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Perfect World Gamesは『NTE: Neverness to Everness』(以下、NTE)を配信中だ。本作はPC/PS5/iOS/Android向けに配信中の、基本プレイ無料・超自然都市オープンワールドRPGである。プレイヤーは骨董品屋エイボンに所属する“異象ハンター”として、大都市「ヘテロシティ」を巡り、街に潜む異象を収容・解決していく。
弊誌はPC版『NTE』を先行プレイする機会を得た。本連載では、異象が潜む大都市・ヘテロシティの気になるポイントを全10回にわたって掘り下げていく。今回は第8回であり、第7回はこちら。なお先行プレイのため、一部仕様が製品版とは異なる場合がある点には留意してほしい。
今回は少し趣向を変え、ヘテロシティの「屋上」について語りたい。というのも、最近の筆者はヘテロシティで地上をあまり見ていない。車道を走る車や店先の看板を横目に、気づけばビルの外壁に張り付き、屋上から屋上へ飛び移っている。クエストもバトルもあるゲームなのに、筆者の中ではいつの間にか、かなり大きな“屋上探索ゲーム”になっていた。

現代的な都市を舞台にしたオープンワールド作品における屋上は、意外と肩透かしを食らうことも多い。そもそも行けなかったり、到達できても隠しアイテムがひとつ置かれているだけだったりする。高い建物を見つけると登りたくなる筆者としては、少し寂しいところである。
しかし『NTE』のヘテロシティでは、多くの建物を自分の手でよじ登っていける。しかも、ただ高いところへ行けるだけではない。屋上には収集物があり、妙な景色があり、時には異象までいる。さらに先日のアップデートで追加されたレクイエムの「コウモリ変身」によって、屋上から屋上へ渡る動きにも小回りが利くようになった。屋上マニアとしては、かなり嬉しい変化である。
本稿では、ヘテロシティを横に歩くだけでなく、上へ上へと登っていく遊び方を紹介したい。アーバンな大都市で、なぜか山登りのような達成感を味わえる。今回はそんな「ビル登りのススメ」である。
自分の手で登るから、屋上が目的になる
まずは前提となる壁登りのシステムについて紹介しよう。壁に向かって進むと自動的に壁に掴まり、両手足を使ってよじよじと上へ進んでいける。基本的な動作はかなり素朴だ。そのままゆっくり登ることもできれば、スタミナを使って壁を走るように少し加速することもできる。斜めに移動するときには体の向きが変わり、壁の形状に合わせて細かくモーションも変化する。

生身で壁を登っていく身体能力こそ非現実的だが、壁登りは派手な超能力というより、自分の手で外壁を掴んでいるような感覚がある。車道では車が走り、街灯や看板が光り、そのすぐ横でキャラクターがビルの外壁に張り付いている。冷静に考えるとかなり妙な光景だが、この少し間の抜けた強引さがいい。ほとんどの状況で登れる場所に制限はないため、高い建物を見つけたらとりあえず壁に手をかけることができる。屋上探索にハマる入口は、だいたいこの雑な好奇心である。
細かなこだわりもある。たとえば、建物に90度で出っ張った“へり”は、普通ならそこで引っかかって登れなくなりそうに見える。しかし本作では、壁を蹴ってへりを掴むようなモーションで、ある程度の段差や出っ張りを乗り越えられることがある。多少無理にでも進める実用性があるうえ、建物の形に沿って手足をかけている感覚もある。

外壁の溝や凹凸、窓の奥に見える部屋の作り込みも、近づいて見ると意外と細かい。地上から眺めているだけでは背景の一部に見えていたビルが、壁に張り付いてみると、ちゃんと立体的な建築物として見えてくる。屋上を目指して登っているはずが、途中で外壁や看板を眺め始めてしまうこともある。寄り道の途中に、さらに寄り道が生まれるのだ。

ナナリで駆け上がり、レクイエムで渡る
キャラクターによって、縦移動の感触が変わるのも面白い。特にビル登りで頼りになるのがナナリだ。ナナリは異能によって重力を操り、壁や天井に張り付くように走れる。発動時間には限りがあるため、どこまでも無制限に登れるわけではない。それでも、ある程度の高さの建物なら通常の壁登りよりずっと速く駆け上がれる。
この移動は見た目にも新鮮だ。ナナリが立っている面が“下”になるようにカメラの角度がぐるりと変わり、ビルの外壁を地面のように走っていく。地上から見上げていた壁が、急に足場へ変わる。ヘテロシティの街並みを、普段とはまったく違う角度から眺められる瞬間である。

一方、Ver.1.1で追加されたレクイエムの能力も、屋上探索ではかなり便利だ。レクイエムはコウモリへ変身し、空中を移動できる。スタミナの消費は早めなので長距離飛行には向かないものの、屋上から向かいのビルへ渡ったり、グライダーでは届きにくい位置へ微調整したりするには使いやすい。

この「あと少し届かない」を補えるのがありがたい。屋上探索では、目の前に別のビルが見えているのに、普通に飛ぶと微妙に高度が足りない場面がある。レクイエムのコウモリ変身があれば、そうした隙間を埋めるように移動できる。ナナリで一気に駆け上がり、レクイエムで屋上から屋上へ渡る。そんな流れができてくると、ヘテロシティの高層ビル群がひとつの巨大なアスレチックのように見えてくる。
もちろん、屋上探索は必須の攻略ルートというわけではない。壁を登らなくても、メインのゲームプレイは十分に進められる。だが、必須ではない場所にまで細かなモーションやキャラクターごとの移動手段が用意されているからこそ、ヘテロシティという街の贅沢さが伝わってくる。屋上マニアとしては、こういう余白にこそ嬉しくなってしまう。
良い景色、だけじゃなく「何かある」
ただし、面白いのは「登れること」そのものだけではない。ヘテロシティの屋上には、登った先にちゃんと何かがある。
たとえば収集要素のひとつである「ミラクルストーン」は、ビルの壁や屋上に配置されていることも多い。地上からは見えにくい場所に置かれているため、街を立体的に探す理由になる。単にマップ上のアイコンを追うだけではない。「あそこにありそう」と自分で見当をつけ、実際に登って確かめる。この小さな探索感が気持ちいい。高い建物を見つけるたびに、つい屋上を確認したくなる。

もちろん、報酬がある場所ばかりではない。だが屋上探索にハマってくると、むしろ「何のためにあるのかよくわからない場所」こそ嬉しくなってくる。小屋やぬいぐるみが置かれた秘密基地のような空間があったり、博物館の屋上には肩に乗れるほど巨大な金色の像が鎮座していたりする。高級マンションの物件も、外からよじ登れば購入前に中を覗くことができる。正規の遊び方なのかはさておき、ちょっとした“内見”気分である。こうしたはみ出し方を受け止める余白があるのも、ヘテロシティらしいところだ。


また、先日のアップデートで追加されたゲーム内SNS「ベーグル」とも、屋上探索は相性がいい。高所から見下ろす街並みに怪しいオブジェクト。そうした場所を背景に自撮りしてみると、普通に地上を歩いているだけでは撮れない写真が生まれる。屋上は探索場所であると同時に、ちょっとした撮影スポットでもある。
地上で見るヘテロシティは、生活感のある街だ。だが屋上から見るヘテロシティは、巨大な箱庭のようにも見える。自分が歩いていた道や、通り過ぎた建物が、上から見下ろすことで別の表情を見せる。入り組んだ道路や建物、看板や高架が、上から見るとひとつの都市としてつながっているのが実感できる。この視点の変化も、屋上探索の楽しさのひとつである。
屋上にも、しっかり異象がいる
そしてもっとも『NTE』らしいのは、そんな屋上にも異象がいることだ。
屋上によっては、鯉のぼり型の異象「滝鯉」が一般人を泡の中に幽閉していたり、ボクシンググローブ型の異象「屋上の拳王」が陣取っていたりすることがある。異象によってもたらされる幻想的な草原に池、突然組み上がる特設リング。高層ビルの屋上という都市的な場所に、いきなり非日常の空間が重なる。そのアンバランスさがいかにも本作らしい。

さらに一部のボスは、上空に潜んでいる。工事中のビルの屋上やヘリポートには、まがまがしいオブジェクトが置かれていることがある。それに触れると異空間へ飛ばされ、そのままボス戦が始まる。高いところまで登ってきたと思ったら、さらに現実離れした空間へ引き込まれるわけだ。地上からビルを見上げ、なんとなく気になって登ってみる。すると、屋上で異象が待っている。クエストの目的地として示されている場所へ向かうだけでなく、自分で気になった場所へ登った結果、そこで何かに出くわす。この流れが楽しい。

異象テクノロジーを研究する企業「マンダス弧盤工房」のビル屋上に広がる異空間も象徴的だ。地上からでも目につく赤いオーラを放つ空間が、ビルの上に浮かんでいる。同ビルの地下にある扉を開くと一瞬で屋上へワープし、そこには重力のねじ曲がった異様な空間が広がっている。
砕けたコンクリートや足場、階段が空中に点在し、普通の高層ビルの上に、異世界が乗っているような光景だ。しかも、ただ眺めるだけではなく、『Only Up!』のように実際に足場を渡って進んでいくことになる。アスレチックの頂上付近にある電話ボックスを解放すると、いつでもワープできるようになる。都市の屋上探索をしていたはずが、いつの間にか異象じみた空中アスレチックを攻略している。この急な飛躍も『NTE』らしい。

ちなみにこの場所の電話ボックスは、数少ない高所にあるワープ地点ということもあり、屋上探索の拠点として便利だ。高い場所に登った先が、さらに次の寄り道へつながっていく。本作の軸である「異常な日常」は、ヘテロシティの上空にもしっかり詰め込まれている。
上へ登っても、まだ遊びが続く
こうした場所を巡っていると、ヘテロシティの屋上は「一応見られてもいいように整えてある場所」以上の意味を持っていると感じる。空調設備や看板のように都市の説得力を支えるものがあり、ミラクルストーンのような収集物があり、さらには異象との戦闘まである。登った先がただの平面ではなく、その場所なりの表情を持っている。
高い建物があれば、つい登ってみたくなる。登山家が山に登る理由を「そこに山があるから」と語るように、地上から見上げたビルの上に行ってみたくなるのは、人間の本能に近いのかもしれない。ましてや、そこに変な像があるかもしれない。ボスが待っているかもしれない。そう思うと、なおさら壁に手をかけたくなる。

さらにバージョン1.1では、メインストーリーや新コンテンツだけでなく、レクイエムという新たな移動の選択肢も加わった。ナナリで壁を駆け上がり、レクイエムのコウモリ変身で屋上から屋上へ渡る。そうした動きができるようになると、ヘテロシティの上空はさらに遊びやすくなる。屋上マニアとしては、かなりありがたいアップデートである。
ヘテロシティは横に広いだけの街ではない。地上を歩いているだけでは見えない非日常が、この街の上空にも残っている。上へ向かっても、まだ遊びが続いている街なのである。
『NTE: Neverness to Everness』はPC/PS5/iOS/Android向けに配信中。
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