Steam最大10人騙し討ちアクション『オクトピンブス』は“正体バレてから本番”、疑いまくって殴り合う混戦PvP人狼。あえて正体明かすのもアリ、自由すぎる戦い

『OCTOPinbs(オクトピンブス)』は、いわゆる人狼系にあたるゲームながら、少人数陣営の「開き直り」が醍醐味となった、一風変わったタイトルだ。本稿では試遊インプレッションをお伝えする。

ふたつの陣営に分かれ、自身の正体を隠しつつそれぞれのチームの目的を果たすジャンルのゲームは、しばしば「人狼系(ソーシャルディダクション)」と呼ばれることがある。人狼系は議論をベースとしてゲームが進行することが多く、ときにはセオリーが生まれることもある。

そうした“定跡”は初心者でもある程度プレイングが安定する一方、ゲーム展開が硬直しかねない欠点もある。加えて少人数側に属するプレイヤーが誰であるかが判明した後は、消化試合のようになりがちだ。

本作『OCTOPinbs(オクトピンブス)』は、そんな「人狼系」の流れを汲むタイトルながら、議論やセオリーに頼らず“紛れ”を存分に活かせる自由な人狼系アクションとなっている。それだけでなく、正体がバレた後の開き直りすら醍醐味になる、“セオリー破壊型”の人狼系ゲームと言える。

弊誌は本作について、先んじて試遊する機会をいただいた。本稿ではそんな本作の持ち味について、試遊した感想を交えつつ掘り下げていく。

『OCTOPinbs』はラセングルとトライエースが共同開発する人狼系消防アクションゲームだ。PC(Steam)向けに2026年春配信予定となっている。本作はさまざまな火災現場をマップとして、タコが扮する「消防士」と、消防士に紛れ込んだイカの「アーティスト」の2陣営に分かれ、それぞれの目的を果たすマルチプレイアクションだ。本作は10人までのプレイに対応するが、今回の試遊では4人でのプレイとなっている。

消防士側となったプレイヤーは、消火活動を続けてマップの炎上率を0%にするか、アーティストを特定してタコツボに放り込むことで勝利となる。一方アーティストとなったプレイヤーは、消防士に紛れ込んでこっそり火をつけながら炎上率を100%にするか、消防士たちを全員タコツボに放り込むことを目指す。なお双方とも体力が尽きると一度ボディが破損。その状態で移動すること自体は可能であり、タコツボに放り込まれさえしなければ、スタート地点に戻って復活することも可能だ。

“曖昧さ”が現場を惑わす

本作では炎燃え盛るステージの消火を図るため、各プレイヤーが消火活動をおこなう。消防士/アーティストは陣営としては同じチームながら、必ずしも行動を共にする必要はない。

単独行動しようとすればこっそりと延焼させたいアーティスト側と疑われるかもしれないが、素早く鎮火しないとどんどん燃え広がってしまうため、ある程度は分担も必要だ。そんな諸々の理由によって、プレイヤーはいくつかのグループにわかれることになりがちだ。試遊は4階建て+屋上付きのマップでおこなわれたが、たびたび1人でマップの2階や3階へ向かうことも珍しくなかった。

さて、ここで消火/放火しつつ、上下左右に隣接した部屋を“覗き見る”ことで、他人の動向を確認することができる。確認にあたっては、「プレイヤーキャラがいること」と「何をしているか」程度しかわからず、「誰か」までは詳しくはわからない。緩く相互監視がおこなわれ、怪しいプレイヤーを探すことになる。

人狼系ゲームであればここで正体を見破る役職や能力のひとつでもありそうなものだが、本作ではそうした手段はない。必然的に、他プレイヤーから伝えられる情報は「絶対的な事実」ではなく、どこまでも「推測」「伝聞」の域を出ない曖昧なものになる。それによってプレイヤー間での推測が進んだり、疑心を抱いたりするわけだ。時には共通行動である放水、あるいは斧による攻撃が味方同士で飛び交うかもしれない。

そのため試遊では情報の交換から、やった/やらないといった押し問答までを含む会話、そして時には“殴り合い”によるコミュニケーションが自然に発生した。マッチの中で、内容を問わずプレイヤー同士の交流を促すつくりになっているわけだ。そのコミュニケーションも厳密にセオリーが生じるようなものではなく、偶発的な状況の積み重ねによって表情を変えうる。単独行動をしていると、怪しげなプレイヤーの影を見つけたので追ってみたり、アーティストが消防士と一緒に行動して、周りに誰もいないことを確認したら、相手を「アーティスト」ということにしつつ無力化したり……といった無数の状況が考えられる。確実な情報が少ないからこそ、自分の目で確認したものを中心にプレイが進む。そうして交錯するそれぞれの狙いが、ゲームに動きをもたらすことになる。

なおマッチ中にはNPCとして火の手を広げるファイアモンスターや竜巻モンスターが登場する。このモンスター退治に集合するかどうかというのもプレイングにおける読みあいの一つとなる。筆者はアーティストとなった際、「みんなが寄っていたので人手が足りると思った」「遠いので任せる」「対応している間に他のところを消火しておく」といった言い訳を使い分けた。他のプレイヤーに言い訳がどれほど信用されていたかはともかく、舌先三寸で誤魔化せそうなシチュエーションは数多い。

禁じ手の「開き直り」も、本作ならば許される

ところで、人狼ゲームでは少人数側の人狼が自らの役職を素直に明かすことはほとんどない。人狼側であることが露呈すれば、議論などによって追放され、負けてしまうからだ。特殊なシチュエーションでもない限り“開き直る”タイミングはなく、敗退行為と見なされることも多い。

『OCTOPinbs』でも、アーティストは「人狼」と同様に、基本的には追われる立場であり、その立場をカミングアウトすることはほとんどない。しかし本作では、「開き直って」からがある種本番と言えるのだ。

というのも、本作にはアーティスト固有の能力として、「トランス」というシステムが存在する。トランスをおこなうとアーティストであることが露呈してしまうが、その分能力は強力になる。さらに消防士として紛れ込んでいる最中に延焼させた規模に応じて能力は向上する。

トランスしたアーティストは通常攻撃として攻撃範囲の広い「バーストアタック」が使えるほか、ジャンプの代わりに瞬間移動のような「回避」が使用可能。加えて壁や床、天井で跳ね返る炎の弾「バウンドファイア」も放つことができる。逃げも攻めも通常時より強力になることで、人狼系ではバレたら一巻の終わりとなりがちなところを、「開き直り」の価値につなげ、一気にゲームをPvPアクションへと変貌させる。

だがトランスしたアーティストも無敵ではない。そもそも消防士は放水による攻撃が可能であるうえ、それなりのダメージが出る。リーチも一定あり、強引に勝ち切れるほどのパワーはない。無理やり延焼を狙ってトランスを強力に進化させるか、消防士として紛れつつ放水や斧攻撃による“ステルス”で生き延びていくか、といった戦略の幅もあるわけだ。

いわゆる人狼系のゲームでは、少人数陣営の側が勝率の面で不利を背負うことが傾向として多いが、消防士3人、アーティスト1人がベースのルールとなった4人での試遊では、案外アーティストもプレイしやすかったように感じる。それはこの開き直りからもゲームを動かすことのできるデザインが寄与しているのかもしれない。

アドリブ感が演出する新鮮さ

以上が『OCTOPinbs』のプレイインプレッションとなる。なお先述の通り、今回の試遊では4人でのプレイで、かつステージは「ホテル」のひとつのみの体験だった。本作は10人までのマルチプレイに対応するため、より広いフィールドで、より多くのプレイヤーとのマッチをおこなうことになる。

4人という比較的少人数なマッチでも情報が錯綜していたことを踏まえると、さらに大人数になった際には、上下左右の部屋に誰がいるのか、すれ違った任意のプレイヤーは果たして“本物”だったのかという情報がさらに混線していくことは想像に難くない。情報の曖昧さの拡大が言語、非言語問わないアドリブのコミュニケーションをより喚起することになりそうだ。

またアーティスト陣営が複数人いれば、1人では袋叩きに遭うリスクも存在する「トランス」、さらに放水などの攻撃を消防士同士で当て合う敵対行動については、さらに有用性を増していくだろう。たとえば2人チームであれば、1人がわざと怪しい行動をして注意を引いている間に、もう1人が暗躍するといった分業も出来るかもしれない。あるいは固まることで少人数グループにおけるイニシアチブを握るプレイングもまた面白いだろう。

本作は議論がマッチの行方を必ずしも決定づけるわけではなく、さまざまな能力の行使で進行可能な、アクションに寄ったゲームデザインだ。それは厳密な定跡やトークのセオリーといった、ある意味で“凝り固まった”要素からの解放を促している。さらに正体が露見した後のフェーズも一方的にならず、PvPアクションとしての新たな遊びを提供している。パーティー的な側面を備えつつ、各ポイントでのゲームプレイのバランスが取られた本作は、人狼系とパーティー的PvPアクションの一挙両得を目指した意欲的な作品といえる。

ちなみに、本作の開発は『Fate/Grand Order』で知られるラセングルと、『スターオーシャン』シリーズなどを手がけるトライエースの共同でおこなわれている。どちらも正体隠匿型のマルチプレイアクションの印象があまり強くない会社ながら、そうしたメーカーから『OCTOPinbs』というゲームがリリースされることは興味深い。2社協業の一風変わった試みとして、本作には期待したいところだ。

OCTOPinbs』は、PC(Steam)向けに2026年春配信予定だ。現在ストアページにてウィッシュリストに登録可能だ。また本作はインディーゲーム情報番組「INDIE Live Expo」にて新情報を公開予定とのことで、続報にも期待が寄せられる。

※ゲーム画面は開発中のものです。
©2026 Aniplex/Lasengle

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Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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