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Apothemaは開発中のパズルゲーム『Hexzen』をアラビア語に対応させた際のエピソードを語った。現地ユーザーからのアドバイスも、数多く寄せられたそうだ。

デベロッパーのApothemaは7月14日、開発中のパズルゲーム『Hexzen』を15言語に対応した際の裏話を公開した。アラビア語の翻訳に大変な苦労をしたとして海外掲示板Redditで話題になった開発者が、直々に詳細を明らかにしたかたちだ。
『Hexzen』は、六角形のマス目からなる盤面で推理する論理的なパズルゲームである。ピクロスや数独、マインスイーパーなどの要素が混ざっており、運に左右されることなく理詰めでマス目を1つずつ解決していく作品だ。本作独自のヒント要素としてはパリティ(偶奇性)があり、隠された数字が偶数なのか奇数なのかを教えてくれる。プレイヤーはそんなパズルを解く覚醒者として、眠っている石碑を目覚めさせ、バラバラになり紙片として散らばってしまった空を取り戻すことになる。

本作は開発者が病気療養中に個人で開発を始めたもので、多くのアクセシビリティ機能を徹底的に実装することを開発の初期段階から決めていたのだという。誰かの身に大変なことが起きた後でも、少なくとも1時間くらいは日常から離れて、心穏やかに過ごしてほしいとの思いが込められているそうだ。
多くの言語への対応もその一環としておこなわれており、日本語を含む15の言語に対応予定となっている。言語対応以外では、あらゆる色覚特性に対応した配色の調整や、ディスレクシア(文字の読み書きのみに著しい困難を抱える学習障害の一種)のプレイヤー向けのフォント(OpenDyslexic)の実装、マウスなしで遊べるさまざまな操作方法(キーボードのみ、カスタマイズ自由なコントローラー操作)などが用意されている。集中を阻害して日常に引き戻すような要素を、とことん排除しようというわけだ。
それだけに多くの言語への対応は難しい作業となったようだ。あまりに大変な作業のために、開発者は海外掲示板Redditでその苦労話を共有。インディーゲーム開発についての話題が投稿されるサブレディットr/IndieDevに投稿された文章は、大きな反響を呼ぶこととなった(関連記事)。

その後、アラビア語話者のプレイヤーからは多くの反応が寄せられたことで、より良い翻訳につなげられたとのこと。中にはRedditの投稿に対して強く反論するものもあったようだが、すべてに目を通した上で、わざわざ時間をかけてメッセージをくれたとして感謝の意が述べられている。
アラビア語話者のプレイヤーから寄せられた意見として特に大きなものは3点あったという。まず、アラビア語の中でもフスハー(現代標準アラビア語)が好まれるということ。フスハーは話し言葉としてはやや堅苦しいものの、広く学ばれているため、ほとんどの人が使うことができるのだ。また、数字に関してはアラビア語ではおもにインド数字が使われているが、ことゲーム内の表示についてはアラビア数字(0〜9)のほうが好まれるようだ。現在はどちらの数字にも対応し、オプションで選択できるようにしたとのこと。3点目は翻訳したらきちんと伝えてほしいという指摘である。今回の裏話には、その指摘に応える目的もあったようだ。

ちなみに今回の投稿では、新たに開発中のバグを紹介するスクリーンショットも公開されている。上記の画像はUIを左右反転させて、アラビア語を表示した段階のものと思われる。文字の形状だけは右から左に書いたときにつながるように変わっているが、表示順が左から右になっているためにバラバラになってしまっているのが見て取れる。このほかにも、本作ではルーン文字と数字が混在したヒント要素があり、同じフォント内に両者が含まれていなければならなかったという。そのため、ルーン文字とインド数字の両方が同居したフォントを自作することになったとのこと。
多くの困難を乗り越えてアクセシビリティ機能を徹底して実装している本作だが、まだまだ課題は残されているようだ。たとえば、ディスレクシアのプレイヤー向けのフォントはまだラテン文字しか実装されていない。この点については文字の種類が限られているアラビア語よりも、むしろ漢字を含む日本語や中国語のほうが難しいということになりそうだ。日本語でもディスレクシアの人向けのフォントは近年になって研究・開発されているが、人によって読みやすいと感じる形状が異なることもあり、実用化に向けた取り組みが進められている段階だ。今後、本作がどこまでこだわり抜いてお披露目されることになるのか注目したい。
『Hexzen』はPC(Steam)向けに、11月3日リリース予定だ。
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