ゲーム『Bugsnax』の開発元CEOが9月13日、X（旧Twitter）上にて「Googleが勝手に『Bugsnax』の続編ゲームをでっち上げている」と伝えた。開発されてもいない“Bugsnax 2”の内容や発売日が、Googleの機能により、まるで真実であるかのように表示されていたようだ。
『Bugsnax』は、インディーデベロッパーのYoung Horsesが手がけ、2020年にリリースしたアクションゲームだ。現在PC（Steam/Epic Gamesストア）PS4/PS5/Nintendo Switch/Xbox One/Xbox Series X|S向けに展開されている。本作で主人公は、半分がお菓子（スナック）になっている不思議な生物・バグスナックス（Bugsnax）が生息するとある島を冒険することになる。多種多様なバグスナックスを捕獲し、島に隠された謎を解き明かすのだ。
また、『Bugsnax』は本稿執筆時点で5300件以上のSteamユーザーレビューを集め、うち97％が好評とする「圧倒的に好評」ステータスを獲得する高評価・人気作品である。そんな本作を手がけたYoung HorsesのCEO・Philip Tibitoski氏が9月12日、自身のXアカウントにポストを投稿。その中で「『Bugsnax』の続編は開発していない」「子どもに対して、Wikiの二次創作を元にしたAIのでっちあげ（AI bs）を吹き込むのをやめろ」として、とあるユーザーによる『Bugsnax』レビューと見られる文章を紹介している。
紹介された文章では、現在7歳だという子どもがBugsnaxを絶賛。プレイの思い出も交えて、本作の魅力を一生懸命に伝えている。そしてレビューの最後には、「“Bugsnax 2 The City”が発売されたらまた書くよ、がんばってねYoung Horses！」と応援の言葉が添えられている。ところが、“Bugsnax 2 The City”などという続編は現在開発されていない。この7歳の子どもは、存在しない『Bugsnax』続編についての誤った情報を吹き込まれたようなのだ。
そして、Tibitoski氏らによってその原因と見られているのが「Googleの検索表示」である。同氏の投稿に向けて寄せられたリプライには、Googleの検索結果画面が添えられている。そちらを見ると「“Bugsnax 2”はいつ発売？（When is Bugsnax 2 coming out）」との検索ワードに対し、Googleが自信満々に「“Bugsnax 2 the City”はYoung Horsesが開発しているアメリカのパズルゲームで、2024年10月15日に発売予定です」との検索結果を提示している様子がわかる。
さらに誤情報の出本を辿ると、Idea Wikiなるサイトにたどり着く。同サイトは、ゲームを含むさまざまなエンターテインメント作品のファンが、「続編展開などのアイデア」を投稿するサイトだ。
同Wikiには「ファンによる想像上の続編」として、問題の“Bugsnax 2 the City”のページが存在。あくまでも二次創作ではあるものの、キャラクターや舞台などの設定、ゲームプレイ要素に至るまで詳細に練り込まれた記述が見られる。また、前述の発売日や開発元情報も同ページに記載。こうした表記を、Googleのアルゴリズムが「本物の『Bugsnax』続編の情報である」と解釈して、まるで真実であるかのように表示したのだろう。
前述のような表示は、「強調スニペット」と呼ばれるGoogleの機能による。Googleの説明によれば、同機能は「ユーザーの探している情報が見つけやすくなると判断された場合に表示される」という。自動システムにより、検索結果から生成されているとのこと。ユーザーからのフィードバックなどによる精度向上も試みられているようではあるが、本稿執筆現在も英語環境での検索では、“存在しない『Bugsnax』続編”の情報が強調表示されている状態だ。
Tibitoski氏が今回の投稿で言及した「AIのでっちあげ」とは、上述のようなGoogleによる誤解を招く表示状況のことだろう。『Bugsnax』を愛する子どもが、存在しない続編を信じ込んでしまう様子にも胸を痛めていたのかもしれない。今回の同氏による投稿は、海外メディアPC Gamerによって取り上げられるなど注目を集めている。こうした誤情報については積極的にフィードバックで訂正を促したいほか、Google側による対策が取られるかも注目したい。
『Bugsnax』は、PC（Steam/Epic Gamesストア）PS4/PS5/Nintendo Switch/Xbox One/Xbox Series X|S向けに発売中。続編は今のところ開発されていない。
