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人気RPGクリエイターが放つ『天機行:古朝の影』は「王道RPGを徹底的に現代化」していた。“暇しない”バトルにテンポ快速の濃厚探索、いま遊びやすいRPGの形
『天機行:古朝の影』は、王道RPGでありながらも徹底的に新しさを盛り込んだ作品だった。

『天機行:古朝の影(Tianji-Shadow of the Ancients)』は、ファンタジーRPG『軒轅剣(Xuan-Yuan Sword)』の生みの親として名高い蔡明宏(ツァイ・ミンホン)氏が、Softstarを退社してインディーとして独立した後に手掛ける初のタイトルだ。筆者はbilibiliが主催した試遊イベント「Bilibili Game First Look」で初公開となる本作のデモ版をいち早く体験する機会に恵まれた。本稿では、約3時間にわたる試遊を通じて確認できたプレイ体験を交えながら『天機行:古朝の影』の魅力について語っていきたい。
本作の舞台となるのは中国の唐の時代だ。主人公の「上官朔」は、謎の組織「玄心教」との交戦中に起きたあるアクシデントにより、記憶を失ってしまう。「李凌」と名乗るミステリアスな青年の助けを借りて「玄心教」の背後に潜む秘密を調査していくうちに、上官朔の記憶は少しずつ蘇っていく。記憶の断片が重なるにつれ、上官朔は自分自身と玄心教の間に、切っても切れない深い因縁があることに気づき始めるのだ。真実を追い求めるため、上官朔を中心とした一行は旅へと出発する。

ゲームプレイにおいて、『天機行:古朝の影』はオーソドックスなタイムライン型のターン制RPGを採用しつつも、そこに多彩な要素を盛り込むことで、新鮮なプレイフィールを生み出している。その筆頭とも言えるのが「アクションゲーム」のような戦闘メカニクスの導入だ。戦闘システムにはハイスピードなコンボが組み込まれており、プレイヤーはゲーム内に用意された多様な手段を駆使して、敵に怒涛の連撃を叩き込むことができる。

まず挙げられるのが「弱点システム」だ。キャラクターの各スキルには属性が付与されており、遭遇した敵のHPゲージの横には、それに対応する弱点属性が表示されている。敵の弱点を突く属性スキルで「弱点ゲージ」を削り切ると、敵は「ブレイク状態」に陥る。この状態の敵は一定時間行動不能になるうえ、受けるダメージも増加するため、一気に火力を集中させて畳み掛ける絶好のチャンスとなるわけだ。ただし、敵がブレイク状態から復帰すると、一定時間「弱点無効化」状態に突入するため、その間は弱点を突いた大ダメージを狙えなくなる点には注意が必要だ。
次に「追撃」と「パリィ」システムだ。「追撃」は、キャラクターが特定のスキルを使用した際、そのキャラクター自身のステータスに基づいてランダムに発動し、追加の攻撃モーションを繰り出すというもの。運が良ければ、この追撃モーションが複数回スタックすることもある。「パリィ」は敵が攻撃を仕掛けてきた際、タイミングよく対応するボタンを入力することで、キャラクターにガード行動をとらせることができるシステムだ。大半の状況でガードは大幅なダメージ軽減効果を発揮し、そのカット率も決して小さくないため、使いこなせば攻略はぐっと楽になる。「追撃」と同様に、ガード成功時にも確率で「ジャストガード」や「カウンター」が発生することがある。

こうしたアクション的な要素を導入により、本作のRPG体験は、「ターンが回ってきたらコマンドを選んでただ待つだけ」という従来のターン制バトルから脱却している。今回の試遊中、コマンド選択後に何もせず傍観しているような時間はほとんど存在しなかった。この戦闘システムのおかげで、プレイヤーは単なる“観客”ではなく、すべての戦闘に当事者として深く没入できるようになっているのだ。
なお本作には、従来のRPGによくある「MP」や「SP」といったゲージが存在しない。代わりに、主人公がスキルを使用する際には「気力」ポイントを消費し。現在のターンでスキルを使わない選択をした場合、そのキャラクターは次のターンに気力を1ポイント獲得できる。また、通常攻撃を敵に命中させることでも、追加で気力が1ポイント付与される。各スキルにはそれぞれ固有の追加効果が設定されており、特定の条件を満たすことで気力を回復させ、その後のターンでさらに強力な大技を放つといった立ち回りが可能だ。
この「気力」のリソース管理によって、戦闘の思考プロセスはよりシンプルかつ効率的になっている。スキルの説明文も直感的で分かりやすい。簡単な計算を行うだけで、見た目にも華やかで機能的なプレイングが実現できるため、ゲームとしての楽しさと快適なプレイフィールの両立に成功している。

スキルに関しても、自由度の高いシステムが用意されている。キャラクターがレベルアップしたり、探索中に「スキル書」のようなアイテムを発見したりすると、スキルポイントを獲得。このポイントを使って、メニュー画面から習得したいスキルを自由に選ぶ仕組みだ。開発チームによれば、プレイヤーが自分だけの戦闘スタイルを完全に自由に構築できるデザインにしており、いつでもスキルポイントをリセットして、自分に最も合ったビルドを見つけるまで何度でもやり直すことが可能とのこと。

フィールド上の敵とのエンカウント方式は、敵の姿が視認できるシンボルエンカウントを採用。プレイヤーはマップ上で周囲の敵の配置を常に把握できる。敵との遭遇パターンは大きく2種類に分けられており、通常のダンジョンでは、敵ユニットの戦力がはっきりと見えているため、敵の編成に合わせて適切な戦略を練ることが可能だ。ダンジョン内に配置された敵との戦闘はほぼ回避不可となっており、単なるランダムエンカウントというよりは、クリアするために突破必須な「配置されたギミック」に近い役割を果たしている。
一方、広大なワールドマップに出ると、周囲を徘徊する敵は「黒い霧」の形で表示され。接触するまでどの敵ユニットが潜んでいるかは分からないが、今回の試遊版をプレイした感触では、ワールドマップの敵はダンジョンの敵に比べて難易度が低めに設定されていることが明らかだった。そのため、一歩進むごとにビクビクするような窮屈さは全くなく、プレイヤーがゲームの世界を自由にのびのびと探索できるように配慮されていた。
シンボルエンカウントの標準仕様として、探索中にプレイヤーのレベルが目の前の敵よりも圧倒的に高い場合、マップ上で直接攻撃アクションを当てるだけで敵を「一撃討伐」することができる。これにより、格下相手との繰り返しの戦闘による疲労感が大幅に軽減されていた。また、同レベル帯の敵に対してマップ上で先制攻撃を当てると、「奇襲」の形で戦闘に突入でき。奇襲が成功すれば、タイムラインが敵よりも大幅に先行するだけでなく、各キャラクターが初期状態で気力を1ポイント持った状態でバトルを開始できるという大きなアドバンテージを得られる。
特筆すべきは、本作の奇襲システムは、従来のシンボルエンカウントRPGによくある「敵に気づかれないように背後から接触しなければならない」といった厳しい条件がないことだ。マップ上で敵に遭遇した際、相手に触れられるより先にこちらから攻撃を当てだけで、真正面からでも奇襲効果を狙えるようになっていた。

ダンジョン探索においても『天機行:古朝の影』は一定の遊び心を加えている。伝統的な2Dレベルデザインの中に、「よじ登り」「グラップリングフック」「水泳」、そして「謎解きギミック」といったシンプルなアクション要素が盛り込まれていた。今回の試遊版ではこれらの要素の露出はそれほど多くなかったが、ちょっとしたアクセントとしてゲームに楽しさを添えていた。

今回体験できたダンジョンは、ほぼ一本道の直線的な進行のものが多く、大半のステージに複雑な分岐ルートは存在しなかった。「探索」の比重は、主にワールドマップ側に置かれているようだ。ダンジョン内の敵の配置はかなりまばらで、広大なマップの中に敵ユニットが数体しかいない場面もあり、少々拍子抜けではあった。しかし良い点として、ダンジョン内の敵を普通に倒して進むだけで適正レベルが保たれる作りになっている。敵との間に理不尽なレベル差が生じることはなく、全体的に快適に遊べる難易度バランスとなっていた。
また、攻略をより有利に進めるためのショートカットも用意。今回の試遊版には、「探し物」や「探索」を主軸とした豊富なサイドクエストが散りばめられていた。対応するクエストを達成すれば経験値やアイテムなどの報酬を獲得できるため、メインストーリーの道中で上手くサイドクエストを消化していけば、その後の攻略難易度を下げることができる。
興味深いのは、本作のNPCがサイドクエストの受注前後で全く異なる態度を見せ、セリフのテキストもしっかりと変化する点だ。夜になればNPCの行動パターンも変わり、街を歩く人々の数が目に見えて少なくなる。こうした細やかな環境描写のおかげで、NPCが単なる「書き割り」ではなく、この世界で確かに生活している息づかいを感じられた。

ゲームのボリュームについて、プロデューサーの蔡明宏氏によれば、およそ20〜30時間ほどのプレイ体験を用意しているとのこと。その後の開発チームとの交流の中でも、彼らは『天機行:古朝の影』を「優れたストーリーで牽引する作品」にしたいと繰り返し強調していたのが印象的だ。プレイヤーが腰を据えてゆっくりと体験できるゲームを目指しているため、多くの場面で攻略難易度を意図的に引き上げるような調整はしておらず、無駄なレベル上げ作業を特段意識しなくてもスムーズにシナリオを進められるように配慮しているそうだ。
開発陣によれば本作のテキスト量は膨大で、メインストーリー単体で約8万〜9万字、サイドクエストを含めると約13万〜14万字に達するという。さらに、メインストーリーおよび大量のサイドクエストにおいて全編中国語のフルボイス対応を実現しており、本作が築き上げる“武侠ユニバース”の解像度と没入感を高める狙いがあるとのことだ。

今後の展望について尋ねた際、蔡氏は極めて率直に「最大の願いは、プレイヤーにこのゲームを最後までプレイしてもらうことです」と語ってくれた。同氏はたとえクリア後に批判の声が上がったとしてもいいそうで、「まずは通してプレイしてみてほしいです。ゲームプロデューサーとして、本作が表面的なハリボテではなく、物語の展開を通じてプレイヤーがキャラクターの喜怒哀楽を共に味わい、彼らと感情を共鳴させられるような体験になってほしいと願っています」とコメント。そこまで到達して初めて、プレイヤーは次回の作品への期待を抱いてくれると考えているそうだ。また同氏は現状の開発チームの目標は、『天機行:古朝の影』がプレイヤーから十分に認められ、評価を得ることだと締めくくった。
最後に、今回の試遊版では体験できなかった要素についても触れておこう。プレイ前のブリーフィングによれば、本作には操作可能なメインキャラクターが6名用意されており、ストーリーの進行に合わせて他のキャラクターが次々と加入したり、一時的に離脱したりしていく。最終的には6名の中から3名を選出して戦闘を行うことになるという。今回の試遊版では、終盤に差し掛かってようやく3人目のキャラクターの顔を見ることができた。現在判明しているのは、剣気を操る「上官朔」、弓矢で火力を出す「李凌」、そして最後に登場したヒーラー的立ち位置の「蘇瑾」の3名だ。道中では西域スタイルの女性行商人とも遭遇したが、公式が公開しているキービジュアルを見る限り、彼女も将来的に主人公一行の仲間になるようだ。

そして本作ではパーティーに新しい仲間が加わるたびに、ゲーム内の「キャンプ」に新たな機能が解放されていく。説明によると、キャンプには「鍛冶屋」「料理」「貯霊核の強化」「召喚獣の飼育」といった機能が含まれるようだが、残念ながら今回の試遊版ではその全貌を確認することはできなかった。
また「貯霊核」システムについても試遊で確認できなかった要素のひとつ。公式が「その後の戦闘と密接に結びついた要素」として強くアピールしていたシステムだ。プレイヤーは戦闘を通じてこのコアを収集し、パッシブスキルとして自由に組み合わせてセットすることができる。さまざまな効果が特定のスキルや装備とシナジーを生み出すため、取捨選択とカスタマイズ次第で、主人公一行に自分だけのユニークな戦闘スタイルを構築できる仕組みになっているとのこと。
総じて、『天機行:古朝の影』は極めて堅実な武侠RPGとして作り上げられている印象を受けた。どこか懐かしさを感じる王道の側面を持ち合わせながらも、じっくりと味わえば全く新しいプレイフィールを得られる。今回試遊できたのはあくまで長大な冒険の幕開けに過ぎないが、今後のコンテンツの質と量がしっかりと担保されるのであれば、本作は武侠世界を愛するすべてのゲーマーにとって、間違いなく期待する価値のある一作となるだろう。
『天機行:古朝の影』はPS5/XBOX/Nintendo Switch/Nintendo Switch 2/PC(Steam)向けに2027年発売予定だ。対応言語は中国語のほか、日本語と英語も対応する。
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