Global Sites
Perfect World Gamesは『NTE: Neverness to Everness』(以下、NTE)を配信中だ。本作はPC/PS5/iOS/Android向けに配信中の、基本プレイ無料・超自然都市オープンワールドRPGである。プレイヤーは骨董品屋エイボンに所属する“異象ハンター”として、大都市「ヘテロシティ」を巡り、街に潜む異象を収容・解決していく。
弊誌はPC版『NTE』を先行プレイする機会を得た。本連載では、異象が潜む大都市・ヘテロシティの気になるポイントを全10回にわたって掘り下げていく。今回は第9回であり、第8回はこちら。なお先行プレイのため、一部仕様が製品版とは異なる場合がある点には留意してほしい。
これまで本連載では『NTE』を、街並み、寄り道要素、キャラクターとの交流など、さまざまな角度から眺めてきた。第1回では店先やポストを眺め、第5回では捕まって刑務所に入り、第8回では屋上を巡った。そうして長く遊んでいると、だんだん“見過ごせないもの”が溜まってくる。
というのもこの街、細かい部分にツッコミどころが多いのだ。ヘテロシティは異常が日常の街。裏路地に異象が現れ、街中では不可思議な事件が起き、プレイヤーが少々派手に暴れても、なんだかんだで都市生活は続いていく。そんな街だからこそ、少し目を凝らすとあちこちに「いや、それはどうなんだ」と言いたくなるポイントが転がっている。

街には小ボケなのか真面目にやってるのか、絶妙に判断しづらい作り込みに溢れている。変なNPC、万引きに寛大すぎる店員、無駄なところに付いているジッパー。ひとつひとつは小さな違和感でも、眺めているうちにヘテロシティという街の癖の強さが見え、愛着すら湧いてくる。そこで今回は、筆者がヘテロシティで気になった細かいところに、片っ端からツッコんでいきたい。
ヘテロシティのNPC、濃すぎる
まず気になるのが、街で出会うNPCたちだ。『NTE』にはメインストーリーやサイドクエスト以外にも、街の片隅で発生する小さな逸話クエストがある。そこで出会う人々が、なかなかに濃い。ちなみに逸話クエストは、魔女の家で占いをすることで1日1回ランダムに場所を確認できる。場所がわかっていれば、直接赴くことも可能だ。
たとえば絵空町、異象「音ゲー魔王」近くの路地では、車がひっくり返って立ち往生している男性がいる。見るからに大事故である。しかし彼は、プレイヤーに荷物を代わりに届けてほしいと頼んでくる。心配すべき優先順位がおかしい。荷物の心配をする前に警察とかロードサービスとかに連絡してほしい。

しかもこの男性、これで終わらない。その後も近辺でバイクが公園の木に突っ込んでいたり、なぜか自転車が木の上に引っかかっていたりする。自転車に関してはどう事故ればそうなるのか、過程がまるでわからない。最終的には、乗ろうとしていたクルーズ船まで沈没事故を起こし、彼はしばらく家から出ないことを決意する。異象が登場するわけでもなく、彼の乗り方に問題があるのか、彼自身が特別運が悪いのか判断がつかない。
というか、ここまで連続で事故に遭っておきながら、毎回ピンピンしているのもすごい。ヘテロシティは異象の街だが、彼の周囲だけ別ジャンルの怪異が起きている気がする。

ユニークなのは事故続きの男性だけではない。湖の近くには、足腰を鍛えているからと徒競走を挑んでくるおじいさんもいる。なぜ急に走らせるのか。なぜその自信を持てるのか。こちらとしては断る理由もないので付き合うのだが、おじいさんなのに異常なほど速い……といった裏切りは、ない。事前にゴールを教えてくれないというちょっとしたズルをしているにもかかわらず、少しダッシュすると勝ててしまう。勝ったところで報酬があるわけでもない。おじいさんの足腰が年の割には強いという事実だけが、もやっと心に残る。

ほかにも、広告を剥がしてほしくて困っているオネエ口調のおじいさんや、スマホに嫌悪感を示した後でこっそりスマホを買いに並ぶおじいさんがいたりする。こうして並べると、ヘテロシティには「街のユニークおじいさん」が複数実装されていることになる。異象でも大事件でもない。ただ少し変な人がいて、少し変な頼みごとをしてくる。しかも、助けても報酬は無いか、小銭程度だったりする。

そのためわざわざ助けなくてもいいし、もっと言えば変なNPCや逸話クエスト自体を知らずにプレイしている人もいるかもしれない。だが、遊べば遊ぶほどこういった細部が気になってくる。大都市には、名前も知らないがやけに印象に残る人がいる。毎日同じ場所にいる人、謎のこだわりを持っている人、話しかけたら想像以上に濃い事情を抱えている人。ヘテロシティの逸話クエストは、そうした「街にいる変な人」の存在感を、妙な生々しさで再現しているようにも見える。
主要キャラも、街ではかなり奇妙に過ごしている
変なのは名前のないNPCだけではない。マップ上に表示されない遭遇イベントでは、主要キャラクターたちのゆるい日常も垣間見える。物語や戦闘の中では頼もしく見えるキャラたちも、街中で見かけるとかなり自由だ。
たとえばミントは、ペットショップの前でペット用のトリートメントを眺めていることがある。どうやら、しっぽの手入れ方法を学んでいるらしい。たしかにミントには耳やしっぽがある。あるのだが、ペット用品から学ぶのは正解なのか。本人はかなり真剣そうなので余計にツッコミづらい。

「こうやって塗るのが正解なんだ……」と言いながらペット用ケアを見つめる姿は、かわいらしい一方で、自認が動物寄りすぎて少し心配になる。天然なのは知っていた。しかしここまでくると、その純粋な瞳が少し怖い。ちなみにミントに話しかけ、ペット用であることを指摘すると、ペットも人間も大して変わらないから大丈夫と豪快に笑う。人と動物の間で揺れる複雑な心模様を想像して少し切なくなった時間を返してほしい。

そして、バージョン1.1でプレイアブル化したレクイエムである。彼女は無気力な性格で、街のいろいろなところで眠っている。異象管理局のソファやキャンプ場のような、くつろげそうな場所ならまだわかる。問題は、寝る場所をあまり選んでいないことだ。歩行者天国のど真ん中、見晴らしのいい丘の上、ヒナタ島の車の上。どこでも寝る。寝相が豪胆すぎるし、あまりにも無防備である。家に帰れているのか、そもそも家はあるのか。強力な新キャラクターとして登場しているはずなのに、街で見かけるたびにまず防犯意識が心配になる。

もちろん、こうした遭遇イベントは大きな物語を動かすものではない。だが、戦闘やストーリーの外でキャラクターが勝手に生活しているように見えるのは楽しい。潯は値切り交渉をしているし、白蔵はビーチでエゴサしている。ハソールはエンジンオイルの値上がりを嘆く。プレイヤーが見ていないところでも、この人たちはヘテロシティでそれぞれの日常を送っている。そう思えるだけで、キャラクターの存在感は少し変わってくる。

異常への耐性が高すぎる市民
街の人々の反応にも、ツッコミどころは多い。特に気になるのが、プレイヤーの奇行に対する耐性の高さだ。
たとえば、車の上に乗ると、運転手たちはさまざまな反応を返してくる。「うわっ、なんか車の上に乗ってきたんだけど!?」という、まったくもって正しい驚き方をする人もいる。一方で、「降りないと振り落とすぞ!」と強気に返してくる人もいれば、「なんで私の車の上に立ってんの?」と妙に冷静な人もいる。
ヘテロシティでは異象が現れ、街中で騒動が起こり、あちこちで人に襲い掛かってくる。そのため、市民たちも多少の異常には慣れてしまっているのかもしれない。とはいえ、車のボンネットの上に人が立っている状況は、普通に考えればかなり怖い。乗った側が言うことではないが、もっと慎重に対応した方が良いと思う。

店員たちの反応もかなりおかしい。店では、タイミングを見計らって商品を万引きすることができる。万引きを成功させるには、店員が見ていない隙に選択肢を選ぶ必要があるのだが、その中には「商品をぎゅっと握りつぶす」というものがある。しかもこれは店員に見つかっても何のお咎めもない。なぜ盗む前に商品価値を下げるのか。なぜ怒られないのか。

さらに盗むところを見つかっても、商品の代金を払えば許される。許されるどころか、通常の客と同じように「ありがとうございました」と送り出される。現行犯のはずなのにレジ対応が丁寧すぎる。
筆者はこれまで何度か見つかったが、代金を支払ったため逮捕には至っていない。逆に、もし支払うお金すら持っていなかった場合はどうなるのか、考えると少し恐ろしい。ただ、ヘテロシティではそれなりの罪を犯しても、刑務所にはせいぜい1週間収監される程度で済む(関連記事)。そう考えるとこの街では、犯罪も「ちょっとヤンチャした」くらいの感覚なのかもしれない。

異象が日常に入り込んだ街では、市民の危機感も独特になるのだろう。車の上に人が乗っても、商品を握りつぶしても、まずは普通に対応し、場合によってはいつも通りの生活や営業を続ける。ヘテロシティの人々は、強い。強いというか、慣れすぎている。
ジッパー、流行りすぎ問題
NPCや市民の反応だけでなく、キャラクターの衣装にもツッコミどころはある。特に気になるのが、ジッパーだ。
『NTE』では異象管理局や銀行に所属し、制服の着用が義務付けられているようなキャラクターも多いが、各キャラの説明を見る限り、この街では制服の改造がかなり許されているらしい。みんな思い思いに装飾を足している。統一感や清潔感といった制服の機能は、だいぶ無視されている。
そして、その装飾の中でも妙に目立つのがジッパーである。あちこちに付いている。普通に考えると機能しなさそうな位置にもたくさん付いている。ナナリの衣装には、ジッパーの持ち手がなくて開けられなさそうなポケットまである。開けたいのか、開けたくないのか。

ちぃちゃんの背中にある翼のようなパーツも、よく見るとジッパー付きだ。そこも閉じるのか。閉じたら何になるのか。フードなのか、収納なのか、それともただの装飾なのか。なくてもよさそうなところにジッパーがあり、あってほしいところには持ち手がない。ヘテロシティでは、誰かがこの“無駄ジッパー”を流行らせたのかもしれない。
異象管理局の面々の制服はとくに自由だ。組織の制服であるはずなのに、キャラクターごとの個性が強すぎる。翳にいたっては、肉弾戦で戦うキャラクターなのになぜか銃を携帯している。使えばいいのに。もちろん、威嚇用かもしれないし、本人なりの哲学があるのかもしれない。だが、戦闘中にあれだけ拳で解決している姿を見ると、逆に胸の銃がずっと気になってしまう。

小物にも油断ならない。異象管理局のキャラクターたちが身につけている入館証のような名札は、よく見ると写真がキャラごとに違う。ミントの写真は、本人の明るい印象に比べると少し真面目に見える。撮影で緊張したのだろうか。一方で白蔵はピースをしている。ファルディーヤに至っては、どでかいキスマークまで付いている。入館証だとして、それは通るのか。セキュリティ的に大丈夫なのか。
しかし、こうした細かい装飾は、キャラクターをただの戦闘ユニットではなく、ヘテロシティで暮らす人間として見せる要素にもなっている。制服を改造し、名札の写真に個性を出し、なぜかジッパーを大量に付ける。よく見なければわからない部分ではあるが、そのツッコミどころが、そのままキャラクターの癖にもなっている。

ツッコむほど、目を留めたくなる
ヘテロシティには本当にツッコミどころが多い。何に乗っても事故に遭う人がいて、足腰に自信のあるおじいさんがレースを挑んできて、ミントはペットショップでしっぽの手入れを学び、レクイエムは街のあちこちで眠っている。市民は車の上に立つプレイヤーに妙に冷静で、店員は万引き犯にも最終的には丁寧だ。そしてキャラクターたちの衣装には、なぜかジッパーがやたらと付いている。
ひとつひとつは小さな要素だ。ゲームを進めるうえで、見逃しても問題ないものばかりかもしれない。だが、そういう「なくてもいいもの」が多いからこそ、ヘテロシティは単なる現実の街を再現した大都市ではなく、変な人たちが変な日常を暮らしている街になっている。

『NTE』の特徴は、広い都市を自由に探索できることだけではない。街の端々にいる変な人、妙に肝の据わった市民、個性が出すぎている衣装。そうした細部まで眺めていると、この街の癖の強さがだんだん愛着に変わってくる。
ヘテロシティは、やっぱり変な街だ。だが、その奇妙さこそが、ついまた歩き回りたくなる理由なのだと思う。
『NTE: Neverness to Everness』はPC/PS5/iOS/Android向けに配信中。
この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。



