ボイスチャット推奨のサバイバルシミュレーション『SOS』早期アクセス販売開始。話術で仲間を引き寄せ、大胆に裏切る

 

Outpost Gamesは1月24日、『SOS』のSteam早期アクセス販売を開始した。本作はリアリティ番組という設定の中で繰り広げられる、一人称視点のサバイバルシミュレーションゲーム。古代遺跡の秘宝が眠るLa Cuna島に降り立った16人のプレイヤーが、遺跡を守るモンスターの大群を倒しつつ、ときに協力し、ときに敵対しながら目当ての宝を探り当てる。制限時間は30分。秘宝を確保したあとはフレアガンで救助要請を出し、脱出用ヘリコプターに乗り込む。ただし搭乗できるのは3人まで。協力しあった仲間を蹴散らし、アドベンチャー活劇からの生還を果たすのだ。

『SOS』はYouTubeやTwitchの動画配信者にプレイされることを前提とした作品であり、焦点が置かれているのは、ゲームの内容ではなく演者=プレイヤーである。ストアページの説明文でも「最も強力な武器はあなたの声」「あなたの性格を使って協力関係を結ぶ」「視聴者を楽しませる」など、開発陣が想定するプレイスタンスが前面に出されている。

マッチ開始前のロビー画面では、ひとりずつ自己紹介の時間が与えられる。好印象を残すためにも、ボイスチャットの使用は欠かせない。マッチ開始後は島の浜辺から別々にスタートし、武器やアイテムを拾いながら、トロピカルな島の中央に眠る秘宝を目指して歩み始める。その道程は他のプレイヤーと接触するようなつくりになっており、ここでもマイクを使ったコミュニケーションが不可欠となる。物資は限られており、遭遇するモンスターの大群をひとりで処理するのは困難。またマッチ後半で敵対グループの餌食にならないためにも、誰かしらと同盟を組むことが好ましい。

プレイヤー同士のインタラクションに依存している本作は、巧みな話術を駆使した掛け合いを楽しむという、共通認識があって初めて成立する。誰もボイスチャットを使わなければ、プレイヤーの声と同時に、作品の特徴が綺麗に消えてしまう。諸刃の剣とも言えるコンセプトであり、求められている「楽しみ方」や「ノリ」を理解し、演者としてロールプレイする人々が集まることで、ようやく本領を発揮するのだ。

となると、重要になってくるのは宣伝の仕方である。ボイスチャットの使用が大前提であることを理解してもらえなければ、開発陣の意図は成立しない。その点、これまでに公開されたトレイラーやプレイ動画は、いずれもプレイヤーの会話や触れ合いにフォーカスしたものとなっている。たわいもないやりとりから生まれる笑いや、ちょっとした言い争いから発展する仲間割れこそが本作の醍醐味なのだと、コンセプトを伝えることに徹底していた。

プロモーションではスヌープ・ドッグを採用

また発売当日にはプロモーションの一環として、ヒップホップアーティストのスヌープ・ドッグ(Snoop Dogg)が本作のTwitch配信を行ったことで注目を浴びた。音楽シーンを越えた愛されキャラとして親しまれている彼は、かつてXbox Liveのサービスがダウンした際に「サーバをなんとかしないと、PlayStationに鞍替えするぞ」という怒りのメッセージをInstagramに投稿したこともあり(VentureBeat)、ひとりのゲーマーとしても知られている。

そんなウェストコーストの王者がマリファナらしき葉っぱを吸い、煙をくゆらせ(ときには咳き込みながら)、約1時間にわたるレイバックしたプレイ映像を流した。なお配信中には「俺もプレイしてみたいな」という発言があり、両手を離した状態でもプレイが続くシーンが見られることから、本人が操作していたわけではないのだろう。あくまでもプロモーションだ。

いずれにせよ、葉っぱを吸いながら「やあベイビー、マッシュルームを試してごらん?」「おい、マッシュルームはどこだ」「キャロル、やっちまえ!……おっと、こんなところにマッシュルームが」など、(ゲーム内アイテムの)キノコに異様な執着を見せる愉快なスポンサー動画が、いろんな意味で出来上がった。そのインパクトは絶大で、1時間の配信で8万人もの視聴者を集めることに成功した。なおTwitchのガイドラインにより動画内での違法行為はNGとされているが、現時点でアカウントはバンされていない。年始より米国カリフォルニア州にて嗜好用大麻の合法販売が解禁されたこともあり、違法行為ではないと判断されたのかもしれない(スヌープ・ドッグ宅および開発元Outpost Gamesの拠点はカリフォルニア州)。

煙が充満し、リラックスした様子のスヌープ・ドッグ。Image Credit: Twitch

プロモーション動画ではなく、一般のプレイヤーが遊んでも同じような掛け合いが楽しめるのかどうかはまだ未知数。今後の行方はコミュニティ次第となるだろう。なお早期アクセス版はソロもしくはデュオモードに対応しており、マップ1種類、キャラクター12体が実装済み。Outpost GamesのHero.tvを通じてTwitch配信を視聴することで、賞賛や不満票を送り配信者のパフォーマンスを評価することが可能である(評価はマッチの戦績として反映される)。

『SOS』の対応プラットフォームはWindowsで、早期アクセス期間は約1年を予定。明確なロードマップはなく、ユーザからの反応や意見を踏まえて新機能やコンテンツを追加していくという。通常版に値する「SOS Ultimate Founder’s Pack」は3090円、限定スキンとエモートを同梱した「SOS Supremely Ultimate Founder’s Pack」は6290円、さらに実質4000円のアルティメットTシャツスキンを追加した「SOS Ultimate Ultimate Founder’s Pack」は10300円で販売中だ。