『CS:GO』ギャンブルの責任を追求する米政府へValveが反論、合法な商業ツールを提供したに過ぎない

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Steam運営元のValve Corporation(以下、Valve)は17日、『Counter-Strike: Global Offensive』(以下、CS:GO)のゲーム内アイテムを介したギャンブルサイトの蔓延について、ワシントン州ギャンブル委員会の警告に対する声明を発表した。賭博を推奨していた大物YouTuberが実はギャンブルビジネスの元締めだったスキャンダルを機に、今年7月の段階でValveは複数の運営元に対して停止通知を発行しており、委員会が要求する是正案はすでに実行済みであると反論。その上で、Valveが提供しているSteamおよびゲーム自体は州法に一切抵触していないとして、刑法に基づいた処置も辞さないと表明した委員会に対して具体的な法的根拠を要求している。

 

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社会問題を長らく放置してきたツケ

『CS:GO』は、Steam運営元のValveが提供するチーム対戦型FPS。シリーズをとおして長い歴史があり、その競技性の高さからe-Sportsシーンでは世界中のファンから根強く支持されている。特に、欧州はメッカと呼ばれるほどの盛況ぶりだ。本作には、武器の見た目を自由にカスタマイズできるスキンというゲーム内アイテムが存在する。武器スキンは1回2.5ドル程度のガチャから入手できるほか、Steamコミュニティ内のマーケットプレイスでも取り引きされている。近年、ユーザーのSteamアカウントを紐付けることで、スキンをチップとして賭けられる外部のオンライン賭博サービスが流行。未成年者に悪影響を及ぼしているとして、一部の国では社会問題にまで発展していた。

その市場規模は業界最大手のギャンブルサイト「CS:GO Lounge」だけで、今年1月からの7か月でおよそ10億ドルに相当する武器スキンが賭けられたほど。こうした賭博ビジネスを運営するウェブサイトは有名なものだけでも700件にのぼると言われている。今年6月には、アメリカ・コネチカット州で『CS:GO』プレイヤーの親族がValveを相手取り訴訟を起こした。時を同じくして、自身のチャンネルでギャンブルサイト「CS:GO Lotto」を大々的にプロモーションした大物YouTuber、“TmarTn”ことTrevor Martin氏が、実は同サイトの運営元を立ち上げた張本人だったことが発覚。同様に、「CS:GO Shuffle」を宣伝していた大物Twitchストリーマー、“PhantomL0rd” ことJames Varga氏も、実際はサイトの胴元であったという事実が、匿名のハッカーによって白日の下に晒された。

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ワシントンに対するValve側の返信の一部
Image Credit: TechRaptor

こうした事態を受けて今月はじめ、アメリカのワシントン州ギャンブル委員会はValveに対してただちに具体的な対応策を講じるよう警告。今月14日までに具体的な是正案を提出するよう求めていた。なお同委員会は、Steamアカウントとゲーム内アイテムを利用したオンライン賭博が州法に抵触する可能性を考慮して、今年2月の段階で一度Valveとコンタクトを取っている。一方、Valve側は今年7月の段階で、Steamのアカウント認証を組み込んだギャンブルの運用が利用規約に違反するとの見解を示した上で、賭博ビジネスの運営元23社に対して商業利用を直ちに停止するよう通知書類を発行。元締めが利用していたSteamアカウントを永久停止にするなど、すでに本格的な対応に乗り出している。

今回、自社のプラットフォームが違法行為に利用されているValveにも責任の一端があると判断したワシントン州ギャンブル委員会に対して、Valve側は真っ向から反論。業界メディアTechRaptorが入手したValveの返書の中で、顧問弁護士のLiam Lavery氏は次のようにコメントしている。「委員会からの通知書は、第三者のギャンブルサイトを理由に、Valveを刑事訴追すると公的に脅かすものです。これまでのやり取りや書面からは、委員会の判断を裏付ける事実に基づいた法的根拠が見当たりません。また、どのように対処するかという提案も不明瞭です。もしValveが特定の刑法や規則に抵触していると断言できるのであれば、正式に召喚状を発行していただきたい。Steamならびに弊社のゲームが法を犯している事実はございません」。

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続けて、“Valveにはいつでも止められる権限がある”という圧力とも受け取れる委員会の要求について、ギャンブルサイトに悪用されたからという理由だけでSteamに関連する一切のサービスを停止するつもりはないと断言した。「Steamのゲーム内アイテムやトレード機能、OpenIDは 消費者および開発者にとってなくてはならないものです。委員会には、ワシントン州での賭博行為に直結すらしていない合法な商業・通信サービスを差し止める意図も権限もないことを信じています」。また、すでに特定できる全てのギャンブル運営元に対して、アカウント停止をはじめとした行動を起こしていることも明記。一方で、多くのサイトがトレード行為を自動化するボットアカウントを利用しており、正規のトレードと見分けることが容易ではないことにくわえて、凍結したとしてもすぐさま新たなアカウントが量産される現状について釈明している。

以上の反論を踏まえた上で、Valve側はワシントン州ギャンブル委員会に対して、『CS:GO』関連ギャンブルサイトの特定ならびに規約違反のアカウント停止など、州法に抵触するビジネスの取り締まりに、今後も協力を惜しまない姿勢を明確にした。また、委員会がValveを刑事訴追するにせよ、別の方法で協力体制を築くにせよ、引き続き意思疎通を図っていくことに歓迎の意を示している。社会問題にまで発展した一連の騒動は、あくまでも第三者がツールを悪用した結果であり、確かに運営元のValveには直接的な責任はないだろう。しかし、問題が長らく放置されてきたことも事実ではないだろうか。プロシーンで活躍する多くの選手と同様に、『CS:GO』プレイヤーの大半を占めているのは10代の未成年者である。法の抜け穴を利用した彼らのギャンブル依存問題は、ワシントンが強硬姿勢に出る以前から指摘されていたことだ。そのツケが今になって回ってきたのかもしれない。

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