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“Godot創設者が講演でUnityを煽った”との憶測が出回る。「燃え盛るUnityロゴ写真」が独り歩き、本人が事情を説明
講演のとある場面が海外掲示板Redditにて拡散され、“Godotの共同開発者がUnityを貶した”とする誤解が生まれることとなった。

ゲームエンジンGodotの共同開発者であり、Godot Foundationの理事を務めるAriel Manzur氏は8月14日、韓国・釜山にておこなわれたイベント「Busan Indie Connect Festival(BIC)」の併設カンファレンス「Busan Indie Wave Conference」にて登壇。この講演のとある場面が海外掲示板Redditにて拡散され、“Manzur氏がUnityを貶した”とする誤解が生まれることに。一方で聴講したというユーザーのほか、Manzur氏自らもコメントにてそうした誤解を否定している。
Godotは、Juan Linietsky氏とAriel Manzur氏が共同開発したゲームエンジンだ。現在は非営利団体Godot Foundationの支援のもと、オープンソースエンジンとして開発が進められている。軽量かつ高速な開発環境も特徴で、近年利用者や採用作品の数を増やしている。

Manzur氏はBICにおいて、「Godot Engine: Open source in the videogame industry」というテーマで講演。現地メディアPNNのレポートによれば、講演の中では、Godot Foundationがコミュニティや企業とともにどのようにエンジンの開発やメンテナンスを進めているかが語られたという。
ところで、このセッションの一場面を写した画像が、海外掲示板Redditにて共有され波紋を呼んでいる。「Cofounder of Godot presenting at BIC gets a little spicey(Godotの共同創設者がBICで登壇したけど、ちょっと過激だった)」としてユーザーが投稿した画像には、Unityのロゴが燃えるスライドを用いてManzur氏が話す様子が写っており、競合他社を貶す内容の発表がおこなわれたとの誤解から同氏を批判するコメントも寄せられた。
一方で、セッションを聴講していたというユーザーは、講演は落ち着いた様子でおこなわれ、意地悪な感じやライバル意識のようなものはまったくなかったと伝えている。また別のユーザーは、Redditのユーザーの多くが誤解していると説明。投稿された画像は、Unityがおこなった「bad decisions(悪しき決断)」がGodotの現在の人気向上につながったといった内容をManzur氏が話していた際に表示されていたものであると述べている。あくまで説明の中で、スライドにUnityのロゴが燃える画像が写っていたにすぎなかったようだ。

この“悪い決断”については、インストール数に応じて料金を課す当時の新料金システム「Runtime Fee」を指したものであるとみられる。Runtime Feeは2023年9月の発表後大きな反発を受け、導入前の2024年9月に撤回されていた。この出来事により、Unityからの乗り換え先としてGodotがシェアを高めていったという経緯があった(関連記事)。
講演のアーカイブ映像などは現時点では公開されていないため、内容について詳細に確認することはできない。ただし、投稿された写真には、Manzur氏の発言内容を翻訳したものとみられる韓国語字幕が写っている。それによると同氏はこの場面で、ビジネスにおいて企業は基本的に自ら損をするような決定などしないと考えられるものの、Unityは実際にそうした判断を下した、といった内容を説明していたようだ。つまり問題となったスライドは、Godot躍進の背景にあった、Unityの誤った判断を伝える中で用いられたものだった様子だ。企業としてのUnityを敵対視したり軽視したりするような文脈ではなかったのだろう。
なおRedditの投稿内では、登壇したManzur氏本人もコメントを投じている。同氏は、当日のスライドはGodot FoundationのエグゼクティブディレクターであるEmilio Coppola氏からもらったものであったと釈明。スライドを作る時間がなく、自分が作る低品質でミームっぽいものよりも見栄えがよかったため、採用したそうだ。結果として講演内容からかけ離れたような“過激”な印象を与えうる画像がスライドに含まれてしまった模様。そしてこのスライドの写真だけが広まったことで、講演内容についての誤解が生じたものとみられる。
なおManzur氏らは過去のインタビューで、前述したRuntime Feeの撤回がおこなわれた際、UnityからGodotへ多数のユーザーが流入する状況を危惧していたことを明かしていた。その理由としては、Unityの代替エンジンとしては当時機能が不足していたことや、オープンソースゆえの性質の違いなどがあったという(関連記事)。こうした背景を踏まえると、Manzur氏らにとってUnityの失態によるユーザーの大規模流入は手放しに喜べるものではなかったことも見てとれる。このような背景からも、“Unityの炎上”を揶揄するような講演がおこなわれたとは考えにくい。
ちなみに、Game Developers Conferenceが公開したレポート「2026 STATE OF THE GAME INDUSTRY」では、開発者がメインで用いるゲームエンジンとしてGodotが5%を記録した。現時点ではUnreal EngineとUnityの2強状態ではありつつ、新興インディースタジオで見るとGodotのシェアは11%になるなど、着実に勢力を拡大していることがわかる(関連記事)。また、先日にはゲームジャムイベント「GMTK Game Jam 2026」にて、提出された作品のゲームエンジン使用率でGodotがUnityを初めて上回り、最多であったことも伝えられた(関連記事)。単に“Unityの代替”としてではなく、オープンソースエンジンならではの強みなどもアピールしてきたGodotの、今後の成長に注目が集まる。
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