『ファイナルファンタジーXI』のプロデューサー交代。開発チームを縮小し、今後は中長期の運営を目指す


スクウェア・エニックスは3月22日、MMORPG『ファイナルファンタジーXI』のプロデューサーが交代することを発表した。約10年間プロデューサーを務めあげた松井聡彦氏にかわり、藤戸洋司氏がディレクターと兼任するかたちで、プロデューサーを引き継ぐという。

『ファイナルファンタジーXI』は2002年にリリースされたオンラインMMORPGだ。舞台となるのは、仮想の世界ヴァナ・ディール。プレイヤーはミッションやクエストを攻略しながらキャラを育成。ときにはほかのプレイヤーと交流したり協力したりしながら、この世界を自由に冒険していく。


今回、本作のプロデューサーが松井聡彦氏から藤戸洋司氏に交代となることが発表された。松井氏は2012年8月より10年以上にわたって本作のプロデューサーを務めた人物。藤戸氏は2016年4月より本作のディレクターを担当しており、交代後はプロデューサーと兼任になるとのこと。

発表に際して公式サイトでは、両氏のコメントも寄せられている。松井氏は定年までプロデューサーを続けることを覚悟していたものの、その先がどうなるのかを思案していたという。そのおりに藤戸氏からプロデューサーの役目を引き受けたいとの申し出があったとのこと。松井氏がかつてプロデューサーを引き継いでから10年という節目に、藤戸氏の申し出があったことに「何か符牒のようなものを感じた」のだという。

また松井氏はプロデューサーとして本作を存続させることに重きを置いていたそうで、(運営姿勢が)かなり保守的だったのではないかと反省していると綴っている。そうした状況のなかでも、新任となる藤戸氏は本作に向けて、新規インストーラーやチャットフィルターといった大きな改良を提案していたという。そうしたエピソードもあり、松井氏は藤戸氏をプロデューサーを任せるにふさわしい人物だと考えているそうだ。また藤戸氏が自らの意志で引き受けると申し出てくれたことが、プロデューサーという役割と今後のヴァナ・ディールを任せようと決めた理由だとしている。


藤戸氏のコメントでは、今後の開発体制について言及されている。現在は、スタッフのほとんどが長期間本作の開発チームに在籍している状態だという。同氏は、スタッフたちが別の開発現場で新たなテクノロジーに接し、モチベーションや成長の機会を得ることが望ましいと考えているそうだ。そのためにも開発チームのサイズ感をもう一回り小さくし、引き続き運営を継続できるようにチームをリサイズするという。

今後はバージョンアップの内容もかなりコンパクトになるものの、中長期の運営に耐える環境を整備していくとのことだ。なお2023年に計画されているバージョンアップ内容としては、アンバスケードの更新、プライムウェポンの強化、マスタートライアルが提供予定だという。

なお藤戸氏はトップの交代による、本作の未来についてのユーザーの不安はぬぐい切れないだろうとしている。気になることなどは公式フォーラムに寄せてほしいとのこと。後日配信される公式生放送「もぎたてヴァナ・ディール」にて、本作の今後などを可能な範囲で話す予定だそうだ。


今年の5月16日には、21周年を迎える『ファイナルファンタジーXI』。そのうちおよそ半分となる約10年間プロデューサーを務めた松井氏が退任し、ディレクターである藤戸氏がプロデューサーを兼任することになった。新たな開発体制のもと、今後も本作のサービスは継続されていくことだろう。



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