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MBC Game Studioは、Gamescom 2026のOpening Night Liveにてデビュー作『1001 Threads of Mizan』を発表した。対応プラットフォームはPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/XBOX Series X|S/Nintendo Switch 2。「千夜一夜物語(アラビアンナイト)」の世界を題材とした、最大3人での協力プレイに対応するアクションアドベンチャーだ。プレイヤーは空飛ぶ絨毯を駆り、地上の敵から空を覆うほどの巨大なジンまでを相手にすることになる。

弊誌はGamescom 2026会場にてプレイアブルデモを体験し、そのままクリエイティブディレクターを務めるLars Bonde氏に話を聞くことができた。氏はUbisoftに8年在籍し、『ウォッチドッグス』『ウォッチドッグス2』などを手がけた人物である。インタビューでは原典のリサーチ体制からキャラクターの成長要素、マップ構成、ゲームシステムなどを訊いている。

Ubisoftで8年を過ごしたアニメーターが「千夜一夜物語」に挑む

――はじめに、ご自身の経歴と本作での役割を教えてください。

Lars Bonde氏(以下、Bonde氏):
本作のクリエイティブディレクターを務めるLars Bondeです。もともとはアニメーター、アニメーション・ディレクターとしてキャリアを積んできた人間で、本作でもアニメーション面には自ら手を入れています。以前はUbisoftに8年在籍し、『ウォッチドッグス』『ウォッチドッグス2』、そして公表されていないプロジェクトに携わりました。その中には『プリンス オブ ペルシャ』のリブート作品もありましたが、残念ながら開発中止になっています。

――なぜ「千夜一夜物語」を題材に選んだのでしょうか。

Bonde氏:
我々にとっては素晴らしいIPなのに、これをテーマにしたゲームをどれくらいプレイしたことがありますか。せいぜい「アラジン」のゲームくらいで、『アサシン クリード ミラージュ』にも似た要素は登場しますが、それほど積極的に取り上げられているわけではありません。この地域は、これまであまり注目されてこなかったのです。

――AAAタイトルを手がけた経験者が多く在籍していますが、どのようにチームを編成したのでしょうか。

Bonde氏:
私がこのプロジェクトで最初にしたことは、ArtStationでサウジアラビアやエジプト、シリアの優れたアーティストを探すことでした。カイロ在住の2人のコンセプトアーティストは初期から参加していて、デモで見えた巨大な頭蓋骨はTahaというアーティストが手がけたものです。「あの戦いで砕けた鎧の破片が、化石となって世界中に散らばっているという設定はどうだろう」と提案したところ、彼が形にしてくれました。

少し前にドバイで会ったとき、彼らは自分たちの世界や文化がこう表現されることについて涙ぐんでいましたよ。アニメーションチームでは、20年来の友人に声をかけました。以前Ubisoftでアニメーターやアニメーション・ディレクターを務めていた人物で、ポーランド出身、現在はスペイン在住です。

アートディレクターはBioWareで20年のキャリアを持つベテラン、ナラティブチームを率いるJasonは『Destiny』に長く携わっていましたし、『ゴッサム・ナイツ』などを手がけたスタッフもいます。ライターのFayaはパキスタン在住で、Farahも本作のシナリオに携わっています。完全リモート体制のおかげで、世界各地の人々と働けるのです。

――声優についてはいかがでしょうか。

Bonde氏:
本作はアラビア語と英語に対応予定ですが、同じ声優が両方の言語を演じます。ベドウィンのシャイフ(長老)役も同じです。英語圏の声優とアラビア語圏の声優を別々に立てるのではなく、両方をこなせる人を見つけることが非常に重要でした。皆あの地域とのつながりを持ち、アラビア語を話す。そうした根ざし方を大切にしたいのです。

物語の中に物語を紡ぐ、シェヘラザードという主軸

――本作の物語の概要を教えてください。

Bonde氏:
まず原典の話をさせてください。「千夜一夜物語」のシェヘラザードは、失恋した王が毎晩のように娘と結婚しては殺すようになったことを受け、女性たちを守るために自ら嫁ぐことを志願した人物です。彼女は殺されないよう、続きが気になる物語を毎晩語り聞かせ、いま語っている話が終わる前に翌日のための物語を始める。物語の中にさらに物語が織り込まれていく、そうした構成を持つ文学の先駆けのひとつだったと言えるでしょう。本作の彼女も、単に物語を語る狂言回しではなく、自らこの物語を生きる登場人物として登場します。

そのうえで本作の世界の成り立ちですが、かつて人間の王とジン(ジーニー・精霊)の王が手を組み、地上にユートピアを築いた時代がありました。その均衡を保つために、人間の知恵と力によって創設された組織が、タイトルにもあるMizanです。

以降、人間が発明したあらゆる道具にはジンのエネルギーが組み合わされました。私たちはそれを「Smokeless flame(煙なき炎)」と呼んでいます。ジンはこのSmokeless flameから生み出されており、いわば魔法の源のようなものですね。ですから本作のキャラクターは魔法を放つのではなく、魔法の力が宿った人間の道具を扱うのです。やがて戦争が起こると、人間とジンは共に戦いました。しかしどんなユートピアにもつきもので、そこに強欲や嫉妬が入り込みます。ジンの力を恐れた人間の王は、その技術をジンに対して用いて彼らを追放し、ジンの王を封印しました。

物語の発端となるのは、「千夜一夜物語」に収められた「漁師とジンとの物語」です。漁師が深海から引き揚げた箱の中のジンが、漁師を言いくるめて封印を解かせてしまう。そのジンを、本作ではジンの王として描いています。1000年の時を経て戻ってきた彼は、人類がMizanもジンの存在も忘れていることに気づき、自らの物語を書き換えようと最高の語り部シェヘラザードを探し求めます。

しかし彼の復讐を見抜いた彼女は、忘れ去られていたMizanを再興させ、英雄たちを迎え入れて立ち向かうわけです。プレイヤーが操作するYusra、Malik、Sufyanの3人が、その英雄たちにあたります。なお、すべてのジンが邪悪なわけではありません。善良なジンや中立的なジン、トリックスターのようなジンとも出会うことになります。

人類学者、文学博士、そして地質学者。大掛かりなリサーチ体制

――本作の開発には、相当なリサーチが要りそうです。どのような体制で原典や地域の文化を調べているのでしょうか。

Bonde氏:
専任のリサーチチームがあります。最初期に採用したSarahはサウジアラビア出身の人類学者で、世界観構築を担当し、レベルデザイナーやアーティストと密接に連携しています。文学の博士号を持つRobertは、UCLAで「千夜一夜物語」の講義を長年おこなってきた人物で、いまは本作のシナリオを書いています。

たとえばゲーム内のベドウィンの拠点は、キャンプではなく小規模な前哨基地です。本格的なベドウィンのキャンプのテントは精巧で半恒久的なものですが、前哨基地はより簡易で仮住まい的な作りになる。Sarahはそうした設定や、衣服に使う布までを監修しています。

地質学者にも協力してもらっていて、砂岩と海沿いの岩石の違いや、その特性を踏まえて当時どのように建物を建てたかという点で助言をもらっています。アラビア半島の遺跡ペトラには、ナバテア人が岩を掘って作った巨大な古代の墓がありますよね。そうした遺跡も参考にしています。

――デビュー作でそこまで踏み込むのは思い切った判断ですね。発表と同時にプレイアブルデモまで用意したことにも狙いがあったのでしょうか。

Bonde氏:
これは我々にとって大事なことでした。スタジオの設立を発表し、トレイラーも披露したい。でも「良いトレイラーだったな」で終わらせず、あの映像がすべてUnreal Engineで制作した映像であること、そして実際に遊べる状態にあることを示す必要があったのです。

『Ghost of Tsushima』的なアプローチ

――キャラクターの成長要素についてお聞かせください。より良い装備を集め、レベルを上げてスキルを増やしていくタイプのシステムでしょうか。

Bonde氏:
詳細は今後発表しますが、大量の戦利品を集めるタイプのゲーム(a heavy loot game)ではありません。防具に細かなパーツが用意されているわけでもない。そうした仕組みでは、本作の独自性が損なわれてしまうと考えているからです。

もちろんスキルツリーはありますし、武器のソケットに装着する要素にも期待していただければと思います。スタンスの要素もあり、たとえばYusraは槍と弓を使い分けられるので、弓のスキルを重点的に伸ばすといった選択も可能です。

空飛ぶ絨毯も、戦闘でさらに活用できるようになります。仲間が倒れたとき、絨毯で敵を巻いて拘束し、回復する時間を稼ぐ。もちろん必要なときは、すぐ乗って離脱することもできます。攻撃にも防御にも絨毯をどう使うかという判断そのものが、本作の成長要素の一部なので。

――3人の主人公には、それぞれの物語も描かれるのでしょうか。掛け合いを聞ける場面もありますか。

Bonde氏:
ええ、彼らにも独自の物語が用意されますし、掛け合いを耳にする場面もあります。

――キャラクターの選択に制限はありますか。

Bonde氏:
自由に選べますし、同じキャラクターを複数人で使うことも可能です。自由に選べると言いながら事実上選択肢がなく、パッチでの調整を待たされる作品がよくありますよね。プレイヤーが何を求めるかは最初から把握していましたから、タンクを使いたい人が二人いるなら、それを制限するようなことはしません。

プレイ中の切り替えはできず、一度ハブに戻る必要はありますが、そのときにキャラクターを選び直せます。我々は“協力プレイにおける摩擦”をどこまで許容するかという点に重点を置いていて、ある程度は融通を効かせるべきだと考えています。

目指すのは、友人と共に巨大な敵へ挑む“壮大なバトル”

――最終的に、プレイヤーへどのような体験を届けたいと考えていますか。

Bonde氏:
やはり仲間との壮大なバトルでしょう。空飛ぶ絨毯に乗り、地上の敵、空中の敵、そして巨大なボスと戦いながら、その文化に少し触れられるという体験です。「漁師とジンとの物語」には、空に届くほどの巨体で一つ目のジンが現れるとしか書かれていません。

だからこそ、まさに空に届くジンの王を作ろうと考えたわけです。空飛ぶ絨毯に乗って、友人たちと巨大な敵に挑む……そんな光景を想像していただければと思います。QTEやムービーは程々にして、可能な限りプレイヤーが操作している時間にしたい。時に目まぐるしく、時には落ち着いた展開を見せる、楽しいアクションアドベンチャーです。

――弊誌の主な読者は日本人です。日本の読者に向けて、興味を持ってもらえそうな要素はありますか。

Bonde氏:
日本の文化にも、ジンに通じる概念があると聞きました。

――妖怪でしょうか。

Bonde氏:
それです。北欧に行けばトールや『Valheim』で見られるような、また異なる概念があります。神話は世界観を構築するツールとしても素晴らしく、そこからさまざまな展開が可能です。

本作には、誰もが少し親近感を抱ける要素があるのではないでしょうか。我々は新しいスタジオですから、本作だけで終わるつもりはありません。

――ありがとうございました。

『1001 Threads of Mizan』は、現在PC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/XBOX Series X|S/Nintendo Switch 2向けに開発中だ。

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