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Perfect World Gamesは『NTE: Neverness to Everness』(以下、NTE)をPC/PS5/iOS/Android向けに配信中だ。本作は、基本プレイ無料の超自然都市オープンワールドRPGである。プレイヤーは骨董品屋エイボンに所属する“異象ハンター”として、大都市「ヘテロシティ」を巡り、街に潜む異象を収容・解決していく。

リリース前の先行プレイから始まり、ヘテロシティの気になるポイントを取り上げてきた本連載。今回は第10回であり、第9回はこちら。これまでは先行プレイでの体験を中心に街並み、戦闘、NPCなど、これまでさまざまな角度からこの街を見てきた。回を重ねるほどに感じてきたのは、本作が単に広い都市を舞台にしたRPGを作ろうとしているのではなく、その都市にあらゆる種類の遊びを詰め込もうとしているゲームだということだ。

そして今回、先日配信されたばかりのVer.1.2「九百九十九夜」に触れてみて、その印象はさらに強くなった。

Ver.1.2では、新たなストーリーやキャラクター、コンテンツが多数追加されている。平行移動やジャンプによって移動の選択肢が大きく広がる新バイク「Draco」や、風景だけでなくゲームシステムごとガラリと変化するTRPG風コンテンツ「九百九十九夜」。前回のアップデートである1.1からわずか1か月でのリリースながら、少なくとも今回触れた範囲だけでも、本作の“増築力”のようなものが十分に伝わってきた。

『NTE』は、完成された箱庭に少しずつ飾りを足していくゲームというより、ヘテロシティという大きなおもちゃ箱に、生活も移動も戦闘も、ルールさえも変えてしまうような遊びを際限なく放り込んでいくゲームなのかもしれない。「Draco」と「九百九十九夜」は、その姿勢を象徴するような存在だった。連載の最終回となる今回は、Ver.1.2で追加されたふたつの新要素を軸に、あらゆるものを飲み込む本作の拡張性について掘り下げる。


険しい地形を“攻略対象”に変える新バイク

まず触れておきたいのが、新たなバイクである「Draco」だ。

Dracoは、全長の長いSF的な見た目からしてかなり目を引く。某ダークヒーロー映画に登場する特徴的なバイクを思わせるような迫力のあるデザインだ。しかもただ見た目がそれっぽいだけではない。タイヤが軸ごと回転し、横方向に動くことができるのだ。

もちろん通常のバイクと同じく、ハンドリングやハンドブレーキを使ったドリフトも可能。そこにタイヤの横回転を組み合わせることで、かなり無茶な角度で旋回できる。正直なところ、曲がりすぎて制御が難しい場面もある。しかし、それも含めて楽しい。多少扱いづらくても、見た目がかっこよく、動きが派手で、乗っているだけで気分が上がる。乗り物としての快適さ以上に、“これを動かしている”という満足感が強いバイクである。

そんなDracoの一番大きな特徴は、ジャンプだろう。走行中にブーストのようなものを噴射することで、Dracoはふわりと浮き上がる。これにより、通常の車やバイクでは通れないルートを強引に進めるようになる。ちょっとした段差や障害物を越えるだけでなく、街そのものの見え方が変わってくるのだ。

たとえば、ウィッシュ坂の丘から柵を越えてジャンプし、そのまま真下の線路に着地することができる。さらに向かってくる電車に対してもジャンプで飛び越え、そのまま走り続ける。普通に考えれば線路を行くのは効率が悪く、いたずら心で侵入しても電車に轢かれて戻されてしまうような場所だ。しかしDracoに乗っていると、「ここ、飛べば行けるのでは?」と思える。そして実際に飛べてしまう。

筆者のお気に入りジャンプスポットは、クリアビューのキャンプ地にある崖だ。テントをすり抜けて助走をつけ、眼下の幹線道路へ向かって飛び出すと、空中の見えない道を走るような気持ちよさがある。道路を走る、角を曲がる、目的地へ向かう。そうした普通の移動とは違い、Dracoは街の立体的な地形を“攻略対象”に変えてしまう。

これまでも『NTE』の街は、ただ目的地へ向かうための背景ではなかった。歩いているだけで気になる店や看板があり、妙なNPCがいて、よじ登れば屋上にも寄り道したくなる余白があった。そこにDracoが加わることで、今度は坂、柵、線路、崖といった障害や地形そのものが遊び道具になっていく。

Dracoは性能面でもかなり便利だ。通常の車やバイクは、ぶつかるたびに耐久値が削れていく。しかしDracoには耐久値が存在しない。つまりどれだけ無茶な運転をしても壊れない。さらに、通常のバイクでは高速で車に追突すると投げ出され、ダメージを受けることがあるが、Dracoではかなりの事故を起こしても投げ出されにくい。

最高速度も高く、他のバイクと同じく道路が遠い場所でも隣に呼び出せる。地上移動の利便性という意味では、現時点でトップクラスに頼もしい乗り物だ。ジャンプや回転を駆使して、事故を気にせずどこまでも突っ込めるというのは、街並みをリアル寄りに作り込んできた本作ではある意味ではかなり豪快な調整といえる。だが、その豪快さこそがDracoの独自性を際立たせている。

ちなみにDracoからはジャンプ中にも飛び降りることが可能だ。空中でDracoから身を投げ出し落下攻撃でスタイリッシュに着地、そのまま戦闘を始めるなんていうこともできる。ほかにもジャンプ中にハンドブレーキを使って車体を回転させ、横向きのままタイヤを回転させながら着地すると、慣性で横方向に滑るような動きができることもある。崖際で前タイヤを引っかけながら横回転で移動するといった、かなりアクロバティックな挙動も試せる。これらは実用性というより、かっこつけるためだけの動きかもしれない。しかし、こういうことができるだけで嬉しい。『NTE』には、効率とは別のところにある「やってみたくなる動き」が多い。

Dracoは新キャラクターであるドラゴン娘・真紅との相性も良い(関連記事)。真紅でDracoに乗ると、主人公に戻ることなく真紅のまま搭乗できる。さらに、コスチューム「竜狩り」を着た状態で乗ると、バイクの後方に光線のようなエフェクトが伸びる。タイヤを回転させれば、その光線も一緒に回転し、見た目の派手さがさらに増す。

Dracoは地上移動の利便性に優れ、真紅は高速壁走りによって縦方向の移動性能が高い。両者を組み合わせると、探索や移動の速度感がかなり上がる。街を走り、壁を駆け、崖から飛び出す。これまでもカオスのワープやレクイエムの変身・飛行能力等で利便性を増してきたヘテロシティの移動だが、Dracoと真紅の登場によってまた一段と速く、派手になっている。


思った以上にRPGしている「九百九十九夜」

一方で、Ver.1.2のもうひとつの大きな要素である「九百九十九夜」は、Dracoとはまったく別の方向から『NTE』の遊びを増築している。

九百九十九夜は、ボードゲームの世界に入り込むという設定のコンテンツだ。ゲームプレイの感触は王道のアクションRPG。プレイヤーはファンタジー世界で村やダンジョンを探索し、敵と戦い、レベルを上げ、装備を更新していく。

九百九十九夜の入口となるのは、PVに映ったわずかな情報でユーザーが特定したことでも話題になったミントの家だ(関連記事)。部屋自体は普通の生活空間だが、その中から急にファンタジー世界への冒険が始まる。中ではのどかな村や高低差のあるダンジョン、壮大な景色が広がっており、ヘテロシティの都会感とは真逆。その落差が第一印象を強くしている。

各ステージの火山や雪山といったロケーションは単体で見れば、ファンタジーRPGではよくあるものかもしれない。だが、『NTE』の中で見ると印象が変わる。ザ・都会といった趣のヘテロシティを歩いたあとに、同じキャラクターでマグマの流れる火山へ行く。雪に覆われた遺跡を探索した足で、また都市へ戻ってくる。その行き来によって、それぞれの味わいが深くなるような感覚がある。

戦闘の流れそのものは本編とほぼ同じだが、成長システムはかなり異なる。レベルは素材を消費して上げるのではなく、敵を倒して経験値を得ることで上昇していく。装備も敵から直接ドロップし、武器や複数部位に分かれた防具を組み替えてステータスを上げられる。

一部の装備にはセット効果があり、サブステータスにはランダム性もある。レア装備の性能が鑑定時のダイスによって変動する要素もあり、ほんのりハクスラ的な味わいがある。強い装備が出るかもしれない、もう少し良い組み合わせがあるかもしれない。そうした報酬への期待が、戦闘と探索のテンポを支えている。

ヘテロシティでの戦闘は、街に点在する数体の敵を倒して終わるものや、強大なボスと戦うものが多い。一方、九百九十九夜では、移動を繰り返しながら大量の敵を倒していく場面が多い。しっかり装備を整えていれば、そこまで手こずる場面は多くない。むしろ、次々と現れる敵をなぎ倒していく一騎当千感が心地よい。いわゆる無双系のゲームに近い爽快感があり、本編とは違う形で戦闘に浸れるコンテンツになっている。

その一方で、フィールド上にはシンボルエンカウント形式で対峙する強敵もいる。たとえば雪山に近い場所にいる、動く甲冑の群れは、序盤では高めのレベル35に設定されている。最初のダンジョンをクリアして油断していた筆者は甲冑に挑み、そのままあっさり倒されてしまった。その後はいったん諦めてレベルを上げ、装備を整えてから改めて挑むと、今度は無事に討伐完了。RPGではおなじみの「大負けした相手に育成して勝つ」体験も、九百九十九夜の中にはきちんと用意されている。

こうした部分が、単なるミニゲームやおまけコンテンツとは違うところだ。九百九十九夜は、見た目だけファンタジーになったステージではない。経験値、装備品、鑑定、強敵への再挑戦といった要素によって、遊びのサイクル自体がRPGとして組み直されている。Dracoがヘテロシティの地形を遊び場に変える存在だとすれば、九百九十九夜はヘテロシティの中に別ジャンルの遊びを丸ごと追加するような存在である。


終わらない“スクラップ&ビルド”

Ver.1.2は新要素の数が多いぶん、磨き込みの余地を感じる場面もある。だが、それ以上に印象に残ったのは、「そこまで詰め込むか」と思わせる勢いだった。

ヘテロシティは、異象と渡り合う舞台であり、車やバイクで駆け抜けるコースであり、のんびりと景色を眺める観光地でもある。そこにDracoが加われば、街はスタントを試す場所にもなる。九百九十九夜が加われば、街はファンタジーRPGへの入口にもなる。Ver.12では他にも、3匹の子羊を召喚して戦う「イロヒ」といった新キャラが実装されるほか、日本式の「リーチ麻雀」の追加、釣った魚を自宅や車に飾れる釣りの新機能など、街でのアクティビティも進化している。

見た目だけ違う新しい乗り物を追加するだけなら、まだわかる。雰囲気の異なる新しいステージやキャラクターを追加するのも、ライブサービス型のゲームとしては自然だ。しかし『NTE』は、必ずと言っていいほどそこに新しいシステムを入れてくる。それも、生活が息づく大規模なオープンワールドでだ。良い意味で噛み合っておらず、ヘテロシティを大きな土台として、ハイペースで別種の遊びを臆さず足していく姿勢がある。それは、単にコンテンツ量を増やしているというより、『NTE』というゲームの可能性を模索し続けているようにも見える。

こうして振り返ると、本作の目指す先が少し見えてきた気がする。本作はひとつの完成された遊びを磨き込むタイプのゲームというより、ヘテロシティという巨大なおもちゃ箱に、次々と新しい遊び道具を入れていくゲームなのだろう。それぞれがマンネリ化を防ぐ間に合わせの新要素ではなく、コンテンツとして存在感を発揮している。実際にプレイしていると圧倒されるほど、その姿勢はかなり野心的だ。ここまで数百時間本作をプレイしてきたが、正直言って今回のアップデート内容は予想だにしなかったし、次に何が実装されるかも筆者には予測がつかない。街を作り込むだけで終わらず、その街の中で何ができるのかを増やし続けていく。無茶なジャンプを決め、ファンタジー世界を冒険していると、『NTE』がまだまだ自分の形を広げようとしていることが伝わってくる。この街はここからどうなっていくのか。本作の今後のアップデートに、大きな期待とともに先がまったく読めない恐ろしさすら感じている。

ヘテロシティは、ただ広いだけの街ではない。現実の大都市がいつでもどこかで大規模な工事を行っているように、あらゆる方向に枝葉を伸ばし、遊びを後からいくらでも“増築”していく場所だ。『NTE』のVer.1.2は、そのことを改めて感じさせるアップデートだった。

NTE: Neverness to Everness』はPC/PS5/iOS/Android向けに配信中。Dracoが手に入るブラインドボックス「ネオンが裂ける時」は8月19日6時59分まで、真紅がピックアップされる限定ボード「夜明けの刻」は7月29日6時59分まで開催中だ。

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