『流星のロックマン』はいかにして現代の環境で遊べる姿に変身できたのか―移植実現の裏側と「RE ENGINE」採用の経緯とメリット、そして禁断の“あの”質問までカプコン開発チームに訊いた

『流星のロックマン』リマスターが、どのようにして特殊なプラットフォーム向けに作られたゲームを現代の環境で再現したのかといったを訊いた。

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カプコンが2026年3月27日に発売した『流星のロックマン パーフェクトコレクション』。2006年から2008年にかけ、任天堂の携帯ゲーム機ニンテンドーDS向けに展開された『流星のロックマン』のナンバリングシリーズ3作(全7バージョン)を1本にまとめたコレクションだ。対応プラットフォームはPC(Steam)/Nintendo Switch/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One。現在SteamNintendo Switchを含めたストアページで25%セールを実施中だ。

ニンテンドーDSの2画面、タッチスクリーンを活用した要素を現代の環境に忠実に再現しつつ、遊びやすさの向上を図る新機能から収録3作品でのオンライン対戦機能を備えた本作は、オリジナル版当時のプレイヤーを中心に高く評価され、特にSteamのユーザーレビューは本稿執筆時点でレビュー数600件のうち96%が好評の「圧倒的に好評」ステータスを獲得している。

オリジナルの『流星のロックマン』は、ゲームボーイアドバンス向けに展開された『ロックマンエグゼ』の系譜に連なるブラザーアクションRPGだ。バトルシステムは『ロックマンエグゼ』のカードゲームとアクションを融合させたものを継承しつつ、移動範囲の縮小とそれを補う新アクションを導入し、よりスピーディで、適切なチャンスを突く楽しさと気持ちよさを実現。シリーズを通して改良も重ねられていき、最終作『流星のロックマン3』では「ノイズチェンジ」を筆頭とする多くの独自要素を採用したことで、『ロックマンエグゼ』とは異なる深い戦略性と遊び応えを持つシステムへと昇華された。

ストーリーも孤独を抱えた不登校児の少年が、粗暴で好戦的な性格の宇宙人との出会いを機に「ロックマン」となり、ヒーローとして精神的に成長していく様子を丁寧に描いており、年齢を重ねたプレイヤーの心にも響きやすい。登場キャラクターもとりわけ2人のヒロイン「響ミソラ」と「白金ルナ」は、それぞれ異なる魅力と見せ場がバランスよく設けられていることもあって印象に残りやすい。そのことはオリジナル版の発売から20年が経とうとしている現代においても、派閥に分かれた熱い議論が続いていることが実証している。

そんなオリジナル版『流星のロックマン』は、ニンテンドーDS特有の2画面、タッチスクリーンを活かしたゲームでもある。そのため、現代の環境で再現するのは既に復刻済みの『ロックマンエグゼ』に限らず、『ロックマン』『ロックマンX』『ロックマンゼロ』といったほかのシリーズ作品よりも困難が伴うことが予測された。同じくニンテンドーDS向けに発売された『ロックマンゼクス』は復刻済みだが、『流星のロックマン』とはそれ以上に2画面、タッチスクリーンを使っている。くわえてオンラインの対戦機能もあるのだ。

最終的に本作はオリジナル版とは異なる環境での再現を見事に成し遂げた。その実現の裏にはどういった苦労があったのか。また、本作はカプコン内製のゲームエンジン「RE ENGINE」が採用されたタイトルだが、このゲームエンジンが復刻タイトルの開発ではどんな恩恵をもたらすのかも気になるところだ。

弊誌ではこのたび、開発チームへのメールインタビューを実施。どのようにして特殊なプラットフォーム向けに作られたゲームを現代の環境で再現したのかといった技術面、設計面でのバックヤードから、豊富な新機能が実現した経緯などを聞いた。

最後には『流星のロックマン』のファンにとっては禁断とも言える質問にもご回答いただいている。どんな回答をされたのかについては、これ以降の内容を見てのお楽しみである。回答者は以下の4名になる。

『流星のロックマン パーフェクトコレクション』プロデューサー兼『ロックマン』シリーズプロデューサー
和泉 真吾氏

『流星のロックマン パーフェクトコレクション』ディレクター
小田 晃嗣氏

『流星のロックマン パーフェクトコレクション』リードプログラマー
楠本 直輝氏

『流星のロックマン パーフェクトコレクション』アートディレクター
山本 祐介氏

──本作はオリジナルのニンテンドーDS版を当時、遊ばれていた方々を中心に好意的な評価が寄せられており、特にSteamのレビューは「ロックマン」シリーズ全体としても初めての「圧倒的に好評」を得ております。率直な感想をお聞きできればと思います。

小田晃嗣氏(以下、小田氏):
当時のプレイヤーの立場から見て、行きすぎた改変とも受け取られかねない仕様を多数盛り込んだことから、好評と不評が激しく入り混じる評価を下されることになるだろうと、覚悟しての開発でした。それだけに現在のポジティブな反響は大変嬉しく、スタッフ一同、報われる思いで受け止めています。

和泉真吾氏(以下、和泉氏):
オリジナルのニンテンドーDS版を遊んでいただいたユーザーの皆さまの満足度が高く、今でも熱心に応援してくださるファンが多いシリーズですので、一定の評価はいただけるだろうと期待していましたが、「圧倒的に好評」をいただけていることは大変ありがたいです。

また、6/15のアップデートパッチで対応した「決定/キャンセルのボタン設定の変更」は、厳しい評価をいただいた方の多くがコメントされていた要素でしたので、そういったご意見も大変感謝しております。

──なぜ今、『流星のロックマン』のリマスターに踏み切られたのでしょうか。オリジナル版は上下のディスプレイを活用した表現にタッチスクリーンを用いた操作など、ニンテンドーDSならではのゲームデザインになっていたことから、リマスターは特に大変なタイトルだったのではないかと思っております。背景には『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』や、そのほかのニンテンドーDS作品のリマスターのセールス面での成功も関係しているのでしょうか。

和泉氏:
後押しになったのは『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』を大変多くの方々にプレイいただけたことです。皆さまから「流星のロックマンシリーズもぜひプレイしたい!」といったご要望がたくさん寄せられたことで、今回のリマスターが実現しました。

また『流星のロックマン』シリーズが描いている人と人の心の繋がり、「キズナ」をメインテーマにしたストーリーは、時代を越えて普遍的に感動してもらえる内容でしたので、オリジナル版を体験したことのない方々にも楽しんでプレイしてもらえるだろうと考えたこともリマスター実現の理由のひとつですね。

──本作では開発にカプコン内製エンジンの「RE ENGINE」が用いられています。「ロックマン」シリーズはこれまでに初代(無印)、X、ゼロ、ゼクス、そしてエグゼといった作品が現代の環境向けに復刻されてきましたが、いずれもRE ENGINEではない別のエンジンを用いて作られたものでした。今回、RE ENGINEが採用されたのはどういった経緯からだったのでしょうか。

小田氏:
認知度が高く、販売面でも好調だった「ロックマンX」シリーズ、「ロックマンエグゼ」シリーズとは異なり、「流星のロックマン」シリーズのオリジナル版は芳しくない状況のまま幕を閉じています。

そのため、本作の開発においては、通り一遍の移植を行うだけではオリジナル版が秘めていた面白さは10%も伝えられず、大胆な設計変更を加える必要がある。それでいて、限られたコストと期間内で効率よく、マルチプラットフォーム展開前提の設計で……という非常に重い課題を抱えていました。

幸いスタッフは社内の一流メンバーを集められまして、「彼ら・彼女たちが効率よく、環境サポートなどのレスポンスもスムーズに受けながら難題を解決できるエンジンは何になるか?」と考えた結果、RE ENGINEの採用一択となりました。

──『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』は、『鬼武者』1作目のHDリマスター版を手がけられたNeoBards Entertainmentとカプコンさんの共同開発でした。本作はゲーム内のスタッフクレジットを見る限りでは、カプコンの内部チーム主体で開発が進められたようですが、リマスター作品は社内メインで開発するという方針転換があったのでしょうか。狙いをお伺いしたいです。

和泉氏:
移植・リマスタータイトルを外部に委託するか、社内で開発するかについての明確な方針が存在しているわけではありません。基本的には社内外の開発スタッフの状況やスケジュールなどを総合的に検討し、タイトルごとにベストな開発体制を決定しております。

──再び「RE ENGINE」の話題になるのですが、同エンジンはRE ENGINE」は『バイオハザード』シリーズのほか、『ストリートファイター6』『ドラゴンズドグマ 2』といったフォトリアルな3Dグラフィックを特徴とするゲームの制作に用いられるゲームエンジンというイメージがあります。実際には『カプコンアーケードスタジアム』に『ゴースト トリック』、『逆転裁判456 王泥喜セレクション』といった復刻タイトルの開発でも「RE ENGINE」は活用されています。そもそも「RE ENGINE」を復刻タイトルで用いることによって生まれる制作面でのメリット、強みとしてはどんなものがあるのでしょうか。

楠本直輝氏(以下、楠木氏):
復刻タイトルの展開については、IPブランドの認知拡大も大きな目的のひとつで、当時プレイしていない世代の方々に向けても展開していくことが求められます。そのため、必然的にプレイできるプラットフォームの間口の多さが必要になってくるんです。

『Capcom Arcade 2nd Stadium:ロックマン ザ・パワーバトル』より

「RE ENGINE」はフォトリアルな3Dグラフィックの表現力に優れたエンジンですが、それと同時にプラットフォーム展開を容易にできる仕組みが整っております。プラットフォームの対応コストは多くの場面で高くなるのですが、「RE ENGINE」がそのコストを吸収してくれるため、低コストで高いクオリティを維持しながら様々な展開が可能となるんです。そのため、復刻タイトルにおいても非常にメリットの多いエンジンとなっています。

──本作はオリジナル版のプログラムソースをそのまま用い、現代の環境に適した改良を施すというプロセスで開発が進められたのでしょうか?元々、オリジナル版ではどのようなプログラム言語を用いて設計されていたのですか。

楠本氏:
ニンテンドーDS版『流星のロックマン』シリーズのオリジナルコードはC++、ツール類はC言語と複数の言語を用いて実装されていました。メモリ管理の難しさはありますが、非常に高速に動作する関係からC++言語が採用されています。

ただ『流星のロックマン3』に関しては「ロックマンエグゼ」シリーズの思想を基盤に置きつつ、ナンバリング展開を実現させるために専用フレームワークを設計した上での実装となっています。今回の移植でも、このフレームワークをそのまま移植しまして、当時の処理を忠実に再現しました。

ほかに移植においてはC#コードに落とし込むツールを用いたり、時にはC#の言語仕様では同様の処理にならない場合、コードを置き換えながらプログラム部分を移植しています。

2D、3Dのリソースは「RE ENGINE」のフォーマットに沿うよう、ニンテンドーDSのリソースフォーマットを解析、コンバーターツールを作成しコンバートして適用されています。これらのアプローチによって絵、処理機構がなるべく原作と同じになるように動作させることができ、原作ファンが当時の手触り感のままお楽しみいただける開発コンセプトを守りながら、次世代機に落とし込むことができました。

──処理に関してはオリジナル版では主に戦闘画面への切り替えにおいて、若干のロード時間が生じていましたが、本作ではその辺りが大幅に短縮されていました。これも「RE ENGINE」の恩恵、もしくは移植に当たっての最適化のこだわりがあったのでしょうか。

楠本氏:
「RE ENGINE」の恩恵ももちろんあるのですが、次世代機のアーキテクチャに合わせるため、必然的にロード周りは手を入れる必要がありました。

そのため原作のソースコードを解析し、思い切ってロードポイントを独自に作って設計し直しています。タイトルごとの起動、セーブロード後、エリア移動後に必要なデータを細分化してロードすることで最適化を実現させ、ユーザー体験をより良いものにすることを目指しました。この辺りはさまざまなタイトルの開発を経て、最適化されたロード機構の上に実装されているため、大幅な短縮が実現しています。

──設計面での質問になりますが、既にニンテンドーDSの特性を前提に設計されたゲームを現代の環境へ移植する実例はカプコンさんですと『ゴースト トリック』『逆転裁判4』『逆転検事1&2』、そして『ロックマンゼクス』シリーズといったタイトルが出ています。『流星のロックマン』もニンテンドーDSを積極的に活かしたタイトルで、1画面の環境で再現するにあたっては苦労があったと思われます。実際にどのような過程を経て、1画面の環境での再現をかたちにしたのでしょうか。やはり1から設計を見直すことが求められたのでしょうか。

小田氏:
オリジナル版はDSならではの機能を意欲的に採用するための試行錯誤が繰り返され、それらが様々なシーンで形を変えた遊びとして実装されています。それゆえ、これらのうちの一つだけをシステマティックに作り直すだけでも駄目で、お察しの通りほぼ全ての機能・遊びを1から作り直す必要がありました。

また、面白さのコアがタッチ操作や2画面の視点の移り変わりといった、人間の持つアナログな感覚に依存したものであったために仕組み自体を完成させた後でも、手触りや反応速度など全シーンにおいて、スタッフが実際に自分の目と手の感覚を駆使しながら、個別に最適化する調整を重ねて完成に導いています。

──たとえば『流星のロックマン』の1作目ですと、タッチペンの操作以外を一切受け付けないミニゲーム的なイベントがダンジョンマップを中心に用意されています。本作ではこれらの操作をボタン操作で実行可能にしたり、特定のイベントにおいては画面のレイアウトを圧縮させるという手法を用いていました。これらも事実上、1から作り直したのでしょうか。

小田氏:
はい。一見した印象はオリジナル版と同様ですが、構造的にはほぼ通り直しに近い工程を経ています。

まず、オリジナル版に沿うかたちで該当するミニゲームイベントの再現を行います。ですがテストプレイを行うと、たいていのシーンにおいて「遊びづらい」「見づらい」「どこに注目すべきか迷う」「テンポがそがれる」などなど、問題が連鎖して顕在化します。これらの問題は事前に予期していた以上に発生しまして、特に大きなモニター画面では、DSの画面で見ていた時以上に顕著な差となって現れました。

その都度、スタッフ間で「どのようにすればスムーズに分かりやすく、それでいて快適に遊べるか?」を念頭においた検討がなされ、いくつかのサンプルパターンが作られます。アレンジが一発で決まる場合もありますが、今回は画面レイアウト変更も可能な作りとした関係上、どのように変えてもフィットするよう調整に調整を重ねまして、現在のものになりました。

──再設計の面で気になったのは『流星のロックマン3』です。この作品は前2作とは異なり、画面構成は下がサブ画面、上がメイン画面と逆転しています。さらに電脳世界のマップへのアクセス(サイバーイン)をする時には下画面に専用のポップアップが表示されるなど、タッチスクリーンの活用法自体も前2作とは異なるものになっています。前2作とは根底となるプログラムも異なることから、再設計の面では別の苦労があったのではと推測しているのですが、実際はどうだったのでしょうか。

小田氏:
まさしくお察しの通り、オリジナル版の時点から『流星のロックマン3』だけは中身が前2作と全く異なる設計となっていたため、本作においても同様に様々な仕様に対する見直しが必要となりました。

最も厳しかったのは『流星のロックマン1』から『流星のロックマン2』の開発過程を経て築き上げた”このように調整すれば現代感覚でも遊びやすくできる”というセオリーが使えず、『流星のロックマン3』だけに特化して検討し直さねばならない要素や対応するための作業時間が増加した点です。

例で挙げられているポップアップ表示ひとつを取っても、何種類かは敢えて決まった位置に出さない仕様になっているケースもあるんですね。それを順送り操作のカーソル選択に置き換えた場合でも、プレイヤーが意図した感覚になるよう配慮して再設計しました。

──グラフィックに関してですが、オリジナル版はローポリゴンの3Dモデルが躍動的に動き回る戦闘シーンが魅力のひとつになっています。本作では3Dモデルがすべて高解像度化されたものになっていますが、これらは『ロックマンX アニバーサリーコレクション2』収録の『ロックマンX7』と『ロックマンX8』と同様、元の3Dモデルをそのまま用いて高解像度化したのでしょうか。あるいは、1から描き直す形で表現されたのでしょうか。

山本祐介氏(以下、山本氏):
ポリゴンモデルについては、できるだけ当時のデータのままでの実装を目指しました。原作ではスペック的な制限があってローポリゴンにまとめられていたモデルでしたが、解像度に対応するため、例えばハープ・ノートの頭部の白いパーツの接合部や、ペガサス・マジックの翼などでは輪郭線描画に対応するため立体化しています。

輪郭線についてはガスや炎などには表示せず、物質系に可能な限り設定しました。一部、ルール通りでないものもあるかもしれませんが……。

また、開発中期にスケジュール面でゆとりがありまして、その時に『流星のロックマン2』のロックマン系モデルのブラッシュアップができました。全てのモデルをブラッシュアップできなかったのは残念でしたが、当時のデザインやキャラの印象の再現に努めました。

ちなみに原作モデルのロックマンの靴裏はグレーとなっていますが、オリジナル版のデザイナーである石原(雄二氏)から「水色にしたい」との要望があって反映しております。デザイナー公認のオフィシャルカラーです!

──本作は3作すべてでオンライン対戦が可能となっております。オリジナル版は『流星のロックマン2』から対戦も含め、オンラインプレイが楽しめるようになりましたが、ニンテンドーDS時代と現代の環境では通信規格に大きな違いがあるなど、移植するのにはなんらかの課題があったのではと推測しています。実際に再現においてはどんな課題があり、それらをどのように解決していったのでしょうか。

楠本氏:
実のところ、原作におけるWi-fi機構の部分は現在のネットワーク処理機構に置き換えることで比較的簡単に落とし込むことはできました。バトル部分の処理が切り離されて実装されていたんです。

また、本作では『ストリートファイター6』で用いられている入力同期システムを採用しています。その保守実績もありまして、オンライン対戦の実現における課題となる部分にはほとんど当たることはありませんでした。

──リマスターにおける時系列上の前作である『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』では、オリジナル当時に脅威を振るった戦術(プリズムコンボ、ABD戦法など)が封印されるなどのアレンジが施されていました。本作では基本的にオリジナルのバランスを忠実に再現しているように見えます。これはどのような意図があるのでしょうか。

小田氏:
オリジナル版でも熱心なプレイヤーたちの手によって対戦における戦法やセオリーが研究され、発売から数年を経てもなお、新たな戦法の誕生やデッキの見直しが発表されるなどの動きがありました。

ただ、『流星のロックマン』にはタカラトミー社とコラボして別売されていた強化カードや連動玩具の有無によってステータスが大きく変動する要素があり、またそれらは限定販売であったり、現代ほど環境整備されていない中で行われた配信専用のものも多く含まれていたため、プレイヤー間には読みづらい潜在的な格差が存在するとも見込んでいました。

本作ではそれらの強化要素を余すところなく復刻し、スタートラインとしては同一線上に並んでもらえる機会であるため、必然的に戦法の見直しも行われる事になります。また、オリジナル版のファンが数年単位で研鑽を重ねても新たな“気付き”があるほどの奥深さがあることから、現状をもって開発サイドから独自の目線で引いた”答え”を提示することはおこがましくもあると考え、敢えてバランス調整は行わないことを方針としました。

ちなみに強化要素に関しては、オリジナル版当時は日本国内のみの展開であった事情から海外のプレイヤーには封印されていましたが、今回は国内版/海外版ともに同条件になるよう制作してあります。リミッターから解き放たれた海外プレイヤーによる、国内プレイヤーの発想だけでは生まれなかった新戦法も期待されますので、これまでに築き上げられた常識さえも変わるかもしれません。

──本作にはアシストのエンカウント調整から移動の高速化を始め、オリジナル版にはなかった新機能が多数実装されています。なかでもマップの全体確認機能と音楽全曲のアレンジ、DLCも含むアバターキャラクター5名の用意と新規ボイスの収録は非常に思い切った試みであったように思いました。これらのほとんどリメイクも同然な実装が実現したのはどういった経緯からだったのでしょうか。

小田氏:
先ほども申したように、オリジナル版は残念ながら販売状況・認知度ともに芳しくないまま終わっています。個人的にはじっくりと向き合ってもらえれば、ゲームプレイ自体は面白く、2026年の今だからこそ共感してもらえる点も多いドラマティックな作品だと考えていました。

ですが、現代に再生するにはプレイアビリティの改善や、ゲームプレイに限られた時間しか割けない現代人のための思い切った追加仕様、そして『流星のロックマン』を見知らぬ人たちには、魅力あるキャラクターが集う商品であることが一目瞭然で伝わる仕掛けが不可欠であるとも考えていました。

既にあるオリジナルの仕組みの上に新たなシステムを組み込む事で発生する複合的な問題の解消や、作り込めば作り込む程に完成度を高める必要に迫られる3Dモデル制作など、使い勝手や質を高め続ける作業はスタッフに相当の負荷を強いる事になりましたが、その甲斐あってかつて同じ内容を遊び込んだプレイヤーが20年後に追体験しても違和感なく、そして新鮮な気持ちでプレイしてもらえるクオリティに仕上げられたかと思います。

BGMについては当初、限られたシーンの曲だけをアレンジする予定でした。しかしながら、コンポーザーのセンス・熱量・力量が素晴らしく、あと1曲、もうあと3曲と制作数を自ら積み上げてくれた結果、「中途半端にアレンジ曲が用意されないシーンが出来るのもおかしいな……?」となり、ついには全曲アレンジという偉業を実現してくれました。

実はアレンジBGMも想定ではDLCとしてリリースする予定だったんです。しかし、是非とも全てのプレイヤーに最初から聴いて欲しいとの思いが強くなり、プロデューサーには無理を聞いてもらって初期実装としました。そのほか、本作でのみ聴けるタイトル画面の他のBGMや初回特典で聞ける専用アレンジ4曲など、新規追加曲は全てが印象的に仕上がっています。ゲームを始める前とエンディングを迎えた後では、また違った味わいを感じるのでぜひ、聞き比べてみてください!

そして新規ボイスですが、現代の感覚でオリジナル版をプレイした際、バトル中が少し寂しく感じたので、「どうにか盛り上がるものにしたい……」という発想が導入のきっかけです。オリジナル版の収録が20年前ということで、演者さんたちが揃ってくれるかな?という不安もありましたが、幸いなことに皆さんが集ってくれたおかげで再収録が行えました。

ただ、実はバトルボイス自体、製品版に実装した物量の何倍も収録していたのです。しかし、オリジナル版の処理再現の都合上、プログラムスタッフが手を尽くしても割り込ませたり、置き換えが難しいタイミングが多々ありまして、違和感なく差し込まれる以外のボイスは残念ながら諦めざるを得ませんでした……。

──最後にひとつ……禁断の質問をさせていただきたく思います。ミソラ派ですか?それともルナ派ですか? また、発売後における2人のヒロインに対するユーザーの反響とそれに対する感想もお聞きできればと思います。

小田氏:
難しさから目を反らし続けた宿題を突き付けられた思いです……!

今回、この質問への答えを出すため、『流星のロックマン』から『流星のロックマン3』の名場面を思い浮かべながら一生懸命考えましたが、気が付けば40分ほど脳内フリーズしてしまっていました。同時に『流星のロックマン3』の“あのシーン”において、ミソラとルナ以外の選択肢が用意されていたことに感謝し、安堵した次第でございます!きっとオリジナル版の制作者にさえ答えを出しづらい、超難問だったのでしょう……!

プレイヤーの皆さまも自分が感じたのと同様に答えを出しあぐねている人、自分自身が年齢を重ねたことで、オリジナル版プレイ時には気付けなかったミソラとルナ、それぞれの魅力を改めて感じ取っている人、ヒロインやスバルのセリフ、時々で移ろう態度や距離感などから煩悶しつつ、考察を深めたりと様々なスタイルで楽しんで下さっている様子を見聞きしています。そんな悩ましい思いを抱えていらっしゃるプレイヤーの皆さんに是非知って欲しいのが、DLC “待ち受けキャラクター「響ミソラ・白金ルナ」パック”です!

本編以上の距離感でダブルヒロインと接する事が出来るようになるので、もしかすると自分の中に何らかの決定打を得る事が出来るかもしれません!?

和泉氏:
オリジナル版の発売当時より、ダブルヒロインをめぐる熱い議論は続いていましたが、本作発売後にもファンコミュニティ等で熱く語っていただいているのを拝見しておりました。ミソラ派とルナ派が拮抗している状況や、地域(日本、欧米、アジア)で傾向が異なっている点など大変興味深いですし、本作発売後に再プレイして意見が変わったとか、キャラの理解度が深まったといったご意見もありがたく読ませていただいています。

プロデューサーの立場としましては、両キャラを我が娘も同然に大切にしておりますので、偏りが出ないようにプロモーションやグッズなど、あらゆる場面で同列に対応するようにしています。ということで、「どちら派」なのかを明確に回答することは、勘弁していただきたく思います。申し訳ありません!

ちなみに ”待ち受けキャラクター「響ミソラ・白金ルナ」パック”については、この種類のDLCとしては非常に高い装着率を記録しております。あらためてダブルヒロインの人気を実感していますね……!

──ありがとうございました。

『流星のロックマン パーフェクトコレクション』はPC(Steam/Capcom Town Store)/Nintendo Switch/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けにダウンロード版が配信中。Nintendo Switch/PS5/PS4向けにはパッケージ版も発売中だ。現在SteamNintendo Switchを含めたストアページで25%セールを実施中。

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シェループ
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2D&3Dアクションと手ごわいストラテジーが大好物の人。積みゲーが一向に減っていかない呪いに悩まされています。

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