早期アクセス中の宇宙開発シム『Kerbal Space Program 2』開発元閉鎖報道を受けユーザーの怒り爆発。販売元は「開発を続ける」と約束するも、混乱おさまらず

 

現在早期アクセス配信中の宇宙開発シミュレーションゲーム『Kerbal Space Program 2』について、最近になってSteamストアページにてユーザーからの不評レビューが殺到している。先日、開発を担当するIntercept Gamesの閉鎖の可能性が報じられたことがきっかけのようだ。

『Kerbal Space Program 2』は、宇宙開発プログラムの責任者となって宇宙ロケットを建造するシミュレーションゲームだ。航空力学と軌道力学による本格的なシミュレーションが導入され、さまざま用意されたパーツを自由に組み合わせて宇宙ロケットを作り、カーバルと呼ばれる宇宙飛行士たちを宇宙へと送り届けることを目指す。


前作『Kerbal Space Program』が非常に高い評価を獲得したのち、大手パブリッシャーのTake-Two InteractiveがそのIPを買収。そして傘下レーベルPrivate Divisionによって設立されたIntercept Gamesが、続編『Kerbal Space Program 2』の開発を専門的に担当し、2023年2月よりSteamとEpic Gamesストアにて早期アクセス配信が実施されている。

そうしたなか先日5月2日に、Intercept Gamesが閉鎖される予定であるとの報道が駆け巡った。海外メディアBloombergが、同スタジオの所在する米ワシントン州の雇用対策局によって公開されたレイオフ情報、および入手したスタジオの内部情報をもとに報じたのだ。これは、Take-Two Interactiveが今年4月に発表した、全従業員の5%の削減や複数のプロジェクトの開発中止などを含むコスト削減計画に基づく動きであると考えられている。ただ問い合わせを受けた同社は、スタジオ閉鎖に関して否定も肯定もせず、事実関係について回答を避けた(関連記事)。


この報道を受けて、『Kerbal Space Program 2』のSteamストアページには不評レビューが殺到。報道後、本稿執筆時点までに500件以上の不評レビューが投じられ、一方で好評レビューはわずかであり、直近30日間のレビューステータスは「圧倒的に不評」にまで落ち込んでしまった。

不評レビューの内容を見てみると、やはりIntercept Gamesの閉鎖報道に言及するものがほとんど。本作を開発するために設立された同スタジオが閉鎖されるとなると、開発が放棄される、あるいは開発が大きく遅れるのではなどと不安の声が上がっている状況である。また、本作は現在早期アクセス配信中でまだ開発途上の状態。もともと現状のコンテンツや品質面への評価があまり高くないことも相まって、ユーザーの怒りが爆発した格好だ。


そうしたユーザーの厳しい声を受けてか、本作の公式Xアカウントは5月2日、先述したメディアへの回答と同じ声明を添えたうえで、『Kerbal Space Program 2』の開発は継続していると表明。詳細については、時期が来れば話すとした。また声明では、Intercept Gamesの親会社である販売元Private Divisionが、本作のアップデート開発を続けると述べている。それでも、Steamでの不評レビュー投稿は収まらない状況だ。ちなみにIntercept Gamesの公式Xアカウントの方はというと、本作の改善方針を説明した4月26日の投稿が最後となっている。

今のところ、Intercept Gamesの閉鎖については公式には発表されておらず、報道が事実かどうかははっきりしない。一方でTake-Two Interactiveは、Private Divisionによって『Kerbal Space Program 2』の開発を継続することを明言。仮にIntercept Gamesの閉鎖が事実であった場合、販売元Private Divisionの主導で別のスタジオに開発を引き継がせるのかもしれない。

ただ今回の報道後、Private Divisionでもレイオフ(一時解雇)が実施され、大多数(vast majority)のスタッフがすでに同社を去ったとも報じられている(GamesIndustry.biz)。同社は、先日早期アクセス配信が開始されたMoon StudiosのアクションRPG『No Rest for the Wicked』を含め数多くのタイトルを抱えており、『Kerbal Space Program 2』の行方とあわせ、今後の動向が注目される。