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ハリソンワールドは8月5日、『Re:Night ― 終わらぬ夜』を発売した。対応プラットフォームはPC(Steam)。『Re:Night ― 終わらぬ夜』はカードデッキ構築型ターン制戦略ローグライクシミュレーションゲーム。盤面にいるキャラたちを動かし、敵の討伐を目指す。開発はSeahorse Gamesが担当する。

本作の画面を見るとSRPGを思わせる。であれば、SRPGに専門家を呼ぼう。ということで、SRPGを愛しTookyo GamesでもSRPGを作ってきたゲームデザイナー登川晶弘氏に本作をプレイしてもらった。するとその実、本作がSRPGというよりはデッキ構築ゲームであり、シナジー要素も強い独自の味付けが強いことが見えてきたのである。以下、登川氏の寄稿となる。


登川と申します。現在はTookyo Gamesに所属しています。かつて複数の会社に在籍し、SRPGタイトルなどを開発してきました。個人的にSRPGはとても好きで、名だたるタイトルは遊んできました。ちなみにデッキ構築ゲームも大好物です。そんな自分ですが、編集の方に『Re:Night ― 終わらぬ夜』を遊んでみないかというお誘いをもらいました。PR記事ではありますが、自分としてもゲームとして気に入ったので、ここに綴らせていただきます。

『Slay the Spire』×『Into the Breach』……かとおもいきや、属性デッキ構築ゲーム

『Re:Night ― 終わらぬ夜』は「戦術シミュレーションとローグライク型カードデッキ構築を融合させた戦略ゲーム」です。既存のタイトルでわかりやすく例えると『Slay the Spire』×『Into the Breach』。マップ上の3人のユニットをターン制で動かすシミュレーションRPGでありながら、行動はすべてカード選択で行うデッキ構築型ローグライクともなっています。

基本的なゲームループは、ほかのデッキ構築ゲームをイメージすれば近いです。バトルに勝つとお金・アイテム・カードがもらえて、その後マップが提示される。次は戦闘に行くのか、カードを変化・強化するのか、あるいはエリートと呼ばれる強敵に挑むのか。「どのルートを通れば自分のデッキの出力が一番上がるのか」を考えながら進んでいく構造ですね。

2ジャンルの組み合わせ的なゲームはしばしば複雑なものになりがちですが、このゲームのチュートリアルはめちゃくちゃ丁寧です!UIやキーアサインも分かりやすく、なんなら説明を全部聞き飛ばして適当に操作しても、思ったとおりの動きができるほど。この設計は本当に優れていて、操作で迷うことはまずないと思います。(ゲームを作っている方ならわかって頂けると思いますが、キーアサインって割と悩んだり苦労したりするんですよね……なので、これ一つとっても丁寧に作られていることが伝わってきます!)

では何がこのゲームの歯応えになっているのかというと、キャラクターが3人いることです。『スレスパ』は1人でひとつのデッキを回すゲームなので、ひとつのシナジーを突き詰めていけばいい。ところが本作はキャラクターごとにデッキの軸が違う。3キャラ分のデッキ軸やシナジーを把握しながら、同時並行で3つのデッキを育てていかなければならない。どのキャラクターから強くしていくか、その判断がとても悩ましい……!ただ、後述するとおり、この悩ましさこそが本作の面白さに直結しています

もうひとつ、基本要素として押さえておきたいのが属性です。草・炎・水。ポケモンの御三家と同じ、と言えば伝わるでしょうか。相性も同様で、炎には水、水には草、草には炎が効果抜群という、きれいな3すくみです。

面白いのはここからで、たとえば水属性で攻撃すると、相手に水属性が付与されます。その状態に草属性で攻撃するとダメージ2倍になるわけですが、今度は草属性が付与されます。もちろん、ここに炎属性で攻撃すれば、再びダメージ2倍で炎属性付与です!異なる属性の攻撃をサイクルさせることで効果抜群な攻撃を連鎖させられるわけですね。これが本作で一番初めに「気持ち良い!」と感じられた瞬間でした。

ただし、ここが本作の悩ましいところでもあって、属性はキャラクターごとに完全に分かれています。属性が3属性に分かれているように、キャラそのものも炎担当、水担当、草担当とはっきり分かれており、炎・水のような2属性兼任になるようなことはありません。そして、システムのベースはデッキ構築型ローグライクです。つまり3キャラのうちどの属性のキャラを伸ばすのか、全員に均等にカードを配るのか、それとも1キャラに集中投資してシナジーを尖らせるのか、その判断が常に問われるわけですね。

さらに属性付与には1〜5の段階があり、5段階まで貯めるとダメージは最大6倍まで跳ね上がります。例えば、相手に水属性を付与しているときに草属性で殴ればダメージは2倍になるわけですが、そこにあえて水属性付与を積み重ねて、パワーの高い草カードで6倍ダメージを狙いに行くなんてこともできるわけです。この最大倍率で敵を殴るのが、とにかく気持ち良い!ちまちま殴るか、貯めて一撃か。他ゲームの「筋力を貯めてドン」に比べて大ダメージまでの段階が多く、バトル中の手順そのものに戦略が要る。そして戦略が要る分、達成できた瞬間は脳汁が出る!ここがほかのデッキ構築ゲームにはなかった、SRPG的な良さだと強く感じました。

4周プレイしても、同じビルドにならない

そして驚いたのが、カードとシナジーの種類が半端ではないこと。僕は現時点で4周プレイしましたが、一度も同じ構築になっていません。炎・水・草の属性を持つ最初の3人で3周した際も、周回で解放された新キャラ(属性をあまり付与できない代わりに毒攻撃が使えます)を使った際も、同じ展開や同じ構築にはなっていません。飽きるまでに相当時間がかかる、やり応えのあるゲームだと思います。

もちろん、やり応えがあるというのはゲームとしての重さと表裏一体でもあります。システムがSRPGなので時間がかかるうえ、カードピックにも毎回めちゃくちゃ悩みます。新しいカードが無限に出てくるし、属性が絡む分、初見ではカードの強さが直感的に分からない。これはともするとカジュアルさを損なうものでもあります。

ただ、その重さの先に「よく分からず取ったカードが、実はぶっ壊れだったと気づく瞬間」があり、これが興奮をもたらすことも確かです!僕の場合は、地面のマス自体に水属性を付与するカードがそれでした。敵に直接ダメージを与えられないので初めは弱いと思っていたのに、気づけば「これがないとボスを倒せない」というレベルの主力になっていた。この発見の積み重ねこそがまさにローグライクゲームの醍醐味であり、本作における周回の楽しさになっています!

また本作は、この重さをちゃんと自覚した作りにもなっています。カードピック時にゲーム側が「これを取っておくといいよ」とおすすめマークを出してくれるので、初心者はとりあえず取って、バトルの中で試しながら覚えていける。さらに巻き戻し機能が充実していて、「今の行動」「このターンの最初」「前のターンの最初」「このバトルの最初」の4種類まで巻き戻せる。この機能がすごく良い!カードの正しい使い方に気づいた瞬間、バトルの頭からやり直せるので、常に自分のデッキのフルスペックを出せるんですよね。あと巻き戻せるからこそ、気軽にバトルを進めることもできるんです。誤った手や選択を引きずったままゲームが進行していたら1敗がずっしり重いゲームになっていたところ、こうした気遣いのおかげで高難易度のゲームが気軽に遊べるようになっています。

まとめ

正直に言うと、カロリーは中々に高いゲームです。覚えることは多いし、難易度についても初回プレイの際はずっと「これたぶん負けるだろうな」という感覚が続いて、本当にギリギリでクリア。僕はスレスパを1000時間以上、シミュレーションゲームも相当遊んできた人間ですが、それでこの手応えなので、普通のプレイヤーの方は慣れるまで結構苦労するかもしれません。だからこそ、デッキ構築ローグライクかSRPG、どちらかをやり込んだ経験のある人ほど深くハマれるゲームだと思います。

なお、1周は1.5時間〜2時間ほど。もっとやり込んで慣れてくれば1時間くらいにはなりそうですが、4周クリアした程度ではそこまでクリアタイムが詰まらない程度には攻略アプローチの幅が広いゲームになっています。また、SRPG要素はありますがシナリオは導入で軽く語られる程度で、あとはキャラクターごとのミニエピソードが見られるパズル的な別モードがあるに留まった、カジュアルなストーリーテリングとなっています。

総評すると、ゲーマーには是非!おすすめしたいゲームです!いや本当に面白いです、これ。ただ、マっっジで時間泥棒でもあります。「ちょっと休憩にやるか……」と思ったが最後、平気で数時間消えます。デッキごとのシナジーや3属性のシステムといった部分さえ初回で乗り越えてしまえば、その後あなたを待つのは何周でも遊べる無限の沼です。『Slay the Spire』×『Into the Breach』、この掛け算にピン!ときた人は、覚悟して手に取ってください。

『Re:Night ― 終わらぬ夜』は、PC(Steam)向けに発売中だ。8月19日まで、定価の10%オフの1980円でゲームを購入できるセールも実施中だ。

[構成・編集:Jun Inaniwa]

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