『League of Legends』コミュニティにて“「カ・サンテ」強化されすぎ”議論勃発。一般向けに強くするとプロ向けには強くなりすぎるジレンマ

 

Riot Gamesが手がける『League of Legends』(以下、LoL)にて、チャンピオン「カ・サンテ」の調整についてユーザーから賛否さまざまな意見が集まり、話題となっている。


Riot Gamesは10月25日、『LoL』のパッチ13.21を配信した。パッチでは2年ぶりに新モード「ネクサスブリッツ」が復活したり、苦戦しているとされた攻撃力主体のジャングラーに対する強化の調整などが施されたりした。「カ・サンテ」はその中で強化されたチャンピオンのひとりだ。

カ・サンテはトンファーを携えて戦う、タンク役のチャンピオンだ。スキルでは相手にスローやノックバックを与えたり、味方にシールドを付与したりなどして支援しつつ戦うこととなる。

しかしカ・サンテはアルティメットスキルを発動すると、指定した敵チャンピオンを捉え、オールアウト形態となる。オールアウト形態中は最大体力と防御力が割合で減少する。その代わり、攻撃力と攻撃速度が上昇。相手に与えたダメージの一部を回復し、スキルの性能も変化する。つまりカ・サンテは通常時はタンク役だが、アルティメットスキル発動時はファイターとしてダメージを出すことも可能となるチャンピオンというわけだ。




カ・サンテは強いか、ちょうどいいか

パッチ13.21ではカ・サンテに対して、「彼自身のパワーを高めること」を目的とした調整がおこなわれた。具体的にはオールアウト形態になったときの攻撃速度や相手に与える追加ダメージ、スキルWで与えられるスタンの効果時間が上方修正されつつ、コンボを難しくすることを目的としてスキルの詠唱時間が長くなるなどした。この調整について、海外掲示板Redditでは議論が起こっている。

もともとカ・サンテのオールアウト形態におけるダメージは高めだった。このオールアウト形態でのステータスが向上し、ダメージがより出るようになったことで、カ・サンテの脅威は増した。そして一部ユーザーから問題視されているのは、今回の調整でカ・サンテが“全体的に強化されたこと”だ。ただでさえパワーのあるカ・サンテに、これ以上の強化が必要なのかどうかという観点での議論が巻き起こっているわけだ。




ユーザーから寄せられる賛否

まず、今回の調整に賛成する意見としては、「今回の調整で一般プレイヤーでもバランスが取れ、ソロランク向けにも調整が可能となるだろう」といった声がある。非公式統計サイトLoLALYTICSによると、直前のパッチ13.20では、カ・サンテはゴールド以上のランク帯の統計で勝率が約45%と苦戦していた。それが今回のパッチでは約50%に向上している。このことで今までプロシーンや高ランク帯を対象とした調整ばかりおこなわれてきたカ・サンテが、低中ランクにもフォーカスを当てた調整が可能になるだろうという意見だ。

    ほかにもパッチ13.20などでおこなわれた調整で、以前よりもカ・サンテのスキルの隙に攻撃を叩きこみやすく、カウンタープレイの余地があり、だんだんいい状態に近づいているという声もみられる。

    一方、今回の調整に反対する意見としては「カ・サンテはプロシーンや高ランク帯ですでに強すぎるため、強化などもってのほかだ」とする意見がある。LoLALYTICSではマスターランク以上において、パッチ13.20時点で勝率が約53%、パッチ13.21では約56%と高い水準にあるとされる。あまりにも丈夫すぎ、オールアウト形態では非常に高いダメージが叩き出せるカ・サンテは「Over Powered(OP)」、つまり“強すぎる”とする主張だ。


    プロシーンでの強さによってネットミーム化するカ・サンテ

    こうしたカ・サンテの強さはたびたびネットミームのように扱われることがある。Redditでは、海外の『LoL』プロプレイヤーであるJankos氏が、味方と協力し、カ・サンテと1対4で戦っているところをアルティメットスキルで強制的に1対1にされ、かつデスしてしまうシーンが投稿されている。動画内ではカ・サンテに対し怒りをあらわにするJankos氏の姿が確認できる。これも「カ・サンテはOPである」と印象づけた投稿のひとつだろう。


    ほかにも過去には、韓国のプロプレイヤーShowmaker氏が、カ・サンテが万能なスキルをもち、ステータスが非常に高いことなどを怒りつつ説明する動画が話題に。そのセリフの書き起こしが、カ・サンテが活躍したプロシーンの配信でコピペとして貼りつけられるなど、カ・サンテの強さはほぼネットミーム化しているわけだ。




    プロと一般プレイヤー両方にちょうどいい調整の難しさ

    ちなみに「低中ランクでは難しく、高ランクやプロでは強すぎる」チャンピオンがいるという問題はカ・サンテに限ったものではなく、たびたび議論の的となってきた。また、Riot Gamesもこの問題について把握している。ユーミのリワークや、プロ向けのバランス調整における開発チームからのコメントとして、一定の基準で調整しつつも、チャンピオンの特色を失わないようにするとしていた。

    とはいえ、あらゆるスキルレベルのプレイヤー全員が満足できるような“完璧な調整”は難しいだろう。また、今後のパッチにおいてカ・サンテがどういった立ち位置に落ち着くかは、ユーザーのカ・サンテに対する対策などでも変動する余地があり、断定することはできないだろう。今回の議論により、そういった調整の難しさが改めて浮き彫りになったかたちだろう。