先月8月15日に早期アクセス配信開始された『shapez 2』は、約1か月で25万本を売り上げているという。開発元tobspr GamesのCEOであるTobias Springer氏いわく、成功の背景には“早期アクセス配信前”にユーザーからのフィードバックをきめ細かく取り入れたことがあるようだ。海外マーケティング調査機関GameDiscoverCoの取材にて語っている。
『shapez 2』は自動化工場建設ゲームだ。PC(Steam)向けに8月15日に早期アクセス配信開始された。本作は高い評価を受けた工場自動化シミュレーションゲーム『shapez』の続編。同ジャンルの作品のなかでも工場建設要素に特化し、比較的シンプルなシステムにて巨大工場を作れるゲームプレイが持ち味だ。そうした特徴はそのままに、本作では2Dから3Dグラフィックへと移行。これを活かした新たなメカニクスが導入されている。
本作はSteamユーザーレビューにて本稿執筆時点で約6200件中98%の好評率で「圧倒的に好評」ステータスを獲得するなど、非常に高い評価を受けている。また発売後数日で売上15万本を達成(関連記事)。そして今回GameDiscoverCoは、本作がさらに売上を伸ばし、約1か月で25万本を記録したことを伝えている。また本作を手がけたtobspr GamesのCEO、Tobias Springer氏は本作の成功について、同誌の取材を受けている。Tobias氏が語ったところによると、早くからプレイヤーのフィードバックを多く取り入れ、ゲームのクオリティを着実に上げていったことが成功に強く影響しているのだそうだ。
Tobias氏いわく、本作では開発初日からDiscordサーバーでユーザーの意見を募り、100件以上のアンケートを取ったという。さらに、数か月後にはプロトタイプがDiscordサーバー内で共有され、その後はPatreonにて支援者向けにすべてのビルドを共有し、フィードバックを得ながら開発を進めていたという。さらに、開発後期には2週間ごとに一度、計25回ものプレイテストを実施。そのたびにプレイヤーがいかにゲームシステムを理解しているかデータを取っていたのだそうだ。
くわえて、Tobias氏は今日ではたとえ早期アクセス版であったとしても、UIやUXの品質が微妙であったり、チュートリアルが不足していたりバグがあったりすることに対してユーザーは厳しい目を向けているとの考えを述べている。ゲームのプレイ時間が多少短くなろうとも、ゲームのクオリティを上げてユニークな体験を担保することが重要だと考えているそうだ。早期アクセス配信前に、DiscordやPatreon上でのテストプレイでユーザーのフィードバックを受けつつクオリティを底上げしたことも、成功の大きな要因なのだろう。
また、本作はローンチ時以外にはあまり宣伝を行わず、口コミなどの自然発生的な効果を頼りにしたとのこと。インフルエンサーを選出し、YouTubeに遊んだ様子を投稿してもらったところ、本作の人気の後押しになったとのこと。一方で、メディアに向けたプレスでは大きな影響が見られなかったという。
このほか、Epic Gamesストアでの前作『shapez』の配布、Steamパズルフェスへの参加やデモ版の公開など、注目度が高まる節目での施策も良い方向に作用したそうだ。また定価を29.99ドルにしたかったところを、24.99ドル(国内向けには2800円)にしたことも成果に繋がったと考えているとのこと。値段を下げた代わりに応援してくれるユーザー向けにサポーターエディションを販売することにしたそうだ。
なお本作はアメリカ、中国、ドイツの順で売れ行きが高く、この三国だけで売り上げ総数の半数近くを占めているという。その後にイギリス、日本と売上は続いているとのことだ。
『shapez』の続編として大成功を収めている『shapez 2』。あえて早期アクセス配信前に、より小規模なコミュニティで何度もユーザーのフィードバックを得て磨き上げる特徴的な開発方法などが功を奏したようだ。早期アクセス配信を経てさらにブラッシュアップを続けていくと見られ、今後にも期待がかかるところだろう。なお本作の早期アクセスは最低でも6か月間が見込まれており、正式リリース後には価格の引き上げも実施予定だ。
『shapez 2』はPC(Steam)向けに早期アクセス配信中だ。