりません。それなら無料で貸し出しをして、その分露出を増やしたほうがよいと考えています。そのため、貸し出しは無料で行っており、基本的に返却時の発送費用だけを支払っていただいております。

───この記事を見て、貸し出しを受けたいという企業さんもいらっしゃると思うんですけど、歓迎されますか。

安田氏:
勿論ですね。貸し出しをさせていただいて、その分露出することをメリットとして考えていますので、PCのスペックを生かしたゲーム実演などでブースに置いていただいたり、CMを流していただいたり、そういう露出案を出していただければ、是非貸し出させていただきます。有り難い話ですね。

中井康太氏

───貸し出しにあたって、契約を結んだりはしないのでしょうか。

安田氏:
貸し出しにあたって契約を結ぶようなことはしていません。イベントで貸し出しを受けたい際は時間がないケースが多いこともあるので、ご提案いただいている内容で検討し、貸し出しています。

───逆に言うと、ちゃんと扱ってくれそうな相手を、見極められているということですね。

安田氏:
イベントの実績であったり、直接お会いさせていただいたり、そういったところで判断させていただいています。

───では、今日お会いしたということで、うちも貸し出していただけるということですね(笑)。

安田氏:
勿論大丈夫ですよ(笑)。

 

壊れるデメリットよりも、貸すメリット

───PCは繊細なものですので、貸し出すと壊れることもあると思います。その際、請求などはどのようになりますか。

安田氏:
そうですね、時には壊れることもあります。ただ壊れた時の状況は判断が難しく、ケースバイケースでの判断になります。輸送事故ではなく明らかな外傷のケースでは個別にお話をさせていただいて決定しています。ただ長年使っていることもありますので、そこで請求するしないというのは、本当に場合によります。普通に、きれいに使っていただいた上で、最終的に壊れたということであれば問題ありません。

───ちなみに、故障率はどの程度でしょうか。

安田氏:
何台に1台とか、そうした割合で発生するものではないですね、なので数字としては出していませんが、年に一台壊れるぐらいの感覚です。貸し出しの度にクリーンアップを行った上で貸し出しているので、故障は少ない認識を持っています。

───そこには、やはりマウスの製品の耐久面での強さみたいなものが関係していると。

安田氏:
ありますね。たとえば、貸し出しているPCは、「LITTLEGEARシリーズ」という小型で頑強な作りをしていて、大型のグラフィックカードを搭載できる、イベント用に作った機材でして、そういう意味でも保証ができているのかなと思います。

※LITTLEGEARシリーズ:税込み10万円台から販売されている、ゲーミングPCブランドG-Tuneの製品。

───イベント時の破損なども考慮しているからこそ、壊れたりはしないということですね。ただ気になるのは、壊れた分のコストは、露出のメリットで回収できているのかという点です。

安田氏:
個別の案件ではあまり考えていないんですが、やはり露出のメリットのほうが上回っていると考えております。イベントに出展した後にいただく「このイベントで見ましたよ」という声であったり、新たにビジネスのお話がきて「うちのほうでも使いたい」という声であったりとか、「新たに協賛しませんか」というお話がビジネスの場にくる事をメリットとして捉えています。貸し出した方からも新たな方を紹介していただけますし、人脈だったりとか、そういうところをメインに考えていることになりますね。

───会社からは、数字などは求められませんか。

安田氏:
草の根活動ではないですが、イベントをしているからこそ今の実績があるんだと、そういう根拠として見ていただいています。協賛いただいている会社さんに、イベントレポートとして、来場者数の情報やブースが盛り上がっている写真などを用意いただきます。
数字だけではなく、多くの人に見ていただいているという事をアピールし、貸出をしているからこそ、今の売り上げがあると説得しています。

───Uniteはマクロで貸し出されているのに対し、BitSummitでは出展単位のミクロで貸し出していますよね。ブランド認知を考えると、貸し出しではなくイベントの大型スポンサーになったほうが露出は高そうなんですが、PLAYISMへの貸し出しのみなのはどうしてでしょうか。イベントごとに異なるのか、あるいは哲学があったりするんでしょうか。

安田氏:
PCをどれだけ露出させていただけるかがポイントだと思っています。イベントのスポンサーに入ったとして、ロゴが大きく出ますとか、CMが流せますというもありがたいのですが、それよりも実際にPCを扱っていただけることのほうが重要だと考えておりまして、そういう観点からミクロのところへも貸し出させていただいています。

───ちなみにイベントで「これを動かすのか」と驚かれた、パワーが必要なゲームやツールはありますか。

安田氏:
少し前に発売された『Anthem』ですね。メディア向けの小さなイベントでの話になるのですが、発売前のタイトルということもあり、スペックが足りない恐れがありまして、その時はRTX 2080 Tiを新たに用意させていただきました。

中井康太氏(以下、中井氏):
イベントによってはそのために機材を作ったりもしますよね。

安田氏:
そうですね、先方希望で最高スペックのものが欲しいということもあるので、用意することもあります。

───小さな会社まで見ていただいているというのは、嬉しいですね。ちなみに、これまでに貸し出しで嬉しかったパーソナルなエピソードはありますか。

安田氏:
貸し出した上で、人との繋がりが増えていったことですね。貸し出した当初は、G-Tuneをどのように露出するか悩んでいた頃で、貸し出した上で話したところ、次もやりたいという声をいただいたり、イベントで見たんですという話をいただいたので、貸し出してよかったというのがありましたね。

───悲しいエピソードは悲しくなりそうなので辞めたほうがいいですかね(笑)。

安田氏:
いえいえ。悲しいというか苦しかったことでいうと、イベントの貸し出しは本当に直前にくることもあるので、やっぱり調整ですね。長野県飯山市に工場がありまして、そこに機材が保管してあります。そこから発送するのですが、色んな調整をした上で間に合うかどうかといった事態が発生することがありまして、そこが辛いとこですね。

───取引がないのに頑張らないといけないというのは、中々ボランティア精神が問われるところですね。

安田氏:
時間がとられてしまうところもあるので苦しいところです(笑)。

───でもそれはちゃんと、今までもこれからもやっていくと。

安田氏:
やっていきたいところではあります。

 

イベント用に設計された機材

───ちなみに「LITTLEGEARシリーズ」はイベントを意識したのでしょうか。それともこれがイベントに丁度合うのでしょうか。

安田氏:
イベントを意識した機材です。これを販売した時期が、ちょうどVRが流行り始めていた時期で、開発者の方とよく交流していたのですが、その頃のVRがノートPCだと上手く出力できないトラブルがありまして、デスクトップでパワーがあり、かつ取り回しがしやすいものが欲しいという要望があったので、そういった意図を汲んで作られたのがこのモデルになります。

───PCに取っ手が付いているものは中々見かけないですね。

安田氏:
実際イベント関係者の間では好評でして、会場では2台運んでいく姿が見られたりします。

中井氏:
かなり持ちやすいですよね。

───ちなみにこれは一般販売されているんですか。

安田氏:
10万円台から販売されています。

───ちょっと持たせていただいてもいいですか?(そばにあるPCを持つ)やっぱりPCですしそれなりに重さがありますね。

中井氏:
ちなみに、こちらはイベント機材と別のモデルになります。

安田氏:
大型のファンが取り付けられているハイスペックなモデルです。

───イベントの機材はもう少しお値段も性能もコンパクトと。

安田氏:
イベント用モデルはGTX 1080 Tiを採用しているため1世代古く、販売が終了してしまったんですが、後継のモデルが20万円ほどで販売されています。

───仮想通貨の発掘でグラフィックカードが値上がりしましたけど、影響はありましたか。

中井氏:
あの時はすごかったですね。マイニングブームがあって。

安田氏:
マイニングという言葉も見たくなくなるほどでした。パーツが値上げした時は、やはり本体価格にも反映させなければならず、苦しい時期でした。

───商品企画の段階からイベントのことを考えておられたんですか?

安田氏:
大型グラフィックスであったりとか、そういうところを意識したというのはありましたね。

 

強みは品質とメンテナンス性

───実際、ハード面でのマウスさんの強みは何だと思いますか。

安田氏:
マウス全体の強みは、品質だと思っております。長野県飯山市で組み立てておりまして、ただラインで流すのではなく、一台一台を人が見て組み立てています。それぞれの組み合わせごとに作り方が用意されていて、セル生産方式というのですが、一貫した生産ができるように配慮しています。一回作ったものを全部ばらして、中身を見たりする抜き取り検査も行い、品質を高めています。

───クオリティアシュアランスの部分に力を入れられているんですね。

安田氏:
そのとおりですね。国内生産ならではの品質というところは、自負をもっています。また、サポートも365日24時間対応で、サポートセンターが国内の沖縄にあるのは安心できるところだと思います。

───品質以外の部分で推し出すなら、何かありますか?

安田氏:
弊社の製品は、デスクトップ製品で特に顕著なのですけど、メンテナンス性を重視しています。たとえばこのPCは、底面から空気を吸うようになっているので、取外し可能なダストフィルタがあります。ホコリが溜まってきたら水洗いをし、乾かしていただければよいので、そういった時に簡単に取り外せるのが強みです。

───ではエアフローが悪くてGPUが悲鳴をあげるようなこともないと。

安田氏:
熱の検査も厳しくしているので、それにちゃんと通ったものだけが販売されています。

中井氏:
また製品の特徴としては、ユーザーの意見を反映している点です。

安田氏:
LITTLEGEARシリーズ」もVR用に欲しいという声に反応したものなのですが、最近で言えば去年の7月に発売したデスクトップPC「NEXTGEAR-MICROシリーズ」は、ユーザーにアンケートを取り、そのアンケートを元に作ったことが特徴になっています。ニコ生で配信している人気ゲーム配信番組の顔TVに参加して、「新しいケースを作るのですが、どんなケースが欲しいですか」と、60分ぐらい聞いてみて、ニコ生のアンケート機能を使ってその中で有力だったものを採用しました。だから、他にない特徴があります。たとえば前面には、HDMI端子があるんです。前面にあるとVRが簡単に接続できるほか、キャプチャー機材も簡単に接続できるようになっています。

───では例えば、背負いたい人がたくさんいれば、背負えるPCができるとか(笑)。

中井氏:
かなり背中の筋肉が強くなりそうですね(笑)。

安田氏:
意外なところとしては、筐体内部を光らせたいのかと思っていたんですが、そうでもありませんでした。7割のユーザー様から光らせたくはないという結果がでたので、基本的には光らせず、BTOで光らせられるようになっています。そういう形でいくつかアンケートをとって作りました。

───PCユーザーは光っていると喜ぶというのは、確かにちょっとステレオタイプかもしれませんね。よく考えると、夜中に青光しているのは目に悪い(笑)。

安田氏:
ゲームのダウンロード中に寝ようとしたら、光っていて寝られないとかありますよね(笑)。

 

eスポーツチームのスポンサーは、売上につながる

───もう一つ興味深かったのが、eスポーツを支援されていることです。eスポーツへのスポンサードに、力を入れ出したのはいつ頃からですか。

安田氏:
力を入れだしたのは3年前ですかね。2015年に、プロゲーマーにスポンサードさせていただいた辺りです。きっかけはまずゲーミングチームさんが弊社のことを知っていて、スポンサードしていただけませんかと話をいただいたことです。

───人の繋がりを大事にされるんですね。

安田氏:
そうですね。そういったところで縁があってスポンサードさせて貰っているケースもあります。元々繋がりのあったゲーム配信集団の「GODSGARDEN」さんが、プロゲーミング化するという際に声をかけていただいたりなど、そういう縁がありましたね。共にビジネスをすることになるので、どういう方々でどういう活動をしているか、知っているというのは一つの重要な点と捉えています。逆に、弊社から声をかけたケースもあり、チームによって千差万別です。

───マウスさまからスポンサーされるチームの基準はありますか。

安田氏:
まず活動の実績があること。活動方針、どこを目指しているのかが明確なところ。スポンサードしてほしいとオファーを頂くことはあるのですが、今後の活動の展望として、具体的なプランを描くのが中々難しいところがあったりします。プランをしっかり描いており、その上でそもそも実績があるという2点が揃っているのであれば、スポンサーさせていただきたいとなってきます。

───伸びてくるのかなという高揚感、ワクワク感は大事なところですよね。スポンサーされるようになって効果や露出が増えたなと実感出来るようなことはありましたか。

安田氏:
プロゲーマーが使っているPCと同じスペックのモデルを販売しているのですが、明確な売上効果が出ています。スポーツ選手が使っているものと同じ道具を使うことに憧れがありますし、プロゲーマーが使っているから安心して使える側面がある。なので、スポーツ選手と同じだと思っています。選手への憧れと信頼の2点が強いなと。

───フレームレートが安定していないと競技になりませんよね。積極的にスポンサーされているというより、少数精鋭だとか、魅力的なチームを応援しているとか、方針はありますか。

安田氏:
弊社はスポンサーしているチームが多い方だと思っておりまして、現在はDetonatioN Gaming、GODSGARDEN、Unsold Stuff Gaming、AXIZ、将来的には他にもスポンサードしたいチームもありますので、数はかなり多いほうだと思っております。

───ちゃんとチームとしての特徴を見て、スポンサー先を選んでいるんですね。会社の哲学の部分についても教えていただければと思います。実は一番聞きたかったことなのですが、ハードウェアの売り手として、マウスさんからPCゲーム市場はどう見えますか。

安田氏:
大きくなっていると思っています。ゲームへの入り方がだいぶ楽になったのかなと。PCゲーム──ゲーム業界全体でいえば、スマホでゲームをするのは当たり前になってきましたし、Webのブラウザゲームも気軽にゲームができ認知度が上がっている。さらにコンシューマー機でゲームをする方もいますが、その上で「本格的にプレイするならPC」として、地位が確立できていると考えております。

───そうした上で考えると、eスポーツの意味は大きいですね。

安田氏:
かなり大きいですね。コンシューマー機ではできないことがありますので。特にFPSタイトルで60以上のフレームレートを出せることが大きいですね。

───144fpsと60fpsはやはり違いがわかりますか。

安田氏:
わかりますね。違います。144fpsから上は難しいと思いますが。

中井氏:
60fpsと144fpsはプレイしていても、わかりますね。映像がより滑らかに描写されていると感じます。

───競技シーンのことを考えると60じゃ足りないというか、144まで確保したいということでしょうか。

安田氏:
そうですね、フレームレートで見るなら、144まで確保したいです。

中井氏:
そうした傾向は、やはりシューティングタイトルで顕著ですね。

安田氏:
選手も144fpsで慣れている環境です。なので、そこからぶれるとAIMに影響が出るんです。PCのせいで負けてしまったということにはさせたくないんですね。

 

ずっと『FF14』が強い

───ちなみにPCゲーム市場に、特に盛り上がりを感じた年はありましたか。

安田氏:
売上は年々増加傾向にありまして、弊社の売上は年間少しずつ伸びている状態です。弊社は比較的古くからゲーミングPCを販売しているメーカーなので、まず印象的だったのは独自特典をつけたゲーム推奨PCの登場になります。どのPCならゲームが動くのか当時わからない状況だったことが大きかったなと。その次が、先程もお話したプロゲーマーが使用しているモデルです。

───具体的にどのゲームの推奨PCが売れましたか。

安田氏:
『ファイナルファンタジーXIV』(以下、FF14)は長く売っているのですごく強いですね。正直なところ、『FF14』は特典も何もつけていないんですが、それでも売れるんですよね。

───ちなみに『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』(以下、PUBG)推奨PCはどうでしょうか。

安田氏:
プロゲーマーがオススメするPCを、『PUBG』で検証するというアプローチをしました。ちなみにこのモデルも結構売れましたね。

モデルのひとつ NEXTGEAR-MICRO im610SA3-SMM

中井氏:
『PUBG』に関しては、昨年のハロウィンに弊社主催で「マウスコンピューター ドン勝ハロウィンナイト」というイベントを行いました。

安田氏:
「e-sports SQUARE AKIHABARA」という、実は弊社で機材を全部貸し出している施設がありまして、そこで人を集めてハロウィンなので仮装してゲームをやろう、というイベントですね。

中井氏:
そこにギリースーツをきてくださったユーザーさんがいらっしゃいまして。

安田氏:
ゲームの大会とコスプレの大会を実施し、投票で1位を決め、確かギリースーツの人が1位でした。

中井氏:
ギリースーツの方が1位でしたね。すごくクオリティが高くて、驚きましたね。どういったコスプレの方に参加していただけるのか、弊社側も蓋をあけて見るまでわからない部分があるので不安だったんですが、いざ当日になってみると素晴らしいファンの方にご参加いただけました。

このイベントでは、ギリースーツの方にゲーミングPCをプレゼントしました。「一晩ギリースーツを着てゲームをすればPCが貰える」と言えば、ちょっと極端な話ですけど、こうしたゲームを楽しんでいただくという観点でのイベントも開かせていただいております。

───PCユーザー的にはSteamが登場し、集積できるライブラリができ、遊びやすくなったことで、PCゲーム市場はお金がまわりやすくなったと思っています。Steamについてどのように捉えられましたか。

安田氏:
Steamの登場は、「一つの契機だった」と思います。今まではゲームタイトルごとに人気が出ていた状態だったので個別のタイトルを見ていることが多かった状態でした。それが、Steamが広まったことで多くのゲームが認知されやすい状態になりました。

さらに「PUBG」などの人気タイトルによってSteamの認知度があがり、Steamの新しいゲームタイトルを配信する方もどんどん増加していき、プレイしながら配信ができるスペックが必要となるゲーミングPCの必要性があがったと感じています。

中井氏:
タイトルの普及する速度が上がりましたね。それに伴い新しいタイトルに必要なPCモデルをすぐに用意したりすることも増えました。

─── 一昔前に比べると、PCゲームにはいろんな選択肢がありますよね。

安田氏:
ジャンルやタイトル数が増えたことを痛感しています。流行り廃りも早くなりましたのでゲーム推奨PCも難しくなりました。

───より多くのゲームをサポートする必要があると。

安田氏:
これぐらいのゲームならこれぐらいで動く、という指針を出すことが重要なのかなと思っております。

───ちなみに、ゲーム推奨PCの売れ行きは『FF14』が際立っていますか。

安田氏:
ゲーム推奨で売れているのは『FF14』ですね。今まで多くのゲームタイトルがリリースされてきましたが、『FF14』はずっと安定して売れていますね。などがリリースされましたが、『FF14』はずっと安定して売れていますね。きちんと大型アップデートをやって、コンテンツを増やしつつ新規層を増やす活動をしていることが強いのかなと。

───ちなみに、マウスさんで使われているベンチマークはなんですか。自社ベンチマークソフトなどはありますか。

安田氏:
基本的に3DMARKとPCMARKになりますね。ただ直営店の店舗では、FFシリーズは一つの基準になるのかなということで、よく使わせていただいております。

───パワーのいるゲームになるとファンがうるさくなりやすいイメージが強いのですが、その部分は何か対策をされていますか。

安田氏:
デスクトップのケースファンにはDCファンとPWMファンがありまして、G-TuneではほとんどのモデルでPWMファンを使用しています。PWMファンでは細かくパルス信号で設定を決められるので、温度設定に応じて細かく回転数を設定して音を小さくすることができます。DCは電圧制御なので、大雑把な制御になってしまい難しいです。

───BTOに関しては、電源は大丈夫なのだろうかという疑問を持つ方もいると思います。

安田氏:
そうですね。電源を気にされるお客様は多くいらっしゃいました。そのため品質チェックのクオリティを上げていきました。例えば日本の安全規格である1200Vをはるかに超えた2200Vでチェックをした電源を使用することで、安定した電源を用意させていただいております。

───マウスさんにとってSteamにまつわる印象的な出来事はありますか。

安田氏:
やはり『PUBG』ですね。店頭に来られる方からは、こういうゲームがやりたいんだけど、どのPCなら動く?というような問い合わせを受けるのですが、そうした問い合わせが多くなったのは『PUBG』後からです。

───逆に、このゲーム意外と人気だったみたいなのはありますか。PS4にもありますが、『レインボーシックス シージ』(以下、R6S)はいかがですか。

安田氏:
『R6S』は人気がありますね。『R6S』は、国内でも世界でもプレイヤー数が増加しているタイトルです。しかもPCの割合がどんどん伸びている。昨年、eスポーツイベント「RAGE」へ世界一のチームが来ると聞いて見に行ったのですが、若年層が多くて驚きました。特に中高生ぐらいの層が多く、こんなに若い子もゲームをやっているんだと、嬉しかったですね。

───若い層が多いですね。『R6S』が人気なのは、メディアの人間としても強く感じます。そのほか、人気だと感じるSteamゲームはありますか。

安田氏:
ちょっと前まで『The Elder Scrolls V:Skyrim』(以下、Skyrim)といったベセスダ系作品の問い合わせも多かったですね。

───なるほど。ModをいれるというのはPCを買う動機になりますよね。

安田氏:
長期で人気のあるゲームは、問い合わせも増えますね。

───今でも『Skyrim』は何万人ものプレイヤーが、毎日遊んでいます。

安田氏:
私もやっています(笑)。さっきのModの話もありましたけど、Steamでは有志の作ってるModだったり、コミュニティの活動が増えているので、日本でもMod文化がもう少し成熟してくれたらなと思います。

───Modといえば『グランド・セフト・オートV』も入ってきますか。

安田氏:
そうですね。やはり、人気タイトルは問い合わせが多く入ってきますね。

 

リサーチのためにもゲームは遊ぶ

───タイトルの人気が出ると、それにPCの売上が引っ張られるところがあるんですね。Steam外では、『FF14』以外にどのようなタイトルが印象的でしたか。

安田氏:
切っても切り離せない関係ではありますね。すこし前だと『黒い砂漠』はグラフィック重視なところがウケましたね。PCスペックを求められる点が大きかったです。

───まさしく出番という感じですね。

安田氏:
最近はオンラインゲームが若干弱くというか、新規タイトルがあまりリリースされなくなっている現状がありまして。そこで今でも生き残っているゲームという、あまり無いタイプですね。

───特にスペックがいるタイトルの中では、そうですね。

安田氏:
そういう意味でいうと、先程プロゲーマー推奨というのがありましたが、日本でLJL(League of Legends Japan League)が出来た時には、だいぶそっち系のPCの販売が伸びましたね。

───ゲームシーンとの連動が想像以上に大きいんですね。面白いです。盛り上がったらどんどん恩恵を受けるというか。それに関連した話なんですが、中井様の方からインディーゲームが好き、ということを伺ったのですが、それは個人の話ですか。

中井氏:
そうですね。個人的に好きです。海外ゲームがずっと好きで、中学の頃からXbox 360でずっと遊んでいたんです。タイトル的にインディーゲームには大手メーカーにない独自性や世界観があり、そういったところに惹かれて、LIVEアーケードなどでも遊んでいました。Xboxで一番好きなのは『HALO』シリーズです。

───好きなインディータイトルをいくつか答えていただけますか。まずは安田さまから。

安田氏:
私は、インディーゲームは、あまりプレイはしないんですが、『Banished』は遊びました。ひたすら村を運営していくゲームで、今でもちょこちょこやっていますね。シミュレーション系全般が好きで、コーエーさんの『信長の野望』シリーズや『三国志』シリーズを含め、シミュレーションが好きです。

───『Banished』。渋いですね。

安田氏:
ずっとゲームできちゃうので怖いですね。冬を超せたときの喜び、初年度を超せたときの喜びですね。生き残らせたという。もうひとつは、かなり昔のタイトルで、ツクール系の作品なんですが『イストワール』。古いフリーゲームで、世界観がすごく良かったんですよね。

※ イストワール:ツクール2000で作られた、ダンジョン探索がメインのフリーシナリオRPG。公開は2004年。

───どちらもなかなか渋いチョイスですね。

安田氏:
シミュレーションか、設定にこだわりまくっている作品が大好きですね。

───では、中井様はいかがですか。

中井氏:
まず2017年にリリースされた『Doki Doki Literature Club!』。あの作品はプレイ後に大きな衝撃を受けました。

───いきなり変化球から来ますね。

中井氏:
あれは本当によかったですよ。

───特濃ですね。

中井氏:
二つ目は、『VA-11 Hall-A:Cyberpunk Bartender Action』。退廃的なサイバーパンクの世界観が大好きで、毎晩お酒を飲みながら夢中でプレイしました。

───ありがとうございます。弊社からPS4とNintendo Switch版がまた出ますので、よろしくお願いします。

中井氏:
三つ目はちょっと月並みな答えなんですが、『PUBG』をずっとやっています。早期アクセスからずっとやっていて、今でもやっています。

───本物のファンですね。

中井氏:
個人的な話になりますが、同じバトルロワイアルゲームの『フォートナイト』や『Apex Legends』もプレイするのですが、最後には『PUBG』戻ってくるんですよね。

───いわゆる実家なんですね。

中井氏:
実家なんです。一緒にやっている友人が総プレイ時間1500時間ぐらいこえちゃっていて。そんな環境で遊んでいます。

───やはりこのようなビジネスをやる上では、ゲームに対する見識は絡んできますか。

安田氏:
人気になるゲームを見極めるためには、色んなゲームをやっていないと見えてこないので、視点として重要になってきます。ジャンルは広めにはやっていますね。

───やっぱりアンテナを張らざるを得ないというか。

安田氏:
アンテナを張っていますね。

───PCメーカーとして、感動であったり、感銘を受けたタイトルは何かありますか。

安田氏:
PCメーカーとして感銘を受けたタイトルでいうと『World of Warships』は、私はすごく好きでした。オンラインで海で戦うというのは、あまり無かったゲームですよね。『World of Tanks』の実績があったというのもありますけど、これは人気がでるだろうなと思っていました。

中井氏:
『Battlefield 1』ですね。グラフィックスが大きく進化し、没入感が上がったと感じました。

───ちなみに、最近プレイされたゲームはありますか?

中井氏:
最近やっているのは、Epic Gameストアで販売されている工場のゲーム『Satisfactory』ですね。めちゃくちゃやっています。

───わかります。『Satisfactory』は未開の惑星に工場をたてて、生産ラインを効率化していく。最適化されていってどんどん工場ラインができていって、大の大人がやるほどはまる。

中井氏:
独自性があるタイトルがでてくると嬉しいですね。最近では、『フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと』もプレイしましたね。

───無料配布されていた。

中井氏:
素晴らしかったです。ガチガチのインディーゲーマーなので、インディーゲームは頻繁にプレイしています(笑)。

───ありがとうございます。では最後に、今後積極的に協力していきたいイベントを聞いて、締めさせていただければと。

安田氏:
eスポーツ系のイベントですね。競技シーンで使われるモデルが、今後注目を浴びていきますし、プレイヤーの方にとってもメリットのあることなので、積極的に協力していきたいなと考えています。

───これまでの、露出にいかに意味があるのか。いかに売上に繋がるのかを踏まえて聞くと、すごく説得力のあるお話だなと。ありがとうございました。

 

 

 

[執筆: Keiichi Yokoyama]
[聞き手/撮影/編集: Minoru Umise]

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