『Destiny 2』新シーズン「永夜のシーズン」批判殺到で波乱の幕開け。「#nerfstasis(ステイシス弱体化しろ)」がTwitterトレンド入り

 

Bungieは5月12日、無料オンラインFPS『Destiny 2』の新シーズン「永夜のシーズン」を開始した。新たなシーズン開幕に伴い、新アクティビティやステイシス特性の追加、コミュニティ待望の要素「アーマー合成」などが実装された。しかしながら、コミュニティの反応は芳しくないようで、追加要素の調整に対する批判の声があがっている。

アーマー合成は、実装前からコミュニティの期待を集めていた外見変更システムだ。このシステムは、専用アイテム「シンセウィーブ」を用いることで、ゲーム内に存在するほとんどの防具のスキン化を可能にする。Bungieは以前に公式ブログにて、シンセウィーブの入手数に制限を課し、また同アイテムのマイクロトランザクション(小額課金)での販売をする旨を発表していた。その際には「金儲けの為に、あえて入手量を制限しているのではないか」とコミュニティの反発と懸念を呼んでいた(関連記事)。


どうやら、シンセウィーブは、懸念されていた以上に厳しいかたちで実装されてしまったようだ。というのも、プレイヤーの検証によって、シンセウィーブの獲得に長いプレイ時間が必要となることが発覚したのだ。事前に批判されていたのは「1シーズンあたり1クラス10個」というシンセウィーブの入手数制限だった(有償購入分を除く数量制限)。しかし、プレイスタイルによってはその上限にさえ届かない可能性が出てきたわけだ。


新たなアイテム収集制限が発覚

シンセウィーブを1個作るためには、元となるアイテム「シンセストランド」が150個必要となる。プレイヤーの検証によって明らかになったのは、このシンセストランドが「敵をどれだけ倒そうと2分に1回しかドロップしない」ということだ。つまり、1個のシンセウィーブを入手するためには、単純計算で最低でも5時間かかるということになる。『Destiny 2』では1アカウントあたり3クラスを運用できるため、全クラスで上限に到達するには、最短でも150時間はゲーム内で戦闘しなければならない計算だ。

また、シンセストランドをシンセウィーブに変換するためには、難易度がまちまちのランダムな課題をこなす必要がある。シンセウィーブ収集と並行できるものの、現実的に考えればさらに時間はかかるだろう。『Destiny 2』における1シーズンは約100日間続くため、約150時間のアイテム収集は実現不可能ではないようにも思える。しかしながら、ここまで入手困難にされてしまっては、プレイヤーによってはストレスがたまる。そこまでプレイ時間を割けないプレイヤーもいるはずだ。

事前に批判が寄せられていた入手数制限や、小額課金販売も変更なくそのまま実装されている。つまり、課金をすればすぐ手に入るのだ。ただでさえ不信感が募っていたところに、入手困難のストレスがかかり、コミュニティは紛糾。海外掲示板Redditの『Destiny 2』コミュニティ/r/DestinyTheGameには調整に不満を唱える投稿が多数寄せられている。同作内の小額課金ストア「エバーバース」のロゴと、紙幣を掴む手を組み合わせて「アーマー合成は金儲けのためのシステムだ」と皮肉るミーム画像も投稿されている。

Image Credit: /u/Superdude1437


しかし、「永夜のシーズン」の追加要素で批判を集めているのはアーマー合成だけではない。アーマー合成と同様かそれ以上の反発を集めているのが、新しい「ステイシス特性」だ。

継続して批判に晒される“強クラス”、ステイシス

大型DLC「光の超越」で追加されたサブクラス「ステイシス」は、実装当初から批判の的となっている。その理由は、同クラスの特徴となる「敵の動きを止める」という能力だ。PvEにおいては単なる有用な能力ですむが、PvPにおいてはこの特徴が非常に強力になってしまう。1回の撃ち合いが長くても2秒以内には決着がつく『Destiny 2』のPvPにおいて、数秒間動きを止められる能力はゲームバランスを大きく揺るがすものだ。

Bungie側も、強すぎるとの批判をうけてステイシスクラスの段階的な弱体化をおこなってきた。しかしながら、記事執筆現在でも、PvPアクティビティにおいてステイシスクラス使用者が目立つ状況は続いている。そのため、コミュニティからは弱体化を望む声が継続してあがり続けていた。


今シーズンではそのステイシスクラスに、新しいステイシス特性が追加された。これはクラスの能力をカスタムできる要素だ。ステイシス特性を装備することで、プレイヤーは「スキル使用時に周囲の敵の動きを鈍化させる」「グレネードを自動砲台化する」などといった能力をクラスに加えることができる。

前述したように、ステイシスクラスの弱体化は多くのプレイヤーから望まれており、実際にBungieによって弱体化の手が加えられてきた。しかしながら、今回追加されたステイシス特性「冬の気配」は、その流れに反するものだった。特にPvPにおいては同クラスの強化に繋がる性能を持っているのだ。

冬の気配はハンタークラス用のステイシス特性だ。機能としては、3種類あるグレネードの性能を強化するものになっている。なかでも問題視されているのは「コールドスナップグレネード」の強化だ。このグレネードは、地面を走る冷気で敵を凍結させるというもの。冬の気配を装備することで、冷気が長く持続し、追加の標的を凍結させられる。


もともと強力だったこのグレネードだが、この強化でさらに使い勝手が増してしまった。なお、冬の気配はほかの2種のグレネードも強化する。それらも性質は異なるが、PvPにおいて強力な効果を持つ。「永夜のシーズン」開始後、筆者も同作のPvPアクティビティに参加しているが、マッチングによっては“グレネード凍結祭り”と形容したくなるような試合もあった。

ただでさえコミュニティから弱体化が求められていたステイシス。今回の要素追加で結果的に強化されてしまったことによりコミュニティの不満が爆発した。Twitterでは「#nerfstasis(ステイシス弱体化しろ)」タグをつけた投稿が殺到し、海外のみならず日本国内でも一時Twitterトレンド入りした。


記事執筆現在においても、同ハッシュタグにはステイシスクラスの弱体化を求める意見が投稿され続けている。意見を眺めてみると、どうやら批判を受けているのは追加されたステイシス特性に限らないようだ。ステイシスクラスそのものが強すぎるという意見が根強い。強力なステイシス特性の追加によって、もともと膨らんでいた、ステイシスクラスに対するコミュニティの不満が爆発した格好とも見受けられる。

批判的な投稿の中には、追加された新武器「クリオセシア77K」を批判するものも見られる。これは「ステイシス属性」の武器だ。これらには、ステイシスクラスの能力と同じく、敵を凍結させる効果がある。ストリーマーのAztecross氏は同武器を用いて戦う動画をTwitterに投稿。身動きの取れない敵を続々と倒す様子が映し出されている。なお、同投稿には「こんな自分が嫌だよ」というコメントが添えられている。ステイシスによる凍結が多くのプレイヤーから嫌われていることを踏まえての一言だろう。


『Destiny 2』コミュニティにとって、強い関心と懸念の対象だった、アーマー合成とステイシス。今回はそのどちらも、多くのプレイヤーの不興を買うかたちで実装されたアップデートとなってしまったようだ。同作開発元Bungieが、今後のアップデートにコミュニティの声を取り入れていくかどうか、注目したい。