リアル系ゲームエンジン「CRYENGINE」は“過小評価されすぎ”との声が上がる。滞る公式更新、有志が「死なせるには惜しい」と訴える

海外掲示板Redditにて、「CRYENGINEはこのまま忘れ去られるべきではない」とする投稿が注目を集めている。

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海外掲示板Redditにて、「CRYENGINEはこのまま忘れ去られるべきではない(CryEngine doesn’t deserve to be mostly forgotten)」とする投稿が注目を集めている。一般向けエンジンの更新には滞りが見られつつも、ポテンシャルを秘めたエンジンであるとして、投稿者は同エンジンの再評価を訴えている。

CRYENGINEは、Crytekが開発したゲームエンジンだ。同社が手がけた初代『Far Cry』や『Crysis』シリーズなどのタイトルで採用されており、フォトリアルなグラフィック表現が持ち味となっている。2016年には「CRYENGINE V」として、エンジンのすべての機能とソースコードへのアクセスを、支払額を自由に決められる「Pay What You Want」方式で一般提供開始。現在は収益に応じて利用料を支払うロイヤリティー方式で提供されている。ちなみに近年のタイトルでは、Warhorse Studiosが手がけ2025年2月に発売された『キングダムカム・デリバランス II』に独自改良されたCRYENGINEが採用されたことも記憶に新しい。巧みな最適化が評価された同作では、優れたグラフィックを表現しながら、スペックが比較的低いPCでも快適に動作するとして話題となった。

ところがCrytekは2021年末には、過去2年間に発生した開発上の問題や新型コロナウイルスの影響を受けて、「CRYENGINE V」の開発計画を見直すことになったと発表。2022年4月に「CRYENGINE 5.7 LTS」を、同年5月にはその修正版として「CRYENGINE 5.7.1 LTS」を公開し、次期フルバージョンの開発をおこなっていることを明かしていた。しかし、その後一般向けのエンジンについては大きな動きはなく、2024年8月に大型アップデートを迎えた『Hunt: Showdown 1896』では「CRYENGINE 5.11」というバージョンが利用されている一方で、一般向けに公開されているSDKとしてはいまだにCRYENGINE 5.7.1 LTSが最新版という状況だ。

『キングダムカム・デリバランス II』

今回投稿をおこなったRedditユーザーのrandomperson189_氏は、CRYENGINEにはまだ多くの潜在能力が秘められているのにもかかわらず、Crytekがそれを十分に発揮できていないと述べている。同氏は、2016年から2017年にかけてECS(Entity Component System)やビジュアルスクリプティングシステム「Schematyc」が段階的に導入されたことでより現代的なゲームエンジンとなり、UnityとUnreal Engineの中間のような興味深い存在になったと評価している。

また同氏は、Unreal Engineやその歴史を愛しており、同エンジンを批判する意図はないと前置きしつつ、近年のEpic GamesにはUnreal Engineを十分に管理できていない兆候があり、Unreal Engine 5が抱える多くの問題を修正できていないと指摘。その背景には、Unreal Engine 4やそれ以前の時代とは異なり、競合相手が少ないことが一因ではないかとの持論を展開している。

そうした状況で同氏は、登録した開発者がソースコードにアクセスでき、初期費用なしで利用できるCRYENGINEが、ロイヤリティー形式かつAAおよびAAAクラスのゲームエンジンとして、Unreal Engineにもっとも近い代替候補の一つであると期待を寄せているようだ。同氏は、ゲームエンジン間の競争や開発者の選択肢が増えることは、業界にメリットをもたらすとの見方を示している。

『Crysis 3 Remastered』

なおCRYENGINEのコミュニティでは、有志による「CRYENGINE Community Edition」の開発が進められている。randomperson189_氏も同プロジェクトに関わっているようで、プラグインやプロジェクトテンプレートなどの開発および公開もおこなってきたという。同氏は、公式ドキュメントは依然として役に立つとしたうえで、一部は古いまたは不完全であり、新しい開発者が苦労する可能性があるとして、ドキュメントや学習コンテンツを充実させる必要性を示している。

ところで、同氏はオープンソースのゲームエンジン「Open 3D Engine(O3DE)」をCRYENGINEの代替とみなす意見にも反論している。O3DEは、CRYENGINE 3をベースとしてAmazonが開発・提供していた「Amazon Lumberyard」をルーツとしている。ただし同氏によれば、Amazonによってコードベースの9割方は書き直されているため、O3DEは現代のCRYENGINEとはほぼ別物であるという。そのうえで、粗削りな部分はありつつも、CRYENGINEはCRYENGINE Vの登場によってCRYENGINE 3の時代よりもはるかに使いやすくなったと説明。現在は過小評価されていると述べつつ、大きな可能性を秘めているゲームエンジンであるとの見方を示した。

なおUnreal Engineについては、先日「Unreal Engine 6」に関する計画を発表したばかり。ブループリントが将来的に非推奨となり、次世代言語の「Verse」が導入される方針が伝えられているなど大胆な方針転換もうかがえ、業界からは懸念の声も寄せられている。そうしたなかで、競合ゲームエンジンともいえるCRYENGINEの“復興”に期待する声も一部で上がっているようだ。

『Hunt: Showdown 1896』

ちなみにCrytekは2025年2月に、開発中であると発表されていた『Crysis 4』については開発を保留し、『Hunt: Showdown 1896』の開発を優先していたことを明かしていた(関連記事)。この際には人員削減もおこなっていたものの、CRYENGINEに関する戦略を推進していくとも伝えていた。ただ前述したとおり、一般向けに公開されているCRYENGINEは現状ではCRYENGINE 5.7.1 LTSで止まっている状況だ。まずは開発リソースを『Hunt: Showdown 1896』に集中させている状況も伺え、CRYENGINEの次期バージョンの開発がどのように進められているかは注目される。

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Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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