作った「草」に魅了されたゲーム開発者が話題に。こだわりの“草むらかき分け”システム、没入しすぎて開発そっちのけ

開発中のゲームの“草むら”が心地よすぎて、テストプレイそっちのけで歩きたくなってしまうのだという。

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細かな部分に気を取られ、ゲーム開発の本筋に集中できない。そんな文章が海外掲示板Redditで話題となっている。開発中のゲームの“草むら”が心地よすぎて、テストプレイそっちのけで歩きたくなってしまうのだという。

今回話題となっているのは海外掲示板Redditの、Godotゲームエンジンに関する話題が集まるサブレディットr/godotに投稿された「I get distracted from my own game because of a small detail: grass flattening(ちょっとした細かなことに気を取られて自分のゲームに集中できないことがある。“草を平らにすること”なんだけど)」から続く一連の文章だ。投稿したのは『Mom, I’ll Be Home Late』というローグライトゲームを開発しているスタジオMarblekid Studioのアカウントである。投稿の本文によれば、同作品には草むらを歩いたときに踏み倒されるシステムが存在する。それが心地よすぎてテストプレイに集中できないというのだ。

もちろん、同スタジオとしても最初から草にこだわっていたわけではない。公開されている開発日誌によれば、最初はただ草を表示するだけだったようだ。ただ、実際にプレイしてみると物足りなく感じられたという。その原因を「相互作用の無さ」だと考え、歩いたときに草が脇に押し分けられるようにしたとのこと。ここで手を止めても良さそうにも思えるが、同スタジオはさらに一歩踏み込むことにした。歩いた場所の草が倒れたままになるシステムを実装して、自分がその場所にいた痕跡が残るようにしたのだ。本作は見下ろし型のゲームであるため、プレイヤーに「手触り」や「実在感」を伝えるためにやや大げさに草に跡をつけることにしたようだ。

そんな草の仕組みは、草などの環境とのインタラクション用のテクスチャによって実現されている。テクスチャでは、通常は色と透明度が記録される4つのチャンネルが草の状態を記録するために使われているとのこと。それぞれのチャンネルは「草が押し倒される強さ」「押し倒される向き」「倒されたまま維持するための情報」「草の下の地面の足跡」に用いられているそうだ。これらの情報を参照して、草が踏み倒されていく様子や、そのまま平らになって戻らない状態が描画される。

また、インタラクション用テクスチャのサイズは128×128と、メモリを圧迫しない程度の小ささに留められている。また、プレイヤー周辺のチャンクだけを事前に読み込みながら処理しており、プレイヤーが脱出したり死亡したりしてその場を離れると、不要なチャンクをメモリ上から破棄するかたちで実装されている。プレイヤーが動いた場所の状態を記録しても、ゲームの動作に悪影響を及ぼさないよう処理を軽くしているわけだ。

こうした草へのこだわりが話題となり、今回のMarblekid Studioの投稿に対しては多くのUpvote(いいねに相当)とコメントが寄せられている。先述の実装方法についてもコメント欄の質疑応答で語られたものであった。またあるユーザーは、Valveが手がけたホラーFPS『Left 4 Dead』にて、開発者はプレイ時間の大半を占めることになるゾンビを撃つという体験に注目し、手ごたえや生々しさを作りこんだとする事例を紹介。決して細かなことではないとして、同氏のこだわりを評価する意見も上がっている。ほかにも、このままミステリーサークルを作るゲームにできそうといった提案も見られる。本作には戦闘要素なども実装される予定のようだが、歩いて草に跡をつけているだけの様子に多くの人が心を奪われている様子だ。

ちなみに、本作でプレイヤーは頭がビー玉のような形状になっている小さな子供を操作し、家の外でいろいろなものを探し集めて帰宅することになるようだ。時間が経つほどに危険は増すが、獲得できるアイテムも良いものになりやすくなる。「早く帰ったほうが良い」「もっと外にいたい」というジレンマが味わえる作品となりそうだ。草の変化も冒険をしている実感として、もっと外を歩き回っていたいという思いを引き立てる要素の一つとなるのだろう。

『Mom, I’ll Be Home Late』は、PC(Steam)向けに開発中だ。

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Naoto Morooka
Naoto Morooka

1000時間まではチュートリアルと言われるようなゲームが大好物。言語学や神話も好きで、ゲームに独自の言語や神話が出てくると小躍りします。

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