グラフィック大刷新の『BeamNG.drive』、実は『グランツーリスモ7』の映像技術が活用されていた。全然違う車ゲームをつないだ、“オープンソース”技術リレー

『BeamNG.drive』には、『グランツーリスモ7』で使われたトーンマッピング技術が活用されていることが明らかとなっている。

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デベロッパーのBeamNGは7月30日、『BeamNG.drive』に向けてバージョン0.39を配信開始した。史上最大のアップデートと称されるこのアップデートには、グラフィックの大規模な刷新も含まれている。そんなグラフィックの刷新において、『グランツーリスモ7』で使われた、サンプルコードがオープンソースとなっているトーンマッピング技術が活用されていることが明らかとなっている。海外メディアGTPlanetが伝えている。

『BeamNG.drive』は2015年5月にリリースされたドライブシミュレーションゲームだ。「ソフトボディ物理演算」が導入されている本作では、あらゆる部品の動きをリアルタイムでシミュレートすることで、リアルな車両の動作を再現することが特徴。ミッションをこなしたりしつつ、さまざまなオープンワールドの環境を自由にドライブすることができる。

本作はSteamユーザーレビューで38万件のレビューを得て、97%が好評とする「圧倒的に好評」ステータスを獲得。11年以上にわたって配信されている長寿作品ながら、リリース以来右肩上がりで同時接続プレイヤー数を伸ばしており、バージョン0.39の配信後にはピーク時に約4万7000人を記録している(SteamDB)。

同アップデートにはさまざまな変更点が含まれているが、グラフィックの刷新は大きな要素となっている。影が安定して生成されるようになったほか、逆二乗則に基づく物理的な光の減衰を実装することで、リアルなライティングを実現。VulkanおよびDirect3D 12におけるHDRへの対応もおこなわれている。

そうしたグラフィックの改善においては、従来のACESトーンマッパーに代わるかたちで、『グランツーリスモ7』のトーンマッピングが採用されていることが公式ドキュメントの中で明かされている。『グランツーリスモ7』といえば、ソニー・インタラクティブエンタテインメント傘下のポリフォニー・デジタルが手がけ、2022年に発売された『グランツーリスモ』シリーズ最新作だ。

『グランツーリスモ7』

トーンマッピングとは、ゲーム内部で計算された輝度情報を、ディスプレイが表示できる範囲へと変換するために用いられている処理のことだ。たとえば太陽光と日陰が同時に映るシーンでは、両者に大きな輝度差があるため、そのまま出力すると白飛びや黒潰れを起こしてしまう。そのためトーンマッパーを用いることで、輝度の高い部分などをカーブに沿って圧縮し、情報をできる限り保ちながら変換している。

『グランツーリスモ7』のトーンマッピングでは、出力先の目標最大輝度に応じて、SDRとHDRで共通のトーンカーブを変形させて使用するアプローチを採用している。これにより、SDRとHDRの双方で、一貫した見た目を維持することができる。さらに、輝度と色度を分離して処理することで、高輝度の箇所における色相の変化を抑える仕組みも存在。そうして得られた知覚的により正しい変換結果を、RGBの各チャンネルを個別に処理した“カメラらしい”変換結果とブレンドすることで、最終出力を生成するものとなっている。

このトーンマッピングについては、CGの国際学会「SIGGRAPH 2025」にてポリフォニー・デジタルが発表したもの。発表スライドとあわせてC++のサンプルコードがMITライセンスのもとで公開されている。今回は『BeamNG.drive』にて、そうしたトーンマッピング技術が活用されたようだ。

『BeamNG.drive』はカーシミュレーション、『グランツーリスモ7』はレースゲームと、作品の方向性こそ異なるものの、同じ自動車ゲームである『グランツーリスモ7』から共有されたグラフィック表現に関する知見が、さっそく『BeamNG.drive』で実際に実装されたのは興味深い事例と言えるだろう。『BeamNG.drive』はPS5版が年内の発売を控えており、今後も注目の作品となりそうだ。

なお、バージョン0.39ではそのほか、UIが全面的に見直されたほかフォトモードが刷新。車両のライトや空力特性のシステムにも大幅な変更が加えられているようだ。詳細はパッチノート(英語)を確認されたい。

『BeamNG.drive』はPC(Steam)向けに配信中。PS5版が2026年内に発売予定だ。

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Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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