海外で”学生作品”専門のゲームレーベル「USC Games Publishing」が今春より発足。PC・コンソール・モバイル向けに学生作品を販売へ

南カリフォルニア大学(通称USC)は、ゲームパブリッシングレーベル「USC Games Publishing」を今春から発足すると発表した。「USC Games Publishing」では、才能ある学生によって開発されたゲームタイトルをPlayStation/XboxおよびPC/モバイル向けにリリースする予定だという。学生作品がパブリッシャーを通じて販売されたり、あるいは商用タイトルとなってさらに開発が続けられる例は珍しくないが、大学が取り持つ学生作品専門のゲームレーベルとは業界初の試みとなりそうだ。海外メディアWiredが伝えている。

南カリフォルニア大学は、1880年にカリフォルニア州ロサンゼルス市内に設立された100年以上の歴史を持つ私立大学。ゲーム開発に関するカリキュラム「USC Games Program」を擁しており、同課程は大学試験対策の学校「ザ・プリンストン・レビュー」から、過去6年間にわたり星5つの高評価を受けてきた。

個性的な作品並ぶ、収益化は望まず

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『Uncharted 2』へ影響を与えた『The Night Journey』

現在予定されている「USC Games Publishing」のラインナップは、2015年に英国アカデミー賞(BAFTA)の「Ones to Watch Award」を受賞した白と黒の対戦アクション『Chambara』や、イランの元首相モハンマド・モサデックのペット猫の視点を通じてプレイするドキュメンタリー作品『The Cat and the Coup』(Steamでも配信中)など、個性的な作品が並ぶ。かつてPlayStation 3上で開発されていた『The Night Journey』は、現代アーティストのBill Violaと共に制作された非常に難解な作品だ。いずれも大手のパブリッシャーであれば、まず商業ベースでは開発費は回収できないと踏むタイトルばかりだろう。

ただしカリキュラム「USC Games Program」を監督しているTracy Fullerton氏は、「我々は利益がでるとは思っていません」とWiredの取材にコメントし、「USC Games Publishing」が収益化を求めてはいないレーベルであることを明らかにしている。「(リリースされるゲームは)ニューヨーク・タイムスのベストセラーリストに必ずしも載るような本ではありません、でもその時代精神において必要な重要性の高い本なのです。私は同じようなことがゲームでも出来ると考えています」。

『Uncharted』シリーズのデザイナーとして開発に参加しているRichard Lemarchand氏は、2013年から同カリキュラムの準教授として鞭撻を振るっている。彼は「ここ数年間、カリキュラムで生まれた素晴らしいゲームをすべて見てきた。どの作品も本当に販売できるクオリティに達していて、より幅広い層に伝えることができたらと思っていたんだ」とコメントしている。たとえば前述した『The Night Journey』が、『Uncharted 2』のチャプター16「賢人の導き」におけるシークエンスに影響を与えたのは一部で有名な話だ。実際に学生たちの作品は、プロの開発するゲームにも負けないエネルギーを秘めている時がある。それらがただの学生作品として埋没してしまうのは、確かに忍びない。

大手パブリッシャーと関係結ぶ前に

学生作品とチームをそのまま中規模から大手のパブリッシャーが抱え込んだり、あるいはKickstarterなどのクラウドファンディングを通じて学生チームがインディーデベロッパーになる例は少なくない。ゲームを開発する学生たちは、学生作品専用のレーベルに加入するよりも、大手のパブリッシャーと契約して大型のゲームを開発したり、独立したデベロッパーとして素晴らしい作品を世に送ることも夢見ているだろう。

しかし『Chambara』のリードデザイナーである学生Esteban Fajardo氏は、「USCはクリエイティブの自治権をぜんぶこちらに与えてくれる」と「USC Games Publishing」が必要な理由を語る。要するに、ゲーム開発においてはパブリッシャーとの関係性や財政の問題で、ゲームデザインが変更される可能性が常につきまとう。ただ最初から収益化を望んでいない「USC Games Publishing」は、その点を不安がる必要は無いというわけだ。もちろん、開発規模や期間の問題などはそれでもつきまとうが。

学生作品レーベル「USC Games Publishing」は今春よりスタート予定。若きデベロッパーの卵たちが生みだした作品は、いったいどんなものとなるのだろうか。

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