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ヒット中アヒル落としゲーム『Project P.I.T.T.』、それでも開発者は「失敗した気分」。落ちていく好評率、プレイテストの“落とし穴”
大きな注目や売上を得た一方で、「プレイヤーの期待を裏切ってしまった」と感じる部分もあるようだ。

個人デベロッパーのFroke氏は8月24日、海外掲示板Redditにて、自身が手がけた『Project P.I.T.T.』の開発を振り返るスレッドを投稿した。大きな注目や売上を得た一方で、「プレイヤーの期待を裏切ってしまった」と感じる部分もあるようだ。
『Project P.I.T.T.』は一人称視点の物理演算インクリメンタルゲームだ。対応プラットフォームはPC(Steam)。プレイヤーは、とある企業の新人インターンとなり、与えられた業務をこなす。設備を使ってゴム製のアヒルを作り、施設の中央にある底の見えない穴へと放り込んでいく。徐々に穴は成長していき、その後アヒル以外のさまざまな物体も生産することになる。8月20日に配信が開始され、現在までに481件のユーザーレビューを獲得。うち78%が好評とする「やや好評」ステータスとなっている。

そんな本作の開発者であるFroke氏が、本作を開発した経緯や、発売後の反響を受けての所感をRedditに投稿している。本作は昨年11月よりitch.ioで配信されたアルファデモ版や、今年6月にリリースされたSteamのデモ版を通して口コミが広がり、さまざまなコンテンツクリエイターに取り上げられることに。特に、スペインの著名ストリーマーによる約2万人が視聴したライブ配信や、2日で300万回以上再生されたYouTube動画は大きな後押しになったという。
その後、100人を対象としたクローズドプレイテストを実施し、多くの問題を修正。徐々に増加したウィッシュリスト登録数は、最終的に12万件に達し、発売日当日を迎えたそうだ。最大同時接続プレイヤー数は約3900人で、売上は最初の24時間で2万2000本以上に上ったとのこと。このとき同氏は本当に安心したといい、初めてのゲームを一人で開発した身として、Steamでリリースできてそれを人々が購入してくれたことは、夢が叶ったような気持ちだったそうだ。Redditの投稿時点までに5万本を売り上げ、売上総額は40万ドル(約6400万円)を超えているとのこと。
しかしその後、徐々に低評価のレビューが寄せられるようになったという。初日には好評率92%で「非常に好評」であった一方、現時点では好評率78%の「やや好評」の水準にまで低下している。特に不評だったのは、ゲーム中盤に発生する「落石」だ。これは、施設内に瓦礫が落下し、プレイヤーが組んだ装置の一部を破壊するというもの。Froke氏いわく、プレイヤーに新たな問題を突きつけ、適応を促すという意図で導入されたものだったそうだ。プレイテストにおいても、興味深い新たな挑戦として、テスターの大半から好意的に受け入れられていたという。

ところが、瓦礫をすぐに移動させることができないという仕様が不評を買った。ゆくゆくは瓦礫を動かすための道具をアンロックできるものの、それまではプレイヤーが苦労して作った装置が破壊された上に、有効な対処法もないという状況が発生するわけだ。Froke氏は、「プレイヤーの信頼を裏切っている」といったユーザーからの指摘に納得し、最終的に落石の仕様自体をアップデートで削除することにしたそうだ。
しかし、ほかにも重大なバグや、ゲームデザインそのものにかかわる問題についてのレビューが寄せられたという。それらを迅速に修正し、ゲーム体験を円滑にする機能なども追加したものの、不評レビューは止まらなかったそうだ。同氏は、一番問題になっているのはこのゲームそのものだとしており、ゲームを全面的に作り直さない限りは、修正が難しいとまで考えているという。ストアページでの説明が悪かったのか、そもそも作品の出来が十分ではなかったのか、Froke氏はプレイヤーを失望させてしまったという思いから、精神的に大きな負担が生じていると明かしている。

一方で、自身が開発したゲームに10時間、20時間と費やしてくれる人がいることは、大きな救いになっているという。また、今回の貴重な経験から学ぶことで、今後もたくさん、より良いゲームを作れるようになるとして、前向きにも捉えているそうだ。
特にプレイテストについては先述したような経緯もあってか、優秀なプレイテスターがいることと、幅広いプレイヤー層にテストを実施することは、必ずしも同じではないと気付いたという。プレイテストに参加したプレイヤーは、デモ版の時点で本作を気に入っていた熱心なプレイヤーが中心であったため、“危険信号”に気づけなかったのではないかと考察されている。なお同氏はコメントへの返信の中で、テスト自体は幅広いプレイヤーに向けて実施したものの、フィードバックをくれたのが熱心なプレイヤーたちだけだったとの背景を明かしている。これについて、ゲームがあまり気に入らなかったプレイヤーはそもそもフィードバックを送ろうとはしなかったのだろうとの考えを示した。

ゲーム開発においては、プレイテストの重要性が説かれることも多い。本作でもクローズドプレイテストが実施され、好意的に受け止められた要素が製品版にも実装されたようだ。ところが実際にリリースされた際に不評を買ったという今回の事例からは、さまざまなプレイヤー層からのフィードバックをあらかじめ得ることの難しさもうかがえる。
一方で数日で5万本という売上は、約1年間かけて開発した初作品としては商業的に成功と言えるだろう。ただしFroke氏は満足しきれていない様子で、プレイヤーの期待に完全に応えることができなかったという葛藤も抱いているようだ。同氏が今回得た知見が、次の開発にどのように活かされるのかも注目されるところだろう。なお、Redditの投稿では、本作のアイデアが生まれた経緯なども語られており、興味のある方は覗いてみるとよいだろう。
『Project P.I.T.T.』は、PC(Steam)向けに配信中。現在はリリース記念セールが開催されており、日本時間9月3日午前2時までの期間限定で、定価の15%オフの税込1147円で購入可能だ。
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