Riot Games、従業員約530人のレイオフ実施へ。ただし退職金やボーナスなど、レイオフサポートはかなり手厚いとの見方あり

Riot Gamesは現地時間の1月22日、従業員規模を11%削減し、約530人の従業員をレイオフすることを告知した。一方でレイオフ対象となったRiot Games社員に対する手厚いサポートに関心を寄せているようだ。

Riot Gamesは現地時間の1月22日、従業員規模を11%削減し、約530人の従業員をレイオフすることを告知した。公式ウェブサイトには、発表に併せて社員向けに送られた文面の内容も掲載されている。この社内向けのレイオフ告知をみた一部のXユーザーらは、レイオフ対象となったRiot Games社員に対する手厚いサポートに関心を寄せているようだ。


Riot Gamesは、『League of Legends』『VALORANT』『Legends of Runeterra』『Teamfight Tactics』などのタイトルを手がける企業だ。またeスポーツトーナメントを開催・運営しているほか、音楽グループやアニメシリーズなどの制作にも携わっている。今年11月からは『League of Legends』原作アニメ「アーケイン」シーズン2がNetflixにて配信開始予定。ゲーム開発のみならず、多岐にわたり活動してきた企業だ。

人気IPを複数擁するRiot Gamesながら、1月22日に従業員の11%にあたる約530人をレイオフすることを公式ウェブサイトにて告知した。発表内容によると、Riot Gamesの社員数は過去数年間で2倍以上に増加しているという。このなかではプレイヤーが本当に必要としているものを判断できないまま、数多くのプロジェクトに労力を分散させてしまっていたとのこと。ユーザー体験に最も大きな影響を与える領域に注力する一方で、そうでないものへの資源配分を削減することを目的に、今回のレイオフがおこなわれるという。

なおRiot Gamesによると、このたびのレイオフによって大きな影響を受けるのはトレーディングカードゲーム『Legends of Runeterra』と「Riot Forge」サービスになるという。『Legends of Runeterra』については、発売以来開発・サポートにかかる費用が収益を大幅に上回る資金難に苦しんできたそうだ。今後は開発チームを縮小し、The Path of ChampionsやPvEに注力し、「安定性を重視した」開発へと舵を切る予定だという。またRiot Forgeについては、Bandle Tale: A League of Legends Story以降は新規開発を中止する方針を示している。


Riot Gamesによる公式発表では、併せて社内向けに送られた文面が公開されている。この文面をみた一部のXユーザーからは「退職手当が手厚い」との見方も、レイオフ対象となった従業員へのサポートに驚きの声が挙がっているようだ。退職手当の内容を見てみよう:

発表によるとRiot Games職員(以下、Rioters)には、以下の報酬が保証されているという。

・退職金:基本給料の最低6か月分(長期在職者には、現地法律に沿ってさらなる給与を支給する)

・現金ボーナス:昨年入社も含むRiotersに向けて、昨年と同額の現金ボーナスを支払う

・医療補助:Riot側が医療補助をおこなう地域においては退職日まで、引き続き職員への医療補助は適用される。また退職金がカバーする期間についても医療・歯科・眼科用の医療費が支給される。

・Play Fund/Wellness Fundなど:Riotのゲーム内で使用できるボーナスであるPlay Fundsや、マッサージ/ジムなどのメンバーシップを含めるWellness Fundなどで支給予定だった金額である1000米ドル(約15万円)が支払われる。

・金融:職員のもつ譲渡制限付株式ユニット(RSU)に関しては、職員がそのまま保持し続ける。また自社株買いの話し合いがあった場合は、レイオフ対象のRiotersも参加する権限を持ち続ける、など。

・コンピュータ:Riotersは現在の仕事用PCを返却したのち、自宅にノートPCがない場合は、IT部門からノートPCを無料で引き取ることが可能。また、ヘッドセット、マウス、キーボードなどのデバイスはRiotersの所持品として、保持し続けることが可能。

・キャリアサポート:キャリアコーチング、ネットワーキング、履歴書の書き方や校正などの就職斡旋サービスを転職までの6か月間受けられる。

・Riotersアシスタントプログラム:従業員のメンタルや経済的アドバイスをおこなうRiotersアシスタントプログラムは、退職後3か月間継続してアクセス可能となる。

・VISAサポート:外部の在留支援サポートと密に連携し、Riotersごとに対応していく。

・RiotのEmailアクセス:すぐさま切断することはせず、対象のRiotersのメールアカウントはしばらく維持し続ける。Riotメールアカウントとリンクされた情報などの移行を可能とする期間を設ける。

Riot Gamesの発表をみたXユーザーのLumbogg氏などは、「Nicest severance packages I’ve ever seen(これまでみた、もっとも良心的な解雇手当だ)」と驚きのコメントを投稿。同氏はレイオフが従業員にとって“最悪なこと”であることに変わらないと前置きはしつつも「レイオフが相次ぎ退職手当も不足しがちな業界で、Riotは誠意をみせている」と対応を称賛している。


昨今では多数のゲーム関連企業でレイオフが実施されており、人員削減の流れが業界全体に流れている。人気IPを利用してさまざまな展開をおこなっていたRiot Gamesでも、ゲームへの注力を掲げて方針転換がおこなわれ、レイオフが実施されるかたちだ。一方退職手当を公表するほかの企業と見比べると、今回のRiot Gamesの退職手当では退職金や就職支援に加えて、ノートPCや使用していたデバイスの提供や一部福利厚生の現金支給など、比較的手厚い手当が用意されるようだ。昨今レイオフが多く見られるゲーム業界において、レイオフがおこなわれる際のサポートもスタッフが入社時に考慮する条件のひとつとなっていくかもしれない。

Mayo Kawano
Mayo Kawano

豪州在住の薬剤師およびにゲーム翻訳者。サバイバルクラフトゲームを主食として、ステルスゲームはデザートとする。

Articles: 266