『System Shock』フルリメイク版のファイナルデモ配信開始。約1億4000万円の資金を集めつつ開発休止を経験した苦難のプロジェクト

 

Nightdive Studiosは2月26日、『System Shock』のデモ版を配信開始した。対応プラットフォームはPC(Steam/Epic Gamesストア/GOG)で、リリース時期は2021年夏を予定している。現在は予約購入を受け付けており、価格は4750円。またPlayStation 4/Xbox One向けの発売も検討されており、PC版と近い時期に発売されるという(Gematsu)。今回のデモが発売前の最終バージョンであり、完成に向け多くの要素が新たにお披露目されているようだ。 
 

 
本作は、1994年にリリースされた『System Shock』シリーズの第1作目をフルリメイクした一人称視点アクションゲームだ。主人公は、研究施設CitadelStationにて6か月間の昏睡状態から目を覚ます。そこはミュータントが闊歩し、他の乗組員たちが捕食される地獄絵図となっていた。さらにステーションを司る人工知能SHODANは、マイニングレーザーを地球に向けて発射しようと目論んでいる。プレイヤーは人類の運命を担い、決死の戦いとハッキングに挑む。 

本作のプロジェクトはもともと2015年より進行していた。2016年にはKickstarterでのクラウドファンディングに成功。2016年にKickstarterキャンペーンを実施。初期目標金額を格段に上回る約135万ドル(約1億4400万円)を集め、大きな期待を背負ったリメイクとして注目を集めていた。しかしあまりに巨額の資金を手に入れたため、開発は肥大化。徐々にコンセプトが拡大していく中で、当初もっていたコア思想から乖離してしまう事態が発生した。軸を失ったプロジェクトは方向性を見失い、制作も難航。2018年には全体を大きく見直すとして、一旦開発を休止する事態に追い込まれた(関連記事)。ただしプロジェクトが頓挫することはなく、その後も精力的に最新情報を発信。2019年12月にはアルファデモを配信開始し、じわじわと完成に向けて動いてきた。 

今回のファイナルデモでは、新たなレベルや敵が追加されている。さらなるオーディオログや近接地雷といったトラップも実装されており、完成により近づいたプレイ体験を味わうことができる。セーブ機能の拡充や難易度も3段階から選択できるようになるなど、ユーザビリティも向上しているようだ。また今回のバージョンより、DLSSに対応。パフォーマンス向上と高画質化を同時に達成できるようになった。RTXカードのドライバーをアップデートすることで、その恩恵にあずかれるようになる。 
 

 

 
『System Shock』はPC(Steam/Epic Gamesストア/GOG)向けに2021年夏の発売を予定している。予約購入者には将来的に、『System Shock 2: Enhanced Edition』が無料で提供されるという。こちらもNightdive Studiosによる開発がアナウンスされており、オリジナル版『System Shock』シリーズ第2作を再構築した作品となる。ちなみにNightdive Studiosの許諾のもと、別スタジオのOtherSide Entertainmentにて『System Shock 3』が開発中。こちらもパブリッシャー探しや開発難航に報じられ発売が危ぶまれていたが、昨年開発にテンセントが関与することになったと発表。新たな資本提供元を手に入れ制作が進められていると目されている。シリーズの原点と最新作、双方を遊べる日を楽しみにしたい。