『ダークソウル3』をUnreal Engine 5で表現したユーザー現る。ライティングや液体表現に次世代感

 
Image Credit: Jonx0r on YouTube

フロム・ソフトウェアのアクションRPG『DARK SOULS III (ダークソウル3)』を、Unreal Engine 5(以下、UE5)にて“再構築”したユーザーがあらわれた。

オリジナル版『ダークソウル3』


『ダークソウル3』は、フロム・ソフトウェアが手がけ2016年にリリースしたアクションRPGだ。『ダークソウル』シリーズの最新作として、PCおよびPlayStation 4/Xbox One向けにリリース。2020年には同作の累計販売本数が1000万本を突破したことが報告されている(関連記事)。また、発売から約7年が経ついまも、Steamでの本作同時接続プレイヤー数はピーク時7000人前後で推移。根強い人気を誇るヒット作品である。

そんな『ダークソウル3』を、UE5にて構築し直した者が登場した。開発者のJonx0r氏は2月8日、自身のYouTubeチャンネルにて本作をUE5にて再現したとする動画を投稿。次世代機向けグレードアップのような表現力向上を感じさせる映像となっている。

動画では、本作冒頭エリアである「灰の墓所」からボス「灰の審判者、グンダ」と遭遇する場所を経て、「火継ぎの祭祀場」までがUE5内で再現されている。まず、比較的はっきりと違いがわかるのがライティングや液体表現だ。灰の墓所に差し込む光は強く繊細に照り返し、グンダとの戦闘エリアの水たまりは足を踏み入れたところからしっかりと波紋を広げていく。

また、祭祀場内のろうそくは、明かりの色味が黄色がかった暖色からやや冷たい白になり、だいぶ印象が変わっている。「UE5再現版」では、全体的にオリジナル版よりコントラストがはっきりと出つつも、よりライティングが複雑に回り込んでいる印象だ。また、テクスチャも少し精細さを増しているように見える。元の『ダークソウル3』自体の表現が優れていることもあり大きな変化は感じないものの、「このグラフィックでも遊んでみたい」と思うファンもいるであろう仕上がりだ。

*オリジナル版『ダークソウル3』の火継ぎの祭祀場(トレイラーより)

*UE5再現版『ダークソウル3』の火継ぎの祭祀場(動画より)
Image Credit: Jonx0r on YouTube


この『ダークソウル3』のUE5再現版は、同エンジンの練習として作られたという。制作したJonx0r氏はRedditにおけるユーザーとの会話のなかで、再現版の開発過程についてコメント。テクスチャおよびアニメーション含む3Dモデルやマップなどについては、オリジナル版から借用しているとしている。一方で、マップ上のキャラ移動システムやライティングなどといった要素については、同氏が1から構築しているという。ファンメイドとなるためもちろんオリジナル版のソースコードなどは利用できず、推察にもとづき挙動を再現しているそうだ。

たとえば、ライティングについてはUE5からのグローバル光源システムであるLumenを利用し、テクスチャはTopaz LabsのAI利用ソフトGigapixel AIで高解像度化しているという。ライティングの印象の変化や、テクスチャの精細さはこうした実装が由来なのだろう。なお、Jonx0r氏は今回の『ダークソウル3』UE5再現版については、「純粋に学習のために制作した」としており、プレイアブルなかたちで公開しないようだ。一方で、同氏はまだ再現版のブラッシュアップを続ける気のようで、「オリジナル版にあってほしかった要素を追加していく」としている。

ちなみにJonx0r氏は、『The Elder Scrolls V: Skyrim』向け人気Mod「Wyrmstooth」などを手がけたMod制作者でもある。同ModはNexus Modsにて、本稿執筆時点で38万に迫るユニークDL数を誇っている。内容としても、同作の世界にまるごとひとつ島を追加。購入して住居として運用できる城や、新クエストライン・新アイテムなどのコンテンツを多数実装する意欲的Modとなっている。同氏による技術的探究は、今後もそうした開発に還元されていくかもしれない。