「“新作ゲームの早すぎる発表”をやめて」との声に、ゲーム開発者も注目。待たせちゃうけど、早めに発表したい複雑な事情

まだ開発の初期段階にあるにも関わらずゲームを発表し、その後は何年も音沙汰なしになってしまう業界の慣習に、ユーザーは疑問を投げかけている。

海外掲示板Redditのあるユーザーによる、ゲームの発表時期が早すぎるのが嫌いだとする投稿が注目の的となっている。反応として、発表から長く待たされることを懸念する声も聞かれる一方、開発者にとって理由があるとする声も聞かれ、大きな反響を呼んでいるようだ。

今回話題となっているのは、RedditユーザーEveningS氏の「I hate it when games are announced way too early(ゲームの発表が早すぎるのがマジで嫌い)」という4月25日の投稿である。投稿の本文では、まだ開発の初期段階にあるにも関わらずゲームを発表し、その後は何年も音沙汰なしになってしまう業界の慣習に疑問を投げかけている。ゲームについて幅広い投稿が寄せられる「r/gaming」サブレディットに投稿されたもので、本稿執筆時点で約1万1000票のUpvote(いいねに相当)を獲得している。投稿されたのが閲覧者が非常に多いサブレディットであることを差し引いても、非常に多くの共感が寄せられているようだ。

EveningS氏の投稿では具体的なタイトルとして『Star Wars: Knights of the Old Republic』のリメイク版と、『Star Wars Eclipse』の2作品の名前が挙げられている。どちらも2021年に発表され注目を集めたものの、今日までリリースはされていない。前者には幾度も開発元が変更され、開発が中止されたかと思えば再開されるなど、開発状況が不安視されてきた側面もある(IGN)。後者についても開発は継続中とされるものの、これといった続報のない状況が続いている。EveningS氏の投稿は、長らく待つ必要のないように発売が近づいてから発表してほしいという思いが表れたものかもしれない。

こうした内容に対し多くのユーザーが反応。もっとも多いコメントは、同じく発表から長らく待たされているという別のゲームの名前を挙げているものだ。2018年に発表されトレイラーが出てから7年以上が経過した『The Elder Scrolls VI』、2022年に発表された『キングダム ハーツIV』など、それぞれのシリーズが好きで楽しみにしているからこそ苦しんでいる声が聞かれる。また、発表されたものの開発中止となってしまった作品を挙げる声もある。

『Star Wars Eclipse』

そんな中、ゲーム業界関係者であるとするユーザーのコメントにも注目が集まっている。ゲームの発表時期があまりにも早いように思われても、それにはちゃんとした理由があるとして説明したものだ。ゲームを発表することで、開発者が秘密保持契約(NDA)のため口外できなくても経歴書に書けるほか、発表した作品は簡単に中止にできないので開発者の安心材料になるといった点でメリットがあるという。そのほか、「投資家の注目を集めて開発資金の確保につながる」「ユーザーからの反応を確認できる」「雇用の際に人材を集めることにもつながる」といった効果があると述べている。このコメントへの返信として、実際に『Star Wars: Knights of the Old Republic』のリメイク版に関わっているとするユーザーも反応。説明を「100%正しい」として、トレイラーは開発に携わるスタッフを応募する採用目的だったことを明かしている。

こうした議論はたびたび発生しており、過去にもゲーム開発者から「発表だけ早すぎる」新作ゲームについて理由が説明されたことがあった(関連記事)。その際にも採用や投資、ユーザーからの反応の確認といった理由が挙げられており、他にも「リーク対策」につながるとも説明されていた。開発中の作品について断片的な情報が漏れた場合にネガティブな印象を持たれるくらいなら、きちんと発表しておいたほうが良いというわけだ。

また、過去には小島秀夫氏も『DEATH STRANDING』を初めて発表した際のインタビューにて、ユーザーからの賛同を得られたとしてその後の開発への思いを強くしたことや、公開したティザートレイラーを見て、求人への応募者やその家族に安心してもらえる可能性について語っていた(Gamer)。さらに同氏は、TBSのポッドキャスト番組に出演した際に、早めにトレイラーを公開することで、守秘義務がある中でもスタッフが家族や友達に対して何の仕事をしているのか話せるようにする狙いがあるとも語っている。Redditのコメントで説明された点とも一部共通しており、業界では早めのゲーム発表をおこなうことも戦略として珍しくはないのだろう。

『Fallout 4』

ところで、EveningS氏の投稿についたコメントの1つとして特に注目を集めているのは、発表からリリースまでがわずか1か月ほどだった『Fallout 4』を称賛するものである。ユーザー目線としては、発表から熱が冷めきらないうちにすぐ遊べたほうが嬉しいのはもちろんだが、こうしたサプライズは揺るがぬ基盤や人気への確信がなければ実行するのが難しい選択でもある。また近年では『Hades II』や『The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered』など、発売ギリギリまで情報が明かされない、いわゆる“シャドウドロップ”がおこなわれる例が見られる。ユーザーにとっては大きなサプライスとなる一方で、業界では他作品の発売日被りによる影響も懸念される状況にある(関連記事1関連記事2)。早く発表したいメーカーと、発表されてすぐに遊びたいユーザーの間には、これからも簡単には埋まらない溝が横たわり続けるのかもしれない。

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Naoto Morooka
Naoto Morooka

1000時間まではチュートリアルと言われるようなゲームが大好物。言語学や神話も好きで、ゲームに独自の言語や神話が出てくると小躍りします。

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