『龍が如く7外伝』に出てきた“蒼天堀”と大阪・道頓堀を巡礼で比較したら、どっちがゲームかわからないほど似ていて昔を思い出した

『龍が如く7外伝』の“蒼天堀”と大阪・道頓堀を比較してみた。結果、似てた。

セガより『龍が如く7外伝 名を消した男』(以下、7外伝)が11月9日に発売された。対応プラットフォームはPC(Steam/Microsoft Store)およびPS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S。同作では『龍が如く6 命の詩。』にて姿を消した桐生一馬が、『龍が如く7 光と闇の行方』の時間軸中何をしていたかが描かれている。『7外伝』において桐生はとある事情から関西の巨大組織・近江連合の本拠地である大阪・蒼天堀に単身乗り込み、「赤目」と名乗る情報屋の依頼を受けて活動することとなる。


桐生が訪れる蒼天堀は大阪の道頓堀がモデルとなっている。厳密にいうと、道頓堀戎橋南詰付近がモデルとなっているようである。筆者個人がゲームをプレイした範囲内の話ではあるが、オープンアドベンチャーのようなゲームで大阪の街を自由に歩ける作品というのはそう多くない。その中でも『7外伝』は別格のリアルさで大阪の街を描いており、ゲームの中の町並みを見れば即座に現実を思い出せるレベルのものとなっている。蒼天堀自体は以前のシリーズより登場しているが、技術の進化にともない今作がもっともリアルな蒼天堀になっているといっても過言ではないだろう。

もちろん、蒼天堀には実際の道頓堀と異なるところはあるのだが、あまりに現実に近いビジュアルを見せてくれるため「多分現実ではこうではなかったはず」と自分の記憶のほうが曖昧になってしまうのだ。思えばここ数年道頓堀を通過することはあったが、しっかりとその風景を目に刻んでいたわけではない。そこで改めて道頓堀を確認に行ったのだが、いろいろと思わぬ再発見があった。なので、『7外伝』のシリーズの中でもっともリアルである蒼天堀と、道頓堀の代表的な建物を比較していこうと思う。

戎橋南はおなじみ感と新鮮さ両方

まずは入り口である。蒼天堀にはわかりやすく看板があるが、道頓堀にはそういった看板は存在していない。このあたりは同じく『龍が如く』シリーズで舞台になっている神室町にある看板が現実の歌舞伎町の看板を模したものになっているのとは大きな違いだろう。なお、今回取材に行った際にはメンテナンス中なのか「足4本只今リフレッシュ休暇中」ということで、かに道楽の看板から足が減っているという貴重なものを見ることができた。なおゲーム内のかに道楽のかには、もちろん足がフルにある。

現実

現実

ゲーム


飲食店が並んだ通りに入って行くと「大阪王将」「がんこ寿司」「串かつだるま」「牛角」「金龍ラーメン」と料理店が続いていく。ゲーム内のいわゆる蒼天堀通りである。このあたりの看板はほぼそのままであり、ゲーム内でも店内に入ればそのままの料理が登場する。「だるま」の濃い看板も、「金龍」のはみ出している龍の尻尾もしっかり確認できる。

今回の再確認でもどこかで料理を食べてフィニッシュと行きたかったのだが、昨今はインバウンド観光客が戻ってきているせいか道頓堀は非常に混雑しており、時間も限られていたことから今回はゲーム内に登場していない普通のラーメン屋で済ませた。できれば次の機会にはゲーム内で登場するお店で食事を味わいたいところだ。料理店といえば蒼天堀の看板から背を向けた辺りにゲーム内にもたこ焼き屋の「くくる」が存在しているのだが、ゲーム内ではなぜか屋台になっているのが少しおもしろい。現実ではビルの中にお店を構えており、川沿いの反対側からも看板を見ることができる。

現実

ゲーム

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ゲーム

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ゲーム


コラボした店もそうでないエリアも雰囲気あり

また、食事に限らない店の再現度も非常に高い。本作では飲食店以外にもさまざまな店舗とコラボしており、「ツルハドラッグ」「くいだおれ」の両店舗も実に細かいところが再現されている。とくに「くいだおれ」の看板に「大阪『紀』念品」とある表記を完全再現しているところがとても素晴らしい。一方でツルハドラッグの看板に存在している立体の鶴がゲーム内には存在していない。ここはゲームでも再現してほしいと思ったのだが、この鶴がいつからあったのか思い出せない。いつできたのだろう。ゲームの舞台となっている年代にはなかったのではないだろうか、という考えも浮かんでしまうのである。それぐらい、この道頓堀という場所に久しく来たことはなかったことを思い出す。

現実

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そのままどうとんぼりリバーウォークへと移動する。ゲーム内では道頓堀からリバーウォークへ下ろうとする道に存在する公衆トイレや、その筋向かいにある屋台も再現されている。蒼天堀ではこの近辺からミゾロギの工房へ移動できるのだが、さすがに道頓堀にはそのような怪しい店はない。もしかすると筆者が知らないだけでその辺りの飲み屋に隠し店舗があるのかもしれないが。リバーウォークは道頓堀を訪れたのがクリスマス前ということもあってか、ゲームよりも派手になっており、通路に出店された野外席も相まって国外アジアの熱気あふれる市場にいるような気分を味わうこととなった。

ゲーム内では看板のデザインは現実と異なっているが、その明るい雰囲気は現実とそう変わらないように感じた。現実とゲームが違う部分といえば、ゲームでは川を渡る遊覧船は昼間しか来ない事になっているのだが、現実では観光客のニーズに合わせてか夜もしっかり遊覧船は運行していた。ただし船頭に裸のマッチョマンはいなかった。


個人的な思い出もいろいろ

「串かつだるま」のビルの上に立っているイメージキャラクターはゲーム内でも健在だ。だるまの看板は現社長の上山勝也氏がモデルなのだが、筆者はこの社長氏の高校の後輩となることを今回の記事執筆の過程ではじめて知り、大変驚いている。だるまの看板を通り過ぎて戎橋へ移動し、有名な看板群を見る。ランドマークであるグリコの看板はゲーム中では異なるものになっているのだが、周りにある看板がほぼ同一のものであったり、オリジナルのデザインであったり、なによりその輝き方のインパクトによってうまく再現されていると感じた。

現実

ゲーム

現実

ゲーム


ゲームを通じて自分が住んでいる場所の現実を再確認、再発見をしてきたが、ごく個人的な理由でこの『7外伝』には強烈な印象がある場所が存在している。それは、「四ツ寺会館」という飲み屋がたくさん入った雑居ビルだ。

ゲーム内は近江連合の人間がホームレスを小さな一室に閉じ込めて生活保護を巻き上げるという貧困ビジネスを展開しており、そのトラブルを解決するために桐生が訪れることとなる。本来の名前は「三ツ寺会館」というのだが、昔筆者の友人がここの2階でバーを営んでいたのだ。桐生が登る階段も、ホームレス達が閉じ込められた部屋のドアノブを握る感覚もよく覚えている。桐生を待ち受けるトラブルとしてはほんの入口でしかないものだったが、場所が場所だけに一生忘れられそうにないゲーム体験になってしまった。

現実

ゲーム


まさかゲームをやってこんな気分になることがあるとは思わなかったが、地元がゲームの舞台になるというのはこういうことが起こりうるのだと再認識できた。記憶を思い起こすほど、ゲーム内の場所が実際のエリアを再現しているということだろう。関西にお住まいの皆さんはぜひ『7外伝』をプレイしていただきたい。筆者のように場所にまつわる思い出を追体験できるかもしれない。それ以外の地方にお住まいの方には仮想観光気分を味わえることを現地人の筆者が保証したい。もちろん実際の道頓堀は蒼天堀のようにゴロツキとのケンカがひんぱんに起こるようなことはなく、治安の悪い街ではない。

龍が如く7外伝 名を消した男』は、PC(Steam/Microsoft Store)およびPS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに発売中だ。

怪しい隣人
怪しい隣人

主にスマホゲームを中心に、サービス終了したゲームの情報を収集したり、開始早々ダメなことになっているゲームの情報を紹介するのが趣味です。サービス終了ゲーム死亡リストは1500件を超えました。年々ゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。

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