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スタジオIceSitruunaは12月15日、『フロンティアハンター ~エルザの運命の輪~』の早期アクセス配信を開始した。対応プラットフォームはPC(Steam)で、価格は税込2300円(Epic Gamesストアでは後日配信)。ゲーム内は日本語字幕および、プロの声優陣による日本語ボイスに対応している。Steamのストアページによると、本作のジャンルはメトロイドヴァニア(探索型2Dアクション)となっている。特徴としては、アニメ調のキャラクターを含めてグラフィックは3Dで表現されているほか、キャラチェンジ/支援システムや多彩で個性的な育成システムが用意されているという。またアクション面では、レスポンスの優れた操作や爽快感のある戦闘システムなどを謳う。

アクションゲームにおいて、操作感は最重要といっても過言ではないが、本作のアクションはどうなっているのだろうか。今回弊誌では早期アクセス開始に先駆けてSteamキーをいただき、早期アクセスでプレイできる範囲の終わりまでプレイしてきたので、アクションやあまり説明のないシステム群など、本稿では本作の内容を紹介していこう。先に結論を言ってしまうと、本作は操作しやすい基本動作の上へ意欲的にシステムを盛った、派手なアクションゲームとなっていた。


『フロンティアハンター ~エルザの運命の輪~』は、3人の女性キャラクターを切り替えながらフロンティアを探索する、探索型の2Dアクションゲームである。本作の舞台は飛空艇の発明により、人々が大陸と島々を自由に往来するようになったファンタジー世界だ。技術が発展する一方、世界には未知の領域が存在。帝国の辺境には、周囲を取り囲むように山脈リバースロックがそびえ立ち、未だ人類の行く手を阻んでいた。リバースロックを抜けた先には、新世界が広がっていると考えられていることから、帝国はリバースロック内にある峡谷アドバンスキャニオンを超えられる頑強な飛空艇を建造。ストーム号に乗り込んだ探検隊は、暴風の吹き荒れるアドバンスキャニオンへ挑もうとしていた。

本作の主人公エルザは、一流ハンターにして探検隊を率いる、帝国の少佐である。本作の冒頭、エルザは探検隊の一員としてストーム号へ乗り込み、新世界へと向かっていた。紆余曲折の末、ストーム号はリバースロックの間にあるグランドストームを突破する。しかし、モンスターの襲来によりリアクターが故障。ストーム号と探検隊は、新世界への不時着を余儀なくされてしまう。未知の領域を舞台とした、エルザの探検と戦いが描かれていく。なお本作は、『タワーハンター ~エルザの試練~』の続編となっている。前作には数年前のエルザが登場していたものの、ストーリー自体は薄めであった。本作もそこまでストーリー重視の作品ではないため、本作からも支障なくプレイできることだろう。


快適で手触りの良い操作性

エルザは2人の仲間と共に、アクションを駆使しながらフロンティアを探索する。3人の基礎アクションとしては、武器による攻撃とジャンプ、スライディング、無敵付きのダッシュなどが用意されている。攻撃によって敵を倒しながらジャンプや移動によってマップ内を進み、探索していくことが目的の一つとなる。またボスの撃破やゲームの進行に応じて、二段ジャンプや泳ぎ、壁に掴まるアクションなども登場。新たなカギやアクションの入手によって行動範囲が広がっていく。そうした性質から、本作のジャンルはメトロイドヴァニアそのものと言えるだろう。

基礎アクションの特徴としては、快適な操作性があげられる。本作では、武器攻撃を含めたほとんどのアクションが、ジャンプとダッシュによってキャンセル可能。たとえば、モーションの長いコンボ最終段の硬直をキャンセルして隙なく空中攻撃を叩き込んだり、誤って出してしまった技をキャンセルして攻撃を回避したり、瞬間ごとの行動の選択肢が広い。入力に対するアクションのレスポンス自体も良好で、癖も少ない。アクションゲームに慣れていれば、ゲーム開始直後から直感的に操作できると思われる。自由に素直に快適に、キャラクターを操れるわけだ。


好みで選べる攻撃の組み立て

ゲーム開始直後の操作キャラクターはエルザ1人であるが、ゲームの進行に応じてエルザを慕う少女シアラと、白髪の少女ニーナが仲間となり、3キャラクターの操作を切り替えながら戦うことになる。本作ではキャラクターごとに装備可能な武器が異なり、エルザはレイピア/槍/日本刀。シアラは蹴り用の靴と、弾丸を消費するガトリング砲/重砲(ロケットランチャー)/狙撃銃。ニーナは鉤爪と二刀流(短刀)が装備可能。武器には種類ごとに個別のモーションが用意されており、複数の武器の中から2点を選択(シアラは靴が固定)して装備する。装備品の中には、装備したモノに応じて異なる魔法が発動できるアーティファクトも存在。アクションとしては、武器スキルやキャラクターごとの奥義などもあり、単純に種類が多い。攻撃手段が多いことも特徴と言っていいだろう。豊富な選択肢の中から、自由に攻撃を組み立てていけるわけだ。

また本作ではエルザ/シアラ/ニーナの3人の操作を、戦闘中であっても切り替えられる。キャラクターごとの性能の違いは、装備可能な武器と武器スキル、奥義などと限定的。違いがほとんどモーションとステータスだけに限られており、キャラクター固有のフィールドアクションなどはないため、プレイヤーの好みで操作キャラクターを選べるようになっている。また3人にはそれぞれ個別でHPとAP、奥義ゲージが用意されている。誰かが戦闘不能になってもそのまま戦闘は継続可能。本作では、単純にキャラクターの人数分HPやリソースが利用できるのだ。なおキャラクター関連では、操作の切り替え以外に控えキャラクターによる支援攻撃もできるが、画面上に呼び出された控えのキャラクターは敵の攻撃によってダメージを負ってしまう。ボス戦では、無闇に出すと大ダメージを食らいかねないため、状況を見極めて使うことになりそうだ。


実感しやすい強化要素

エルザ/シアラ/ニーナの3人は、戦いや探検を経て強く成長していく。具体的な強化要素としては装備、レベル、コアシステム、ドーピングアイテムによるステータス強化がある。まず装備ついては、本作の装備品には品質という項目が存在している。探索やストーリーの進行に応じて、上位品質の装備レシピが入手可能。敵から素材を集めて装備を作成することで、キャラクターの性能を底上げできる。レシピの入手によって、同品質の装備作成がまとめて解放されるほか、敵からの素材ドロップ率は高め。乗り換える先の装備を選べるようになっている。

また武器/防具/装飾品の各装備には、コアを嵌めるスロットが設けられている。本作では、敵がそれぞれ固有のコアを持っており、敵撃破時にコアが確率でドロップする。コアを装備品のコアスロットに嵌めることで、コアに設定されたステータス上昇効果やパッシブスキルなどが発動し、キャラクターが強くなるわけだ。ゲーム序盤に手に入るコアは、単なるステータス上昇や状態異常時の被ダメージ減少など、限定的な効果が多いが、ゲームが進むにつれて強力なコアも登場する。早期アクセス版の範囲内においても、敵に確率で毒状態を付与するコアや、敵の全耐性を下げるコアなどが存在。敵を確率で眠らせるコアと、眠っている敵に確定クリティカルを与えるコアなど、明確にシナジーのある組み合わせも確認できた。コアによる状態異常はおおよそボスにも有効であるなど、すでに十分な効果を発揮しているが、早期アクセス開始時点の内容であることを踏まえると、今後が楽しみな要素と言えるかもしれない。

そのほか本作では、隠し部屋の中や壊せる壁などから、謎の果実というドーピングアイテムが入手できる。ドーピングアイテム自体は、珍しい要素ではない。しかし本作ではステータス上昇の数値が大きめで、しっかり効果が実感できる。隠し要素は単に見つけるだけでも嬉しいが、効果が高く設定されていると実感できるモノが隠されていることで、気に入ったキャラクターをしっかり強化できるのだ。キャラクターの強化要素においても、プレイヤーの選択肢や遊びやすさが意識されており、加えて効果が派手であるため、探索や収集のモチベーションにつながることだろう。カスタマイズとしては、キャラクターの衣装や髪型、髪色の変更も可能となっている。


王道メトロイドヴァニア

Steamのストアページによると、早期アクセス配信時には全体の30%程度がプレイ可能な状態で、プレイ時間は10時間から12時間ほどになるのだという。実際のところ、筆者が早期アクセス配信版のクリアまでにかかった時間は8時間から9時間ほど。その中には、カットシーンによるストーリー演出やゲーム展開にあわせた3Dシューティングパートなども存在。プレイを通して素直で直感的な、プレイヤーを意識した調整や楽しませようという気概が感じられた。

総じて、操作しやすい快適な基本動作の上に、たくさんの攻撃手段や装備の選択などのシステム、先が楽しみな強化要素を盛ったタイトルとなっている。質の高い王道メトロイドヴァニアが遊びたい。開発元が『悪魔城ドラキュラ』シリーズが好きなこともあってか、素直に遊びやすいメトロイドヴァニアに仕上がっていた。今後の開発が楽しみである。

『フロンティアハンター ~エルザの運命の輪~』は本日12月15日より早期アクセス配信中。対応プラットフォームはPC(Steam)で、価格は税込2300円(Epic Gamesストアでは後日配信)。正式リリースに向けては、価格の変更も予定されている。

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