苦境のParadox Interactive、未発表の複数の新作を開発中止に。有望なプロジェクトにリソースを集中

 

スウェーデンに拠点を置くパブリッシャー/デベロッパーのParadox Interactiveは現地時間9月30日、未発表の複数の新作について開発を中止する決定を下したと、投資家向けに発表した。これにより、同社の2021年度第3四半期の税引前利益には、1億3500万スウェーデンクローナ(約17億円)相当のマイナスの影響が生じるとのこと。

Paradox Interactiveは、ストラテジーゲームやシミュレーションゲームを多数手がけていることで知られるメーカーだ。代表作としては、『Hearts of Iron』や『Crusader Kings』『Stellaris』などがあり、また『Cities: Skylines』や『Surviving Mars』など他社タイトルの販売も担当している。

『Empire of Sin』


最近の同社というと、『Empire of Sin』が思うような評価を得られず、『Europa Universalis 4』の拡張パック「Leviathan」に至っては、Steamのユーザーレビューにて「圧倒的に不評」を受けゲームディレクターが謝罪。また、『Vampire: The Masquerade – Bloodlines 2』は発売延期を重ねている。そうした影響を受けてか、同社の2021年度第2四半期は前年同期と比べて、収益にして13%、税引前利益では44%減少していた。今回発表された複数タイトルの開発中止は、こうした苦境を背景に決定されたものかもしれない。

なお、今年9月にはCEOのEbba Ljungerud氏が突然辞職。同時期にスウェーデンメディアのBreakitは、Paradox Interactive内に性差別文化があると報道していたが、新CEOであるFredrik Wester氏は、この報道とLjungerud氏辞職の関連を否定している(GamesIndustry.biz)。Paradox Interactiveからの発表では、今後の戦略についてLjungerud氏との意見の相違があったことが辞職の理由だとされていた。Wester氏は 、これを受けて同社取締役会により指名され就任している。


今回開発中止となったのは発表前のタイトルであるため、どういった作品がキャンセルされたのかは不明だ。同社は、リスクとリターンを評価し、有望なプロジェクトにリソースを集中させた結果であると説明。また、同社がもっとも得意とするストラテジー・シミュレーションゲームに注力する旨も述べている。

発表のなかでは、現在15タイトルが開発中であることも明らかにされた。そのうちのいくつかは新規タイトルで、残りは既存シリーズの続編になるという。すでに発表済みのものとしては、『Vampire: the Masquerade – Bloodlines 2』や『Victoria 3』、また『Crusader Kings 3』や『Shadowrun Trilogy』のコンソール版がある。このほか、『Crusader King 3』のDLC「Royal Court」など、拡張コンテンツも複数開発中とのことだ。

なお、Paradox Interactiveの新作のひとつとしては、サバイバルシミュレーションゲーム『Surviving the Aftermath(サバイビング・ジ・アフターマス -滅亡惑星-)』が現在早期アクセス配信中。本作は、セガからPS4/Nintendo Switch版が、2022年初頭に国内発売される予定となっている。