『FFXV』を思わせるグラフィックで注目を浴びた3Dアクション『Lost Soul Aside』、開発者が期待される喜びと苦悩を語る

 

【UPDATE 2016/10/27 9:55】9月末、『Lost Souls Aside』の開発者Bing Yang氏は、同作がPlayStation 4の時限独占タイトルになるだろうとTwitter上で明らかにした。ファンの質問に返答したもので、リリース時期は2018年を目指していることも伝えられている。

【原文 2016/8/2 20:49】グラフィックエンジンの進化にともない、少人数のチームでも規模の大きなタイトルの開発が可能になりつつある。弊誌で取り上げた『Assault Spy』が例にあげられるように、時間が許せば「3Dのアクションゲーム」を「1名」で作れるような環境が生まれている。韓国でゲーム作りに没頭する中国出身デベロッパーBing Yang氏もそのひとりだ。2年前に『FINAL FANTASY XV』(以下、FFXV)のトレイラーを見た際に、あまりの感動から自分で『FFXV』のモデリングを始めた。そういった修行のなかで、『FFXV』から影響を受けたのをきっかけに、自分のやり方でユニークなデザインを生み出そうと決意し、ゲームの開発が始まったと語っている。

そしてBing Yang氏は、7月30日に新作『Lost Soul Aside』のトレイラーを公開した。あわせて氏はあらすじを描写している。舞台となるのは戦争によって荒廃した世界。家族を失った主人公Kazerはある日、一匹のモンスターと出会い、運命の歯車が動き出す――。5分半にもわたる映像ではKazerが広大な大地を走り回り、空を飛ぶシーンなどが見受けられる。また、青い炎の宿った剣を振り回し『Devil May Cry』や『Ninja Gaiden』シリーズを彷彿とさせるようなスタイリッシュな戦闘を繰り広げている。挿入されているカットシーンのクオリティも高く、リリースが近いと告知されても疑問を持たないほどの完成度だ。

そのトレイラーは世界中に瞬く間に拡散され、Bing Yang氏は一躍時の人となり、氏のTwitterやFacebookにはコメントが殺到するようになった。この反応に当初Yang氏は大いに喜んでいたが、「『FF』と比較する人がいるけど、僕のはあくまで個人制作のインディーだし、遥かに遠くて届きすらしないよ「2年間の月日をかけたけどまだプロトタイプだし、アセットをたくさん買ったからやってこられた」と高まるユーザーの熱とは裏腹に冷静な姿勢を強調させていく。

そして翌日の7月31日、Yang氏は収まる気配のないユーザーのコメントに対しFacebookで声明を出した。氏はフリーランスで2年間ずっとフルタイムで開発を続けてきたことを述べ、トレイラーをリリースしたら新たな職を手にして片手間に開発を続けようというのが当初の計画だったことを語っている。しかし、そうすると開発が10年以上かかってしまうことになる。こういった内情を明かすことはユーザーをガッカリさせてしまうことも多いが、Yang氏も正直に言わなければいけないという真面目さからか、開発計画の具体的なプランを提示している。その性格は「Kickstarterは素晴らしいが、金勘定には詳しくないし、ゲームをリリースできると確信できないうちは始めたくない。責任もとてつもなく重い」「開発を続けたとして、あと2年間でリリースできると嘘はつきたくない」といった発言からも垣間見える。当初の計画を遂行させる姿勢を見せる一方で、あまりの声援の多さに当初の計画の変更も考えているようだ。こういった熱い声によって悩むことは、喜びでもありストレスでもあると話すYang氏。チームを結成するような機会があれば開発の続行を考慮すると結論を出しながら、ユーザーへの謝罪と感謝を述べこの日の投稿は締められた。

そしてトレイラー公開から数日経過した8月1日2日には、それまで見せていた苦悩の様相から一転し、新たな計画を練りだしたことを告白している。

おはよう。たくさんの人々が世界中から『Lost Soul Aside』を実現させるために手を取ろうとしてくれていて、感謝してもしきれない。とにかく、今後の計画についてじっくり考えるから、待っていてほしい。期待の声も最初はストレスだったけど、みんなの声援を聞いていたらそんなものなくなっちゃったよ。EpicやSonyのような偉大な会社から連絡がきたことは自信になるね。でも、僕はあくまで普通のデベロッパーだから、みんなをガッカリさせないように頑張らないといけない。返信遅れてごめんね、みんなありがとう。

トレイラーで才能を見せつけ新天地を探すつもりだったBing Yang氏は“予想外”の声援の多さから、再び自身の進路を再考している。以前『Bear Simulator』でもKickstarterの支援者の声で開発の継続が決まるという出来事があったが、SNSのリアクションの多さでゲームの開発の継続が決まるというのは、現代ならではのことだろう。