ロボットアームの娘が砂漠を突き進む3Dアクション『To the Core』Steamにて無料配信開始。オランダの学生60人が自動生成技術を用いて制作

 

四足歩行・二足歩行ロボットたちが住まうアラビアン風の自動生成砂漠を突き進む、三人称視点の3Dアクションゲーム『To the Core』がSteamにて無料配信中だ。本作はオランダの応用科学大学NHTV Breda University of Applied Sciencesの生徒たちが手がけたUnreal Engine 4製の学生プロジェクト。

『To the Core』では、トゥーンレンダリングによる3Dグラフィック、モーションキャプチャー、ボイスオーバー、3DCGソフトウェアHoudiniを使ったプロシージャルマップ生成など、細かく役割分担された総勢60人以上の学生が制作に携わっている。こうした学生プロジェクト・卒業制作では小規模のチームに分かれて開発されることが多いが、本作は中規模タイトル級のチームを作り上げ、進捗管理するところまで含めての訓練であるように思える。

学生プロジェクトにつき『To the Core』の開発チームは既に解散済み。今後ゲームがアップデートされていくわけではない。

主人公エミリーの父親は、聡明ながらどこかおっちょこちょいな発明家。機械をいじくりまわしては別次元へとつながるゴミ箱に捨てる日々を送っていた。別次元へと破棄されたロボットたちはスクラップを材料に自分たちの住処を建設し始め、ある日創造主である発明家を拉致する。プレイヤーは発明家の娘エミリーを操作し、父親を救出すべく砂漠地帯に建てられたロボットの住処に突入する。

エミリーはロボットアームを使った強烈なパンチでロボットを破壊し、ジェットパックを使った高速ダッシュ・空中ダッシュ・二段ジャンプを駆使してレーザートラップや溶岩地帯を避けて先へ先へと進む。道中ではタワーを登ったり、アリーナ状のエリアで大量の敵をせん滅したりすることで扉をアンロック。ジャンプやダッシュ機能のパワーアップアイテムにより性能を強化しクリアを目指す。ゴールに到着する前にライフがゼロになればゲームオーバー。最初からやり直しとなる。

操作方法はシンプルにまとめられており、ジャンプとダッシュは滑らか。ジャンプ中にパンチボタンを押すことで真下に急降下して攻撃したり、強攻撃により敵を遠くまで吹き飛ばしたりと戦い方や攻略の仕方は複数に用意されている。ただしパンチアクションに関しては機械の塊を殴っている感触があまりなく、課題を残している。通常モードの目標は、毎回ステージ構成・敵の配置が異なるステージを最短時間で攻略して、オンライン・リーダーボードでタイムを競うこと。ステージの長さは、時間を気にせずじっくりやると10~15分ほどである。ほかにもマップのシード値を直接入力してお気に入りのマップ構成で遊べるカスタムモード、他プレイヤーと同じシード値(=同じマップ)でタイムを競うウィークリーチャレンジと、リプレイ性も考えてつくられている。

自動生成技術を使った学生プロジェクトとしては、弊誌で扱ったものでは商用展開されたフライトアクション『Superflight』が存在する(関連記事)。今回の『To the Core』でもクレジットロールにて「Houdini Team」が組まれていることが確認できるように、自動生成技術を使うことは前提としてあったのだろう。近年、Houdiniはポストエフェクトや物理演算だけでなく、プロシージャルモデリング・地形生成ツールとしても注目されている。大規模なオープンワールドゲームを筆頭に、ゲーム開発の効率化のために自動生成技術が必要とされるケースは多い。本作ではモーションキャプチャーチームも組まれているように、ハイエンドな学生プロジェクトというのは、ゲーム業界のトレンド、企業に求められる技術・ツール知識を反映する作品として参考にできるのではないだろうか。