かわいらしさを徹底的に追求したケモノっ娘アドベンチャー『ジラフとアンニカ』開発中。UE4で描かれる優しい世界が広がる


発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第513回目は『ジラフとアンニカ』を、開発者である紙パレット氏にうかがって話をまじえて紹介する。

『ジラフとアンニカ』は短編型の3Dアドベンチャーゲームだ。総プレイ時間は2~3時間と短めで、プレイし終わったあとに良質な短編映画を見たような感覚を抱けるように開発されているという。主人公となるのは猫耳と尻尾が生えたケモノ娘アンニカ。記憶を無くしたアンニカは、未知が眠るスピカ島を探索しながら記憶を取り戻していく。

ゲームは大きく分けて、フィールドを探索するアドベンチャー要素とボス戦ともいえるリズムゲーム要素によって構成されている。ダンジョンらしき場所を探索することもあるが戦闘はない。ゲーム自体はシンプルなものとなっており、育成といった要素はなく、どちらかといえばウォーキングシミュレーターに近いという。「かわいらしさ」に特化させたアドベンチャーゲームとして作られている印象だ。

『ジラフとアンニカ』はUnreal Engine 4を用いて制作されており、粘土のようなかわいらしいキャラクターが光る。主人公だけでなく、サブキャラクターなどの造形にもこだわりが込められている。TOMZUIN H氏の音楽によって彩られる世界も温かさにあふれており、美しい旋律と優しい木漏れ日がアンニカたちを包む。テキストもおとぎ話のような穏やかさがある。ただアンニカの家にいるだけで、たちまち優しい気持ちになれるはずだ。紙パレット氏も、とにかく作品の雰囲気作りに尽力していると語っており、ゲーム部分が極力シンプルである面も含め、ある意味では潔く割り切って作られているといえるだろう。

リズム要素は紙パレット氏自身がリズムゲームを愛するがあまり導入したとのこと。飛んでくる球の方向にスティックを入力するだけなので、こちらもシステム自体はシンプルだ。ゲーム中に唐突に始まるので困惑する部分があるものの、リッチなビジュアルによって描かれる細かい演出を見つつリズムにノるのは、なかなかどうして悪くない。このように力を入れるポイントを絞り、特化させているという点で非常にインディーゲームらしい作品になりそうだ。

『ジラフとアンニカ』は2018年末の発売が予定されている。対応プラットフォームはPC(Steam含む)で、リリース後にはPlayStation 4およびニンテンドースイッチでも発売したいと氏は語っている。ちなみに同作は、Unreal Engineを使いゲームを開発中の優秀なデベロッパーに対し資金を提供するUnreal Dev Grantsにも輝いており、前評判も高い。もう少し時間を要するようであるが、発売の時を待ちわびたい。