NASAが突然オリジナルTRPGのシナリオを無料公開。異世界に迷い込んだ地球人、科学スキルを駆使して失われた「ハッブル宇宙望遠鏡」探索へ

 

アメリカ航空宇宙局(以下、NASA)は3月5日、TRPGのオリジナルシナリオ『The Lost Universe』をリリースした。シナリオやマップは公式サイトよりダウンロード可能。


TRPG(テーブルトークRPG)は、サイコロや紙などを用いて、主にルールブックに従い、ゲームマスター(GM)との会話などを会話を通して遊ぶアナログゲームだ。代表的な作品に『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』や『クトゥルフの呼び声(CoC)』などがある。

今回、NASAによりTRPGシナリオ『The Lost Universe』が公開された。舞台となるのはExlarisなる惑星。Exlarisはもともと地球と同様にハビタブルゾーン(生命居住可能領域)に存在しており、知的生命体によって社会が形成されていた。またこの世界には「魔法」があり、それは真空エネルギー(the energy of the vacuum)を利用しようとした際に発見されたとのこと。


しかしExlarisにブラックホールが近づくことで状況は一変。惑星Exlarisの軌道は大きく変化し、惑星系からはじき出され、自由浮遊惑星となってしまう。この事態に際して、学者や魔法使いたちは一丸となり、真空エネルギーを用いたシールドを生成して元の環境を再現。最悪の状況を免れることに成功した。とはいえこの事件によって、惑星の大部分はずっと夜になってしまい、クリーチャーが出歩くようになってしまったようだ。そんな大事件の後、Exlarisの社会の再建を進める中で、ある魔法使いが「地球」とつながる呪文を開発。この呪文によってハッブル宇宙望遠鏡がExlarisに召喚されてしまう。


プレイヤーたちはそうした舞台設定のもと、Exlarisに迷い込んだ地球人として、ハッブル宇宙望遠鏡を取り戻す物語を繰り広げるようだ。科学スキルを使ったり学んだりしながら悪役(Villain)に挑む要素もあるという。プレイ人数としては、4~7人のパーティー用にデザインされているとのこと。なお44ページにわたって記されている『The Lost Universe』のシナリオには登場するNPCの説明はあるものの、具体的な能力値などは記されていない。好きなTRPGのシステムを適用して遊ぶことが可能だそうで、GMとプレイヤーが相談しながら好みの方法や設定で遊べるのだろう。

また『The Lost Universe』の資料内では実際の宇宙における科学知識についても収録。重力レンズや赤方偏移といった、宇宙に関する用語についての解説も、図説や写真付きで収められている。宇宙に関連する知識も、物語の展開によっては重要となるかもしれない。全編英語ながら、NASAの手がける『The Lost Universe』のシナリオが気になる人はチェックしてみるのもいいだろう。

『The Lost Universe』はNASA公式サイトにてダウンロード可能だ。