『ディアブロ IV』開発者インタビュー。セットアイテムやエンドコンテンツ、新クラスのローグについて【BlizzConline 2021】

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Blizzard Entertainmentが完全オンラインにて開催した2021年のイベント「BlizzConline」にて、ファン待望の『Diablo』シリーズ最新作『Diablo IV(ディアブロ IV)』の新情報が発表された。本稿では、それらの発表に伴って行われた、『Diablo IV』開発チームのリード・デザイナーJoe Shely氏とアート・ディレクターJohn Mueller氏に対する合同オンラインインタビューの内容をまるごとお届けする。

――今回発表された新クラス「ローグ」の詳細について教えていただけますか?

Joe氏:
ローグはとても柔軟なクラスで、その多様性は2つの独特なシステムによって成り立っています。そのうちひとつがImbueシステムで、ローグは武器をCold(冷気)、Poison(毒)、Shadow(影)のいずれかでエンチャントすることができます。たとえば冷気のImbueだと、実際にゲーム内のグラフィックでも武器とそれを持つ手に冷気が宿ります。エンチャントがされた後は、攻撃スキル数回に冷気の効果が追加されます。ローグのBarrageスキルやRain of Arrowスキルに冷気のエンチャントがなされた場合、効果範囲のすべての敵モンスターにChillが付与されます。Imbueはあくまで一時的なものなので、戦闘中に3種類のエンチャントを自由自在に使い分けることができますし、エンチャント無しの素のスキルを撃つことももちろんできます。

John氏:
Rain of Arrowに毒のエンチャントを組み合わせるのが開発チームでは非常に人気でした。ダッシュスキルなどにもエンチャントすることは可能で、非常に幅広い活用ができるシステムとなっています。

Joe氏:
マルチプレイでもローグ同士でエンチャントの役割を分担することなどができますし、たとえばソーサレスクラスと組んだ時なんかも有効です。Chillは一定スタック溜まるとモンスターを凍結させますが、ソーサレスにもChillを付与するスキルがありますので、ローグのImbueと組み合わせることでモンスターをあっという間に氷漬けにすることができるというわけです。また、ローグは常に近接武器と遠隔武器のどちらも装備していて、それぞれに対応したスキルがあります。これらの取捨選択にImbueシステムが組み合わさることで、ローグは非常に多様なプレイスタイルを手に入れることができるのです。

もうひとつのローグのユニークなシステムはSpecializationと呼ばれるものです。ローグには世界中にクラスクエストが用意されていて、これを達成することでSpecializationを獲得することができます。用意されているのは3つで、Combo Points(コンボ)、Shadow Realm(影の領域)、Exploit Weakness(弱点付与)からひとつを選びます。オープニングセレモニーでも流したローグのショーケースビデオではこれらのシステムが実演されています。自分のプレイスタイルに合ったSpecializationを選ぶことができますし、試してみて合わなかった場合は後から自由に変更することもできます。それぞれビジュアルエフェクトも非常に凝っており、ローグというクラスの柔軟さを代表するシステムとなっています。

――トレーラーではローグが耳を集めているシーンがありましたね。あれを見ると『Diablo II』のPvPを思い出すのですが、今回のPvPにも耳を集めるような要素が実装されるのでしょうか?

Joe氏:
ローグだけではなく、すべてのクラスがPvPで耳を集めることができます。『Diablo II』に存在した、倒した相手の名前が入った耳を集めることができるというのはとてもクールなシステムだと思っていて、今回はそれをオマージュしました。

――集めた耳にトロフィー以外の用途は存在しますか?

Joe氏:
耳自体にはトロフィーとして以上の使いみちは特にありません。ただ、PvP独特のシステムは他に用意してあります。PvPでは、”Mephisto, Lord of Hatred”の影響下にあるFields of Hatred(憎悪の平原)と呼ばれるフィールドが存在します。ここではアイテムのドロップテーブルが変化していて、Shards of Hatred(憎悪のかけら)というユニークなカレンシーアイテムがドロップされます。基本的にはモンスターからドロップするものですが、PvPで倒されたプレイヤーも所持中のかけらをすべてドロップし、倒したプレイヤーの戦利品となります。このかけらはモンスターからドロップしたままでは浄化が必要な状態となっています。憎悪の平原にてこのかけらを浄化することができるのですが、その儀式にはそれなりに時間が必要で、その間は欠片の奪取をもくろむ他プレイヤー達から儀式を守り抜く必要があります。見事浄化に成功したかけらは街に持ち帰り、さまざまなPvP関連の戦利品と交換することができます。

――『Diablo IV』はオープンワールドということですが、ストーリークリア後のエンドゲームの進行はどのようになるのでしょうか?

Joe氏:
『Diablo IV』のエンドゲームでは、『Diablo III』で培ったノウハウをベースとして、さらにコンテンツを多様化させることを目指しています。もちろん『Diablo III』のようなダンジョンの攻略は『Diablo IV』でも重要な要素となりますが、『Diablo IV』にはダンジョン以外にも広大なオープンワールドが用意されています。エンドゲームコンテンツにおいてもこれを最大限まで活用しようと我々は考えています。例のひとつとして、ワールドの各地に出現する時限イベントや、一緒に出てくる「ワールドボス」と呼ばれる存在です。『Diablo IV』に用意された広大なワールドは豊富なコンテンツを支えるポテンシャルを秘めていて、我々はそれを最大限に活用したいと思っています。


――『Diablo III』では良くも悪くもビルド=セットアイテムなところがあり、ビルドのアイテムへの依存度が高かったところがありますが、『Diablo IV』ではアイテムがキャラクターを定義しないというコンセプトだと聞いています。具体的にはどのような仕組みになるのでしょうか?セットアイテムはなくなるのでしょうか?

Joe氏:
セットアイテムにはゲームにおいて2つのコンセプト・役割があります。そのうちの一つがおっしゃるようにビルドに貢献する部分で、同じセットのアイテムを複数装備すると強力な追加効果を得ることができます。これは『Diablo III』における強力なキーシステムの一つでしたが、『Diablo IV』ではアイテムだけではなくキャラクター自身もビルドにきちんと寄与する仕組みにしたいと考えています。『Diablo IV』のアイテムシステムではマジックアイテム、レジェンダリーアイテム、ユニークアイテムそれぞれに独立した役割をもたせて、プレイヤーがそれを自由に組み合わせて使えるようにしたいと考えています。たとえばマジックアイテムはプロパティを1つしか持ちませんが、そのプロパティの数値自体はレジェンダリーやユニークよりも高いという特徴があります。レジェンダリーにはレジェンダリー専用のプロパティが付与されますし、ユニークアイテムは『Diablo IV』の世界観に深く関わるロア・アイテムとしての側面も持ちます。そしてセットアイテムのもう一つのコンセプトは、セットアイテムを複数装備することによってキャラクターのビジュアルに統一感が出るということです。

John氏:
装備のビジュアルがちぐはぐにならないようにするというのは『Diablo IV』においても重視している点で、たとえばローグのトレーラーにおいても彼女は初代『Diablo』を彷彿とさせる装備を着用しています。

Joe氏:
なので、ビルドとしてセットアイテムという仕組みが『Diablo IV』に導入されるかどうかは分かりませんが、「ビジュアル的に統一感のある装備セット」がゲームから失われるということはありません。

――以前、「最強ビルドを検索して真似るだけのゲームにはしない」というようなことをおっしゃっていたと思いますが、具体的にはどのようなシステムになるのでしょうか?

Joe氏:
「こういうビルドを作ったからみんな見てくれ」という人や、他の人の作ったビルドをそのままコピーして試してみたいという人は必ずいます。これは至極当然のことで、我々はそれが問題だとはまったく思っていません。ただ、『Diablo IV』のシステムやアイテムを己の力で研究し、自分にとってユニークなプレイスタイル・ビルドを獲得したいと考えているプレイヤーの期待にも、必ず応えたいとも考えています。


これを実現するために、たとえばレジェンダリーアイテムにはレジェンダリー特有のプロパティのプールがあり、このプールの中からどの効果が付与されるかの抽選は装備部位に関係なく行われます。具体的にいうと、Chill効果を増強するレジェンダリープロパティは、足装備にも脚装備にも頭装備にも現れる可能性があるわけです。このChill効果自体もクラス特有のものではなく、前にも言ったようにソーサレスもローグも扱えるデバフなわけですから、アイテム選択は無限に等しい可能性を与えてくれるわけです。ゲームデザインチームはこのように、無数のアイテムがそれぞれ複数の用途を持ち、それを組み合わせてユニークなビルドがたくさん生まれるように『Diablo IV』を設計しています。

――なるほど。発売を楽しみにしております。本日はありがとうございました。

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