上海ゲームイベント「COREBLAZER Game Fest 2026」は、試遊・就職相談・商談なんでもアリ。業界人もプレイヤーも笑顔で熱気ムンムンの現地を見てきた

中国のゲーム会社Hypergryph(ハイパーグリフ)は、2026年7月25日から26日にかけてゲーム投資・インキュベーションブランド「COREBLAZER」主催のオフラインイベント「COREBLAZER Game Fest」を上海で開催した。

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中国のゲーム会社Hypergryph(ハイパーグリフ)は、2026年7月25日から26日にかけてゲーム投資・インキュベーションブランド「COREBLAZER」主催のオフラインイベント「COREBLAZER Game Fest(以下、CGF2026)」を上海で開催した。今回で4回目のオフライン開催となる本イベントは、ゲーム作品の展示や試遊(プレイアブル出展)、開発者同士の交流を軸に展開された。

日本のゲーマーにとって、Hypergryphは決して馴染みの薄い名前ではないはずだ。『アークナイツ』や『アークナイツ:エンドフィールド』といったタイトルを通じて、すでに日本市場でも高い知名度を確立している。同社が発足した投資・インキュベーションブランド「COREBLAZER」は、創作意欲を持つ開発チームを支援し、ゲームプロジェクトのインキュベーションと成長を促進することを目的としている。

今回の会場となったのは、上海のランドマークである東方明珠電視塔(オリエンタルパールタワー)の近隣に位置する大型商業施設「正大広場」。会場内には開発段階の異なる100本近いゲーム作品が一堂に会した。すでにリリース済みのタイトルから、未公開作品、今回が初の試遊出展となるプロジェクトまで幅広く並んだ。2日間の会期中、来場者向けの試遊エリアが終日開放されたほか、メインステージでは日替わりで業界向けカンファレンスと学生クリエイター向けの企画が催された。

左手に見えるのが、東方明珠に隣接する会場の正大広場

初日に開催された「拓芯の旅(コアブレイズノタビ)」には、ゲーム業界の複数の従業者が招かれ、スピーチや座談を通じてゲーム開発・パブリッシング・マーケティングにおける経験を共有した。2日目は「COREBLAZER大学生ゲーム開発コンテスト」の決勝戦および授賞式が行われ、20作品の入選作とその制作チームが現場で展示と質疑応答を行い、最終的に6つの賞の受賞者が決定した。

イベント初日は上海の真夏日にあたった。午前9時の開場までまだ時間があるにもかかわらず、会場が入る商業施設の1階には早くも参加者が集まり始めていた。

会場入口に設置されたメインビジュアル

CGF2026は一般参加費無料で開催されたが、入場には事前予約が必要だった。現地で話を聞いたあるプレイヤーは、「2日間の入場枠に応募したものの、当選したのは1日分だけだった」と明かしてくれた。入場無料とはいえチケットの倍率は高く、本イベントに対するゲーマーたちの関心の高さが伺える。出展側にとっても、これほどの来場者規模があれば安定して試遊プレイデータを集められ、リアルなフィードバックを得る絶好の機会となる。

開場してほどなく、各ブースの前には長蛇の列が形成された

インディーズ投資から学生の力作まで——多様な作品とゲーマーの交流が交差する会場

会場中央でひと際目を引いていたのが、タワー型の構造を採用したCOREBLAZERのインディーゲーム投資・支援プロジェクト展示エリアだ。エリア内では10タイトルの試遊が可能となっており、『RACCOIN: Coin Pusher Roguelike』や『CATO: Buttered Cat』といった高い評価を得ている発売中作品から、『キル・ザ・シャドウ』など開発中の注目作まで並んでいた。

これらはいずれも、COREBLAZERが投資・支援を行っているプロジェクトだ。投資先は中国国内の開発チームに限らず、会場にはアメリカのデベロッパーが手がける『The Holdouts』も出展されていた。イベントの2日間、試遊台の前には途切れることなくプレイヤーが列を作っており、開発チームとプレイヤーたちの文化の違いが、ゲームへの興味を阻むハードルにはなっていない様子が印象的だった。

会場の中心に位置するCOREBLAZER投資プロジェクトエリア
COREBLAZER投資プロジェクトエリアの前で記念撮影をする来場者

パートナーとして参加した6社の出展者の多くは海外企業であり、その独立ブースは主に会場の両脇に配置され、広めのスペースが確保されていた。欧米からはPlaystack、Fireshine Games、Devolver Digitalといったパブリッシャーが参加し、自社のラインナップから複数のタイトルを出展していた。

Fireshine Gamesブース

日本のインディーゲームパブリッシャーであるroom6も独立ブースを出展。すでにシーズンワンがリリースされている『ghostpia』に加え、リズムゲーム『キメキャワ♥限界ビートちゃん!!』、登場人物の正体を推測していくミステリーアドベンチャー『Feeling Death』、そして探索型3Dアクションアドベンチャー『狐ト蛙ノ旅 アダシノ島のコトロ鬼』など、開発中タイトルの試遊版が多数用意されていた。

なかでも『狐ト蛙ノ旅 アダシノ島のコトロ鬼』は、その独特な世界観と鮮烈なビジュアルスタイルで多くの来場者の足を止めさせており、試遊列には女性ゲーマーの姿も多く見られた。

room6ブース
『狐ト蛙ノ旅 アダシノ島のコトロ鬼』を試遊するプレイヤー

6社のパートナーブースに加え、入口近くの招待タイトル集中展示エリアには、商業化に向けた開発やリリース準備が進むプロジェクトが集結。ここでも複数の海外パブリッシャーや日本企業の作品を目にすることができた。

集英社ゲームズは開発中の新作として『BAKUDO』『Wild Wild Eden』『Chronoscript: The Endless End』の3タイトルを出展しており、来場者はこれらを一気に体験することができた。

集英社ゲームズ作品の試遊エリア

このほか、2P GamesやSerenity Forgeといったパブリッシャーの作品も同エリアに並んだ。これまで試遊版が一般公開されていなかった『妹、他者、パラノイア』も、CGF2026で初のオフライン試遊を提供していた。

『妹、他者、パラノイア』の試遊版は「妹の頭を撫でる」シーンで一旦区切りとなり、その後の物語展開に強い期待を抱かせる内容となっていた

入口の反対側には、「2026 COREBLAZER大学生ゲーム開発コンテスト」の決勝に進出した20作品が展示されていた。すべて学生チームによる作品でありながら、そのジャンルは非常に多岐にわたっており、テキストアドベンチャー、アクション、リズムゲーム、デッキ構築カードゲーム、経営シミュレーションなどがずらりと並んでいた。現地を見る限り、ほぼすべての試遊台で常に誰かがプレイを待っている状態だった。

学生作品エリアでは、クリエイターとプレイヤーの交流が特にダイレクトに行われていた。「ベストアイデア賞」にノミネートされた『aliveCAPTCHA』は、“人間のふりをしている何かのような不気味さ” という要素を取り入れたライトなホラー作品だ。プレイヤーが制作者の仕込んだ意図を正確に読み取った瞬間、制作者が思わず興奮を露わにする場面も見られた。

また、高難易度の2D横スクロールアクション『Rain of Lead』の制作者は、試遊台の横に立ち、プレイヤーに攻略のアドバイスを直接送っていた。難所を突破しようとする挑戦が進むにつれ、周囲には自然と観客が集まり、見事クリアした瞬間には大きな歓声と拍手が巻き起こった。ゲーム展示は単なる開発者側の一方的な説明にとどまらず、制作者・プレイヤー・観客が一体となったライブ感あふれる交流の場と化していた。

プレイヤーに直接攻略アドバイスを送る『Rain of Lead』の制作者。試遊台の周りには人だかりができていた

2日間の会期中、「誰も遊ばない試遊台が放置されている」といったケースはほとんど見られなかった。会場を訪れたゲーマーたちも、ただ一人で並んでプレイして終わるわけではない。多くの試遊台の周りには自然とギャラリーができ、挑戦者の成功に歓声をあげ、失敗した時には共に悔しがった。

見知らぬ者同士であり、異なる地域からやってきたかもしれないプレイヤーたちが、ひとつのゲームを通じて一瞬でつながる。出展チームにとって、絶え間ない試遊者の存在は作品のお披露目の機会にとどまらず、プレイヤーの反応を短時間で観察し、ダイレクトな体験フィードバックを収集できる貴重な機会となっていた。

見知らぬプレイヤー同士が試遊台を囲み、『Valor Mortis』のプレイを見守る様子
挑戦者はラストの局面で惜しくも敗れたが、ギャラリーからは温かい笑顔と拍手が送られた

業界のナレッジ共有から学生のピッチまで——異なる表情を見せた2日間のメインステージ

会場の奥に位置するメインステージエリアは、会場全体の約3分の1の面積を占めていた。CGF2026の2日間、主要なステージイベントはここで行われた。

初日に開催されたカンファレンス「拓芯の旅(コアブレイズノタビ)」では、約5時間にわたり6つのテーマセッションが行われた。登壇したゲスト陣は国際色豊かな顔ぶれとなった。クロアチアのデベロッパーCroteamの共同創業者兼CCOであり『The Talos Principle』シリーズのクリエイティヴ・ディレクターを務めるDavor Hunski氏をはじめ、ニュージーランドのDeep Field Gamesでビジネスディレクター兼『Abiotic Factor』のナラティブディレクターを務めるHenry Feltham氏、Pengonautsの共同創業者で『StarVaders』のメイン開発者の一人であるHansen氏らが登壇した。さらに、Epic Games ストアでグローバルプロダクト&戦略責任者を務めるKyle Billings氏や、Epic Games UE大中華圏ゼネラルマネージャーのTiff Tang氏など、プラットフォームや技術分野のリーダーたちもスピーチを行った。

セッションのテーマは多岐にわたった。Davor Hunski氏は自身の33年にわたるインディーゲーム開発の歩みを振り返り、Henry Feltham氏は『Abiotic Factor』がVer1.0へと向かう中で下した重要な意思決定の数々を紹介。Hansen氏はインディースタジオ運営のノウハウを共有した。Epic Gamesの2名はグローバルな開発者エコシステムについて語り、Hypergryphの共同創業者である海猫絡合物氏とRua氏、そしてCOREBLAZERの投資先である『メカニマル・オアシス』『RACCOIN: Coin Pusher Roguelike』のチームメンバーが登壇し、自作にローグライク要素を取り入れた理由について議論を交わした。『AI LIMIT 無限機兵』のプロデューサーであるViskem氏は、AI時代におけるインディーゲーム開発とロングターミズム(長期主義)にまでテーマを広げた。

これらの講演は専門性の高い業界関係者向けの内容であったものの、会場の観客の反応は決して冷ややかなものではなかった。Davor Hunski氏は全編英語でスライドに中国語字幕を添えて登壇したが、講演中のメインステージエリアは満席となり、立ち見の観客が周囲を分厚く囲んでいた。

Davor Hunski氏の講演に熱心に耳を傾ける観客たち

Henry Feltham氏がプレゼン資料の中で、中国の伝承上の人物「鍾馗(しょうき)」を彷彿とさせるキャラクター画像を画面に映し出すと、客席からは大きな拍手が湧き起こった。文化的なオマージュが文脈を超えて響き合い、会場の観客とプレゼン内容が共鳴した瞬間だった。

2日目のメインステージは、「2026 COREBLAZER大学生ゲーム開発コンテスト」の決勝ステージへと切り替わった。ノミネートされた20作品が順次プレゼンテーションと質疑応答(答弁)を行い、審査員陣にはゲーム企業の経営者、プロデューサー、パブリッシャーの代表、ゲームメディアの編集長、コンテンツクリエイター、大学教授など、多彩な専門家が名を連ねた。

コンテストには「ベストゲーム賞」「ベストゲームプレイ賞」「ベストアート賞」「ベストシナリオ賞」「ベストアイデア賞」「ベスト人気賞」の6つの賞が設けられ、このうち「ベスト人気賞」はコミュニティアプリ「森空島(SKLAND)」でのプレイヤー投票によって決定された。ステージ上でプレゼンを行うチームには制限時間が与えられ、作品のコアとなる魅力、設計思想、開発状況を説明し、審査員からの鋭い質問に回答することが求められた。

質疑応答で熱心に質問を投げかける審査員たち

このプロセスにより、ステージ上の答弁は単なる学生側の作品発表にとどまらない緊張感を生んでいた。異なる専門領域を持つ審査員たちを前に、制限時間内で作品の価値を的確にアピールし、ゲームシステム、アート、アイデアに関する質問へ的確に答える。開発者としてはまだ学生段階にあるクリエイターたちにとって、パブリッシャーへのピッチやビジネス商談の現場に近い、極めて実践的な経験となっていたはずだ。

最終的に『My Ransomware Can’t Be This Cute?!』が「ベストアート賞」と最高賞である「ベストゲーム賞」のダブル受賞を果たした。制作チームの代表であるPatrick氏は、本誌のインタビューに対し「ベストゲーム賞を取れると信じていました」と力強く自信を覗かせた。

彼はまた、大学卒業後にすぐ就職する道を選ばず、さらに約2か月間の時間を本作の開発に費やしたことを明かした。今回審査員から高い評価を受けたことは、チームがこれまで傾けてきた情熱と投資が見事に報われた証と言えるだろう。

「ベストゲーム賞」と「ベストアート賞」をダブル受賞した『My Ransomware Can’t Be This Cute?!』の開発チーム

試遊エリアやメインステージ以外にも、会場内にはHypergryphの採用ブースやビジネス商談エリア(B2Bスペース)が設置されており、ゲーム業界イベントとしての側面をいっそう際立たせていた。

Hypergryphの採用ブースに集まる相談者たち

現地スタッフによると、Hypergryphへの応募に関心がある来場者は、採用ブースで募集職種や選考プロセスについて直接相談することができたという。イベント期間中、ブースの前には途切れることなく求職者が訪れ、スタッフと会話を交わしていた。

ビジネス商談エリアも実効的に活用されていた。2日間の会期中、さまざまな国や地域から集まったデベロッパー、パブリッシャー、業界関係者がテーブルを挟んで打ち合わせを行っていた。出展チームにとってCGF2026は、ゲーマーに作品をアピールする場であると同時に、将来的なパートナーとダイレクトにつながるビジネスの機会でもあったのだ。

ビジネス商談エリアで交流を深めるゲーム業界関係者たち

CGF2026は、数多くの魅力的な作品を展示するにとどまらず、試遊体験、ステージ講演、商談スペースを通じて、デベロッパー、パブリッシャー、そしてプレイヤーがダイレクトに交差するプラットフォームとして機能していた。開発者にとっては作品を披露し、ユーザーの生の反応を観察しながらパートナー候補と出会える場であり、ゲーマーにとっては未発売の注目作にいち早く触れ、クリエイターの情熱や設計思想に直接触れられる貴重な機会となった。

国境や立場を超えた参加者たちが、ひとつの空間で「ゲーム」という共通言語のもとに集い、熱量のある対話を繰り広げる——CGF2026は単なるユーザー向けの試遊イベントを超えて、クリエイター、業界関係者、プレイヤーを力強くつなぐ総合的なハブ(交流拠点)として、確かな存在感を示していた。

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